研修会で星野富弘さんの詩が紹介されました。偕成社から出ている詩画集『速さのちがう時計』に収められている詩の一節だそうです。とても心に残る詩でしたので、次に紹介します。
幸せという花があるとすれば
その花の蕾のようなものであろうか。
辛いという字がある。
もう少しで
幸せになれそうな字である。
『辛』に 横線を一つ加えるだけで 『幸』 になります。 辛いことのある今が、幸せになるための蕾の時期と考えるところに、星野さんの苦難の歴史とそれを乗り越えてきた強さを感じます。幸せの花が開くのも、辛い蕾の時期があってのこと。寒い冬の後に暖かい春がやってくるのと同じように、『辛』の先には、『幸』が待っていてくれるような気がします。
相反する二つの文字であり、相反する二つの思いであるのに、一つ線を加えるだけで一つになってしまうのですね。ただ人生という時間の中では、自分の力で一つの線を加えることは決して簡単なことではなく、たくさんの苦労と時間が必要とされるのだと思います。それでも、その先に咲く『幸』の花を夢見ることで、『辛』の時間は蕾のひとときになるような気がします。
『辛』の蕾が開いて、『幸』の花になる。そう考えることで、生きることが少しは楽になるような感じがします。
被災地での今の『辛』も、一日でも早く『幸』に変わってほしいと心から思います。