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アートネタなど日々のあれこれ

バグダッド・カフェ

2022-09-23 14:51:33 | 映画
目黒シネマで「バグダッド・カフェ」を見てきました。

かの名曲“Calling you”…私もめちゃくちゃ好きな曲です。もはや神曲といってもいいこの曲、私はホリー・コールのバージョンで知ったのですが、原曲ももちろん素晴らしい。何度も何度も何度も聴きました…が、肝心の映画の方を見たことがなく…長年、ずーっと気になっていたのですが、何かとタイミングが合わず、今回、ようやく見に行くことができました。

私にとっては長らく幻の映画だったこの映画、いつしか妄想によるストーリーができあがっておりました。主人公は翳りのある中東系のスレンダー美女。砂漠に突如、蜃気楼のように現れたカフェで働く彼女のことを最初は警戒していた地元の人々。しかし、寡黙な彼女には不思議な魅力がありました。人々も次第に心を開き始め、交流が生まれるようになったさなか、彼女の驚きの過去が明らかに…みたいな展開かと勝手に想像していましたが、だいぶ違ってました…(以下、ネタバレ気味です)。

いつも不機嫌でガミガミと怒ってばかりいる黒人女性のブレンダ、スレンダーの反対みたいな白人女性のヤスミン…という、およそ映画の主人公とはかけ離れたタイプの女二人の友情物語…。それにしても、本当に不思議な映画でした。砂漠ではいろんなものがこんな風に見えるんだろうな、という独特の色彩、傾いた画面。そして音楽…オープニング、砂漠の映像とともにcalling youが流れた時の感動…あの歌詞の意味がこの映像とセットになって、ようやく腑に落ちたという感じでした。この映画にしてこの音楽あり(そしてその逆も)、映画と音楽のマッチングでこれ以上のものってなかなかないような…。随所で音楽が効果的に使われていました。コミカルな場面で流れるユーモラスな曲、そしてブレンダの息子が弾くバッハの平均律。おんぼろピアノから流れる平均律は最後、夢のように響いてましたね…。音楽だけなく絵画も魅力的。元ハリウッドの背景担当の老画家が描いたヤスミンの絵はまんまボテロのよう…。

この映画の不思議な浮遊感と世界観は本当に唯一無二…そして、ひさにびさに映画を見て泣きましたよ…映画を見てうるうるくることはあるのですが、泣くことは滅多にないし、そもそも最後に泣いたのがいつだか思い出せないくらいなのですが…。気がついたら、あるシーンで勝手に涙が出てました。ストーリーも演技も映像も音楽も、全てが魔法のようなこの映画、見終わった後、今は亡き水野晴郎さんのあの名ゼリフがしばし頭の中で鳴っておりました…。
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