歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ラッセル『スパニッシュ・レジェンズ』

2010年05月10日 | CD 古典派以後
Spanish Legends
David Russell
CD-80633

2004年録音。64分46秒。TELARC。リョベートとプジョールを中心とした近現代スペインのギター音楽集成。リョベートの例のカタロニア民謡の編曲集が大好きなこともあって、それに弾いてるのがラッセルだし、悪いことはなかろうと思って買ってみました。スペインの土の香り、なんてのはあまりしない。けれどそれぞれの曲をコンサートピースらしく、っていうんですか、ほらこういうふうに弾けばパリッと聴こえるでしょ、ってお手本みたいな演奏です。

やっぱリョベートはいいなあ。カタロニア民謡はどの曲も聞きなれているのに何度聴いてもいいよ。ラッセルの弾き方は都会的に洗練されていてしかしなおほど良く歌い、巧いです。「先生」なんか、特にいいわ。ただ「聖母の御子」「クリスマスの夜」が入っていないのは残念。

リョベートのあとにセゴビアの曲が4曲演奏されます。セゴビアの作品てはじめて聴いたけど、なかなか本格的な曲ですよ。そしてその後プジョール。わたしは実のところプジョールって知らなかったんですよ。この人もリョベートやセゴビア同様タレガの弟子で、なおかつ作曲家としても一家をなした人だそうで。とても爽快に聴きとおせるのは、曲がそういうふうに作ってあるのとラッセルのまとめ方がそういう方向なのと、両方が理由でしょうね。

多くの曲が、長くても3分前後なので、ずっしりした質感はないけれども、気軽に楽しめて、柑橘系の香りがほのかにただよう。じつに洒落た、小味の効いたアルバムになっていると申せましょう。