歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

北林谷栄

2010年05月07日 | 演ずる人びと
北林谷栄さん死去。おばあさん女優と言われていて、じっさい老女の役ばかり若いころからやっていたそうですが、しかしこの人は生粋の東京のひとで、しかも本名が「令子」さんでしょ。百歳ちかくで。よほどインテリのうちの子だったんぢゃないかね。そしてちょっと前の写真なんか見ると、とても美人ですよね。美人のおばあさん。

南木佳士『阿弥陀堂だより』を読んだときに、おうめばあさんというひとがこの小説に出てくるんですが、あ、こりゃ北林谷栄だ、とわたしはたちまち思いましたわ。多くのひとがそう思ったんぢゃないか。そして、現に(わたしは観ていないけど)この小説が映画になったときにはおうめばあさんは当然のように北林谷栄が演じたのだった。盟友・宇野重吉の息子の寺尾聰とも共演したとか。

真野響子は民藝にいたころ、北林谷栄とは共演したことはあったのかなあ。

北林谷栄さんの死で、戦後の新劇を牽引してきた第一世代はほぼ全員、あの世に行っちゃった、って感じですかね。ああ、長岡輝子さんがいるか。あと、文学座の演出家で戍井一郎さんておじいさんがいるけど。そのくらいだと思う。