木下是雄さんの『理科系の作文技術』(中公新書)が出たのは1981年1月。本多勝一さんの『日本語の作文技術』(朝日文庫)が出たのは1982年1月。日本語の文章の書き方を論じる本のタイトルに「技術」ということばが入ったのはこのあたりからだったんでしょうか。そんな気はする。けれど、それ以前に出版された日本語表現法の本について悉皆調査したわけではないから、確かなことは分からない。
ただ、木下さんの本といい本多さんの本といい、分かりやすい日本語の文章を書くことを「技術」ととらえることが、やはり当時にあっては斬新だったんだろうなあとは推測できます。だっていまだに、文章能力は「技術」の問題なのだと言うと、違和感を持つ人がいますからね。
しかし現にわたしの場合、『実践・言語技術入門』で四つのキモを覚え込んだので、たとえばわたしが仕事で出すメールは、同じ職場のほかの人のに較べてだいぶ分かりやすかったと思います。
木下さんは、『理科系の作文技術』ののちに、より広い読者層を想定した『レポートの組み立て方』(1990年)という本を「ちくまライブラリー」から出し、これはちくま学芸文庫にも入りました。有名なのは今も『理科系の…』のほうかもしれないけれど、木下さんの考える作文技術の概要は『レポートの組み立て方』につくべきでしょう。わたしはライブラリー版も文庫版も持っていますが、ライブラリー版のほうが好き。文庫版の版面はあまりにせせこましく感じられてしまう。
晶文社から木下是雄さんの一般読者向けの著作集が三巻出て、その第三巻が『日本人の言語環境を考える』(1996年)というタイトルで、もちろんわたしも買いました。エッセイ集なので体系的な記述ではありませんが、とおして読むと、木下さんの日本語文章論がしっかりと読み取れる、中身の濃い本でした。これはのちに『日本語の思考法』と改題されて中公文庫に入っています。
ただ、木下さんの本といい本多さんの本といい、分かりやすい日本語の文章を書くことを「技術」ととらえることが、やはり当時にあっては斬新だったんだろうなあとは推測できます。だっていまだに、文章能力は「技術」の問題なのだと言うと、違和感を持つ人がいますからね。
しかし現にわたしの場合、『実践・言語技術入門』で四つのキモを覚え込んだので、たとえばわたしが仕事で出すメールは、同じ職場のほかの人のに較べてだいぶ分かりやすかったと思います。
木下さんは、『理科系の作文技術』ののちに、より広い読者層を想定した『レポートの組み立て方』(1990年)という本を「ちくまライブラリー」から出し、これはちくま学芸文庫にも入りました。有名なのは今も『理科系の…』のほうかもしれないけれど、木下さんの考える作文技術の概要は『レポートの組み立て方』につくべきでしょう。わたしはライブラリー版も文庫版も持っていますが、ライブラリー版のほうが好き。文庫版の版面はあまりにせせこましく感じられてしまう。
晶文社から木下是雄さんの一般読者向けの著作集が三巻出て、その第三巻が『日本人の言語環境を考える』(1996年)というタイトルで、もちろんわたしも買いました。エッセイ集なので体系的な記述ではありませんが、とおして読むと、木下さんの日本語文章論がしっかりと読み取れる、中身の濃い本でした。これはのちに『日本語の思考法』と改題されて中公文庫に入っています。