あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

絵本『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』を読んで

2015-06-01 07:32:36 | 日記
先日、ラジオでこの絵本が紹介され、大統領の生き方やスピーチの内容に強く惹かれました。

スピーチをした主人公は、人口300万人ちょっとの小国:南米ウルグアイのムヒカ大統領。
2012年にブラジルで開催された、世界環境会議(悪化している地球環境の現状と未来を話し合う国際会議)での スピーチ全文が紹介されています。
スピーチを読んでみると、改めて 会場に参加した各国代表の人々の心を打ち、感動の拍手を浴びた内容だったということに納得がいきます。

ムヒカ大統領は、給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領公邸には住まず、町から離れた農場で奥さんと暮らしています。
花や野菜をつくり、運転手つきの立派な車に乗る代わりに古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。
そんな大統領を、ウルグアイの人々は親しみをこめて『ペペ』と呼んでいます。

タイトル通り、世界でいちばん お金も ものも 大統領という権威さえ 必要としない
貧しいけれども、人々の幸せを誰よりも強く願い 国民から親しまれている 世界一すばらしい大統領なのだと思います。

どんなスピーチだったのか、印象的な言葉を取り上げ紹介していきます。

~ 今の文明は、私たちがつくったものです。
私たちは、もっと便利でもっとよいものを手に入れようと、さまざまなものをつくってきました。
おかげで、世の中はおどろくほど発展しました。
しかし、それによって、ものをたくさんつくって売ってお金をもうけ、もうけたお金でほしいものを買い、さらにもっとたくさんほしくなって手に入れ
ようとする、そんな社会を生み出しました。

~ そんなしくみを、私たちはうまく使いこなしているでしょうか。
それとも、そんなしくみにおどらされているのでしょうか。
人より豊かになるために、情けようしゃのない競争をくりひろげる世界にいながら、
「心をひとつに、みんないっしょに」などという話ができるのでしょうか。
だれもが持っているはずの、家族や友人や他人を思いやる気持ちは、どこにいってしまったのでしょうか。

~ 私たちが挑戦しなくてならない壁は、とてつもなく巨大です。
目の前にある危機は地球環境の危機ではなく、私たちの生き方の危機です。
人間は、今や自分たちが生きるためにつくってしまったしくみをうまく使いこなすことができず、むしろそのしくみによって危機におちいったのです。

~ 人の命についてはどうでしょうか。
すなおに考えてみましょう。
私たちは発展するためにこの世に生まれてきたのではありません。
この惑星に、幸せになろうと思って生まれてきたのです。
人生は短く、あっとうまです。
そして、命よりも大事なものはありません。
命は基本的なものです。
しかし、必要以上にものを手に入れようと働きづめに働いたために、早々に命がつきてしまったら…?

~1個の電球は、1000時間以上使うと切れてしまいます。
しかし、10万時間も20万時間ももつ電球もあるのです。しかし、そういうものをつくってはいけないのです。
なぜなら、電球はどんどん売らないといけないからです。
働いて、ものを買い、使い捨てする、そんな文明でなければいけないからです。
このような悪循環の中に、私たちはいるのです。

~さっきから私が、「生き方が危機におちいっている」と言っているのは、こうしたことです。
今までとはちがった文化をつくるために、たたかい始める必要があるのです。
人類がほらあなに住んでいた時代の生活にもどろう、と提案しているのではありません。
そうではなくて、今の生き方をずるずると続けてはならない、もっとよい生き方を見つけないといけないと言いたいのです。
私たちの生き方がこのままでよいのか、考え直さないといけない。そう言いたいのです。

~古代の賢人エピクロスやセネカ、そしてアイマラ民族は、次のように言いました。
『貧乏とは、少ししかもっていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっとほしがることである』
このことばは、人間にとって何が大切かを教えています。

~水不足や環境の悪化が、今ある危機の原因ではないのです。
ほんとうの原因は、私たちが目指してきた幸せの中身にあるのです。
見なおさなくはならないのは、わたしたち自身の生き方なのです。

~ 社会が発展することが、幸福をそこなうものであってはなりません。

発展とは、人間の幸せの味方でなくてはならないのです。
 人と人とが幸せな関係を結ぶこと、
 子どもを育てること、
 友人をもつこと、
 地球上に愛があること …

こうしたものは、人間が生きるためにぎりぎり必要な土台です。
発展は、これらをつくることの味方でなくてはならない。
なぜなら、幸せこそがもっとも大切な宝だからです。
人類が幸福であってこそ、よりよい生活ができるのです。


長い紹介になってしまいました。それだけ一つ一つの言葉が心に残るものだったからです。

国の指導者となる人には、是非一読してほしいスピーチだと思いました。
アベノミクスも安保法案も、本当に国民一人一人の幸せの味方となるものなのかどうか?
この大統領のような人が日本の総理大臣であったら、日本の未来を正しい方向に導いていってくれるように感じました。
「世界でいちばん幸せの大切さを知っている大統領(指導者)」なのですから。


心の内にある貧しさが、限りなく多くのものを必要とし、もっともっとという欲望をかきたてる 文明社会。
足りることを知り、人々の幸せを根本から願い・問うことで、発展の質を見なおし おどらされている仕組みを変えることは 可能なのだと思います。
豊かさや便利さを求める道が、幸せを遠ざけ、心の貧しさを増長させてしまっているという危機感を持つことで、人間が本質的に持っている貧しさと向き合うことができるのかもしれません。
そうすることで、自らの生き方を見つめ直し、求める幸せの中身を考えることができるのだと思いました。

誰もが幸せになるためにこの地球上に生まれたのだという考えに立って、発展の方向を見つめ、経済や社会の仕組みをとらえていきたいものです。
それはまた、国の枠にとらわれずに 同じ地球に住む同胞として 一人ひとりの幸せを願うという グローバルな視点に立って物事を考えていくことにもつながっていくように思います。

人類の幸福を妨げる 不必要なもの。 
さしあたって断言できるのが、核兵器であり、原発であり、集団的自衛権の行使を目的とした安保法案なのではないかと 痛感しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする