歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

『日本語の作文技術』の異本群

2013年11月26日 | 本とか雑誌とか
本多勝一さんの『日本語の作文技術』が朝日文庫になったのは1982年ですが、溯れば、1974年に、本多さんは「朝日カルチャーセンター」で毎週二回、『日本語の作文技術』を講義したんだそうです。(へええ。本多勝一がカルチャーセンターの講師をねえ。)で、その講義の草稿をもとに、月刊誌『言語』に75年から76年にかけて連載。そして、76年には朝日新聞社から『日本語の作文技術』が単行本として出ていたとのこと。朝日文庫版は、この単行本の改訂版にあたります。

『日本語の作文技術』は、現在、実はいろんなバージョンで出ているのですよ。もっとも広く流布しているのは朝日文庫の『日本語の作文技術』と『実戦・日本語の作文技術』の二冊でしょうが、その後、本多勝一集第19巻として『日本語の作文技術』(1996年)というのが出ました。しかしこれは朝日文庫の同名本そのままではなく、朝日文庫版の『日本語の作文技術』を土台に、『実戦・日本語の作文技術』を解体・分配し、さらに加筆したもの。

でもその本多勝一集第19巻『日本語の作文技術』は、現在品切れのようです。そしてさらにその後、本多さんは朝日選書の一冊として『中学生からの作文技術』(2004年)を公刊し、さらに翌年、こんどは講談社から『新装版 日本語の作文技術』(2005年)が出ました。

なんかね、もう異本がたくさんあって、たいへん。平家物語みたいである。