超人日記・俳句

自作俳句を中心に、自作短歌や読書やクラシックの感想も書いています。

ヘーゲルが理想を語る

2022-08-05 16:05:16 | 無題
晃洋書房の海老沢善一著ヘーゲル『大論理学』を読む。
最初の導入部は具体的で親切だが、「大論理学」の説明に入ると極度に抽象的になる。

大論理学で、ヘーゲルは神学を、現実に重ね合わせた。
大論理学は、論理学のかたちを取ったヘーゲルの現実のとらえ方であり、とどのつまり神学である。
(それは絶対精神=神の存在を規定する有論、現象と現実の本質としての神を規定する本質論、
主観と客観の統一としての神であり、絶対精神でもある「理念」へと至る概念論で終わっている。)

ヘーゲルは、神は精神として外化して、自らを知って、歴史を作り、哲学に絶対知を与えて、自分に帰る、と言う。
この神の自己展開の運動を、論理学のかたちを借りて、記したのが、「大論理学」である。

基本的に、彼の考え方は、「精神現象学」と同様のものだが、より客観的な「論理学」の形式を借りて、
絶対精神である神が、歴史と哲学の場で自己展開する、という彼の理論を、より抽象的に言いかえたのが、この「大論理学」である。歴史に理性の表出として登場する世界精神そのものとして、ヘーゲルはフランス革命やナポレオンを歓迎していたのだが、その挫折と没落の時代に、「大論理学」は書かれた。
そういう時代背景を知って読むと、ナポレオンの啓蒙はダメだったけど、
神は歴史を裏切らない、という反骨の書として、ヘーゲルの声を読むことができる。

難解な論理を取って示された自己を顕わす神を語る書

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