歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

村上冬樹

2010年05月19日 | メモいろいろ
村上冬樹と村上春樹は──、たぶんなにも関係ないんだろうな。じいさんと孫、とかぢゃないよねえ。

写真で見ると村上冬樹という人は中村伸郎によく似てますねえ。しかもこの二人は同じ劇団にいたんでしょ。浪曼劇場。村上冬樹は『我が友ヒットラー』でヒットラーをやったそうですよ。この『我が友ヒットラー』は作者が三島由紀夫で、しかもヒットラー、ってそれだけでもう腰が引けちゃう人が多いでしょうが、心配いりません。男はいかに孤独か、って話。右翼のアジテーションではないです。戯曲だから慣れるまでちょっと読みにくい気がするかもしれないけど、新潮文庫で読めるから、読んでみて。そういや浪曼劇場には、中山仁とか、悪代官の内田勝正もいたんだよね。ほんと、内田さんて人は、日本人離れした彫りの深い美貌の男優ですよ。若いころの中山仁も、二枚目。

村上冬樹は『スパイダーマン』に出ていました。わたしが見たことのあるこの人の演技はそれだけだったりして。

そうだ、『スパイダーマン』で村上冬樹は香山浩介の父親をやったのだった。香山浩介という人は、ヒーローからのちに藤堂新二と名を改めて悪代官に転進した人で、その意味で黒部進とか団時朗の後輩である。そして団時朗がそうであるようにテレビよりむしろ舞台で活躍している。やはり彫りの深いきれいな顔立ちの人だ。

三島の死後に浪曼劇場が上演したワイルドの『サロメ』で、内田勝正は三島の意向によりヨハネに抜擢されてこの役を演じたそうです。その三島が割腹したのが1970年、村上冬樹が香山浩介という新人と仕事をしたのは1978年。村上冬樹は香山浩介を見て、「ああこの顔は三島さんの好み」とか、思ったかしらん。