あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

大エルミタージュ美術館展(国立新美術館)

2012-05-05 11:43:20 | アート系

大エルミタージュ美術館展に行ってきました。

さすがに「ロシア国外では最大級のエルミタージュ美術館展」と銘打ってあるだけのことはあります。

見終わってから頭に残る作品が多数あるということはそれだけ充実した内容だったということです。

昨日、開館後すぐに入れたがやはり芋洗い状態。

ということでまずは空いてるⅣとⅤを見て、続いてⅢを。

その後、遡ってⅠとⅡをなんとか時間をかけて見てきました。

章毎に気になった作品の感想を。




16世紀
ルネサンス:人間の世紀




☆レオナルド・ダ・ヴィンチ派「裸婦」

パッと見て、んんん、モナリザ?って思ってキャプション見たらそういうことでした。

なんかこの違和感がものすごく残りますね。

あと髪型が違うのはエクスキューズとしてなのかが気になりました。


☆ランベルト・スストリス「ウェヌス」

裸婦なのだけどよく見るとバランスがおかしい。

脚の長いこと、上半身のボリュームがやたらと小さいところなど。

それでも美しいというのがトータルとしての印象。




17世紀
バロック:黄金の世紀




☆ペーテル・パウル・ルーベンス「虹のある風景」

虹のかかる向こう側の景色は恍惚の世界。

イメージの可視化は技量あってこそ。


☆ペーテル・パウル・ルーベンス「ローマの慈愛(キモンとペロ)」

餓死の刑に処されて鎖に繋がれた父に、自らの乳を与えて命を救おうとしてる。

ものすごくおかしなシチュエーションなんだけど切実さのほうがわずかに上回ってる。

生きんとして必死になってる感がものすごく出ています。



☆レンブラント・ファン・レイン「老婦人の肖像」

一軒、写実度が高そうなんだけれども、よくみると筆捌きを活かした描写も残ってて、やはりバランスなのだなあと。


☆マティアス・ストリーマー「ヤコブに長子の権利を売るエサウ」

ちょっとやりすぎ?ってくらいの光の表現。

蝋燭の光でここまでの陰影がでるのか??という突っ込みは置いておいて、人物の表情はとてもよく描けている。




18世紀
ロココと新古典派:革命の世紀




☆ジャン=バティスト・グルーズ「わがまま坊や」

わんこにスプーンで自分の分の食事から分け与えてる。

母親のほうを向いてるけれど気もそぞろ。

なんともかわいらしい。


☆エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「自画像」

絵筆を構える様は画家なのだけれども、なかなかに素敵な女性。

気になったのは腕から背中にかけて巻いた赤い帯。なんか、たすきがけに見えて仕方ない。海外でもそういうのあるんでしょうか?

凛とした雰囲気が印象的。



☆ライト・オブ・ダービー「外からみた鍛冶屋の光景」

光の加減がお見事。

じっくりと見入ってしまう。

鍛冶師の後ろの鉄塊?みたいのによく見るとサインが入ってる。

画面下の辺りの表面に渦みたいなスクラッチ的描写が気になりました。



☆オラース・ヴェルネ「死の天使」

白い綺麗な女性。その後ろに天使の羽。

っと思ったら違う。

その女性を黒子のように存在感を消した黒い何者かが抱えている。

よくみると天使の羽はこの何者かから生えていることがわかる。

死のモチーフということもあるけれどやはり一瞬気づかないくらいの存在としてる構成に参りました。




19世紀
ロマン派からポスト印象派まで:進化する世紀




☆クロード・モネ「霧のウォータールー橋」

こういう流れでみるとやっぱりモネのアプローチはまるで異なるなあと実感。

明らかに他の作品との違いが際立っています。

薄めの淡い紫、グリーン、グレーで構成された画面はかろうじてその形態の判別がつくようなあいまいさ。

モネ、ここ最近は以前ほど惹かれる感じではなかったのですが、惚れ直しました!



☆アンリ・ファンタン=ラトゥール「水の妖精ナイアス」

画面全体に漂う幻想的なトーン。

このポーズが抗うでもなく従うでもなく水と一体なのだなあと。



☆モーリス・ドニ「母と子」

この秘めたる雰囲気がなんともいえない。

色の合わせ方、的確にその対象をシンプルに落としこむ術。見てて妙に落ち着くんですよね。



☆フェリックス・ヴァロットン「アルク=ラ=バタイユ風景」

川の水面の表現が面白い。

たんに流れているのに何故か段があって落ちてくるかのような水の描き方。




20世紀
マティスとその周辺:アヴァンギャルドの世紀



☆アンドレ・ドラン「港」

あれ、野獣派(フォーヴィズム)のはずなのにこのヘロヘロトーンの脱力系はなんだろう。

びっくりするくらいに手数が少なくよくぞここで留めているなあと。

でも、このぽかーんと抜けた感じ、大好きです。


☆キース・ヴァン・ドンゲン「リュシーとその伴侶」

二人をとりかこむ小豆色のオーラみたいなのが素敵。

親しい間柄のひとってこう見えるっていうのを絵の中で視覚化しちゃってる。



☆アンリ・マティス「赤い部屋(赤のハーモニー)」

チラシなどのビジュアルで何度となく目にしていた絵。

見てて感じるのはとてもフラットだなあと。

左の窓があることで圧迫感を避け空間の広がりを持たせてはいるものの、それでも平面感を感じる画面は面白い。



☆パブロ・ピカソ「マンドリンを弾く女」

キュビズム的に面と線の刻み方が比較的おとなしく普通に見られる。

あとこの表情がなんともいい。


☆アンドレ・ドラン「木立」

いびつな地面の盛り上がりから生える木々。

そのほとんどが二本対になって生えてるかのよう。画面中央に生えてる木のため、なんとなくなんだけども横尾忠則のY字路っぽい感じがしなくもない。

なんでもない木が描かれているだけでここまで目がいく絵はそうそうないのでは。



ポストカードは種類が多く選ぶのに迷うほど。一枚100円は有難いところです。


そしてロシアといえばチェブラーシカ!

今回のダイエルミタージュ美術館展とのコラボグッズが販売されています。

↑こちらはクリアファイル。

ショップの出口に一番近いところにコーナーがあるのでこちらも是非。

会場の導線はかなり広くとってますがそれでもさすがのGW、混雑していました。

7/16まで。
コメント
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