三都市で開催招致を競い合った結果、2020年オリンピックは東京で開催されることになりました。テレビで開催決定を知った時にはよかったなあと思いましたが、インターネットで関連ニュースを見たりする中で疑問に思えたことがありました。それは、IOC総会のプレゼンでの 福島原発事故に対する首相スピーチです。東京招致にあたり、世界には相次ぐ原発の汚染水漏れを懸念する声がありました。その不安を払しょくするのに,安倍首相のスピーチは大きな効果があったのだと思います。ただ、その内容に違和感を覚えたのです。
~ 原発事故の状況は、コントロールされているので、決して東京にダメージを与えない。
本当にコントロールされているのでしょうか。相次ぐ汚染水漏れは、コントロールできる範囲内の問題なのでしょうか。事故処理について東京電力任せにせずに、国が主導して処理にあたると決まったのは、つい最近のことだったのではないでしょうか。事故そのものの検証も定かではなく、事故後もコントロールの範囲を超えた新たな課題や問題が次々と生じ、その対応に追われてきたというのが現状なのではないでしょうか。国が主導することで、本当にコントロールが可能になるのでしょうか。
また、記者会見の質疑応答の中では、次のように述べています。
~ 汚染水問題は、結論から言って全く問題ない。 ~ 健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ないと約束する。
こう断言できる状況に本当にあるのでしょうか。汚染水対策を含め、健康面でも全く問題ないと言い切れるのでしょうか。事故による健康被害〈特に子どもたちの甲状腺ガンなど〉は、長い目で経過観察を続け、将来にわたって健康管理や医療面での継続的支援が求められるものだと思います。今後予測できない事態が生じることはないのでしょうか。全く問題ないと言える根拠は、どこにあるのて゜しょうか。
国内向けではなく、海外向けの安全・安心宣言だったことで、「全く問題ない」と強調したのだと思いますが、もっと現状に応じた発言であってほしいと思いました。全く問題ないと結論づける現状ではないのですから。
世界に向けて約束したことは、福島の人々にも約束したことでもあるはずです。避難を余儀なくされている方が、全く問題なく故郷にもどり、安全で健康な生活ができることを約束した発言だととらえていいのでしょうか。
もし、首相の発言が東京招致の大きな力となったのなら、決して手放しで喜べないように思うのです。発言内容に沿った 国主導による 現状回復と福島の再生が、一日でも早く実現することを切に望みます。