あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

タゴールの詩集から

2010-10-01 18:42:30 | インポート

若かりし頃に心惹かれたインドの詩人タゴールの詩を、改めて読み直してみました。

子どもの誕生の喜びを母親の視点で綴った詩がとても心に残っていて、その詩を改めて読ん

でみました。やはり、いい詩ですね。解説を読んでみると、この詩を書いた時のタゴールは、最

愛の奥様を亡くし、悲しみの中にありながら、残された我が子たちのために、母親の思いを代

弁するようにやさしく語りかける詩をつくったようです。母親の愛をいつまでも子どもたちに覚え

ておいてもらいたい…そんな願いがこめられているように思います。かっての感動がじんわりと

よみがえってきます。

長い詩なので、心に残る ひとまとまりの連を いくつか取り出して 紹介します。

    はじまり

               タゴール

わたしは どこから きたの? 

どこで わたしを ひろったの?

こどもが おかあさまに ききました。

  おかあさまは こどもを むねに だきしめて 

  はんぶん泣き はんぶんわらいながら

  こたえました。

    あなたは おかあさまの

    ねがいだったのよ かわいいこ

    わたしの こころに かくれていたの。

      … 略

       あなたは わたしの のぞみと

       愛のなかに わたしの

       おかあさまの いのちのなかに

       わたしの いのちと いっしょに

       いきていたのです。

        …

         あなたの やわらかい みずみずしさは

         わたしの わかい てあしに

         太陽の のぼるまえの そらの輝(ひかり)のように

         はなさいて いたのよ。

            あさのひかりと いっしょにうまれた

            天からの はじめての いとし子よ

            せかいの いのちの 川にうかんで

            ながれて とうとう わたしの

            こころの きしべに のりあげたのよ!

              あなたの おかおを じっとみると-

              なんと ふしぎなことと

              わたしは おどろくの みんなの

              あかちゃんなのに わたしの

              あかちゃんに なるなんて!

                 あかちゃんが いなくなりはしないかと

                 わたしは しっかりと わたしのむねに

                 あなたを だきしめてしまうのよ!

                    世界一の たからものを

                    わたしの このほそい うでのなかに

                    なんと ふしぎな わなが

                    つかまえて きたのでしょうね?

我が子誕生の折の喜びや感動を思い出します。同時に、母親となった妻の存在の大きさを敬愛の思いでかみしめたことも思い出します。  

※タゴールは、アジアで初めてノーベル文学賞を受賞したインドの詩人・小説家・哲学者です。 巻末に掲載された解説によると、美術家として有名な岡倉天心がタゴールと理念や思想を共有する友人関係にあったことがわかりました。二人は、年齢的にも近く(タゴールが1歳年上)、同じ時代を生きた同志といった親しい間柄だったようです。岡倉天心という人も、経歴を見ますととても魅力的な人物だったようです。じっくりと人となりを調べ、後日ブログでも紹介したいと思っています。

コメント (1)
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