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シーモアさんと、大人のための人生入門

2017-01-07 00:19:24 | 映画
アップリンクで「シーモアさんと、大人のための人生入門」を見てきました。

俳優のイーサン・ホークが89歳のピアノ教師を撮ったドキュメンタリー映画。アーティストとして、ひとりの人間として行き詰まりを感じていたイーサン・ホークが、ある夕食会でシーモア・バーンスタインに会い、彼と彼のピアノに魅了され、映画を撮ることになりました。この映画、ピアノを弾く人、ピアノが好きな人であれば、ぜひぜひ見ていただきたいような映画です。美しいピアノの調べ、穏やかな語り口がここちよく、心底、癒されます。が、不肖わたくし、体調不良の状態で行ったため、ところどころうつらうつらしてしまい、少々うろ覚えなところがあるのですが・・・(爆)。

シーモアさんは、もともとコンサート・ピアニストでしたが、50歳の時にピアノ教師に転じました。コンサートの不安に耐えられなくなった、というようなようなことを言っていましたが、こういう方でもそんなことってあるのですね・・・。シーモアさんのレッスンの様子も描かれていましたが、生徒のいいところを引き出すのが本当にうまい方だな、ということを感じました。一方で、よくないところの直し方も実に的確。そして、映画にはシーモアさんの趣深い言葉がいくつも散りばめられています。とりわけ印象深かったのが、「音楽家としての自分と普段の自分とを深いところで一体化させること」という言葉。そうすれば、音楽と人生は相互に作用し、果てしない充実感に充たされると。たしかにここまで行くと、達人というか仙人の境地です。そしてある超有名音楽家の名をあげ、彼女は音楽家としての自分と、ひとりの人間としての自分が分離しているということを自分で言っていたと、語っていました。

その他にも名言がたくさん・・・映画全体がまさにシーモアさんの金言集のようなもので、ほんとに名言集でも出してくれないかな、と思ってしまったくらいです。そして、私がもっとも心を打たれてしまったのが、終盤近くのこの言葉。

「この両手で、青空をつかめると思った」

この言葉、ピアノが好きで弾いている人であれば、腑に落ちるのではないかなぁ・・・。

映画のラストはシーモアさん自身のピアノ演奏です。シーモアさんの言葉も素晴らしいのですが、やはりピアニストというのはピアノで語るのが一番雄弁、と思ってしまいました。こんなことを書いてしまうと身もふたもないのですが・・・。嵐の後の澄み渡った青空を思わせるような演奏。頭と心と手が深いところで結びつくと、こういう演奏になるのだろう、と理屈抜きで思いました。ピアノの道はまだまだ奥深いです・・・。
コメント
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