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大ヒットSF小説『三体』ドラマ版(中国版)放送開始〜原作ファンに絶賛される”中国初のSFドラマ”

2023年01月21日 | エンタメの日記
中国で絶大な人気を誇るSF小説『三体』のテレビドラマの放送が始まりました。『三体』は劉慈欣作のSF小説で、世界20カ国以上で翻訳され、日本でも2019年に英語版をもとに翻訳出版されています。
小説『三体』の第一部が中国で出版されたのは2008年、2011年には三部作が出揃っていました。これまでにも、この人気作の映像化が企画されたことはあり、2015年には中国で映画版の撮影が進められていました。しかし、制作会社の事情で公開に至ることなく頓挫しています。
今回中国で放送が始まったのは中国制作版のドラマ『三体』です。Netflixが曾国祥(デレク・ツァン)監督、「ゲーム・オブ・スローンズ」の制作陣を起用して2023年にドラマ『三体』を制作すると発表していますが、Netflix版とはまったく別の作品です。

中国ドラマ『三体』(THREE BODY) 全30話、1話約45分 放送開始日:2023年1月15日 
放送媒体:CCTV-8(中央電視台第8チャンネル) ネット配信:テンセントビデオ/MIGU
監督:楊磊(ヤン・レイ)1979年生まれのドラマ監督
出演:張魯一、于和偉、陳瑾、王子文、李小冉、林永健など


ドラマ『三体』は中国の年末(旧正月前)にあたる1月15日に放送が始まるやいなや、各方面から絶賛されています。特に原作小説ファンから「原作を忠実に再現している」「小説を読みながら想像していたとおり」などと高く支持されています。
SF小説が本格的にドラマ化されたのは中国では初めかもしれませんが、ファンの期待をまったく裏切らないハイクオリティなSFドラマに仕上がっています。演技派として知られるベテラン俳優がキャスティングされており、原作のイメージを損ねることのない知的な演技を披露しています。

主役の物理学者汪淼(ワンミャオ):張魯一。1980年生まれ。中国映画版『容疑者xの献身』(2017年公開)で数学教師・石神に相当する役(石泓)を演じています。


刑事史強(シーチャン):于和偉。1971年生まれ。ベテラン人気俳優。最近はドラマ『覚醒年代』、チャン・イーモウ監督映画『崖上のスパイ』などに出演。


冒頭は難解で平坦なシーンが続きますが、5話くらいから史強(シーチャン)の人間的魅力が鮮明になり、汪淼(ワンミャオ)との掛け合いも増えてドラマとして面白くなってきます。


申玉菲(シェン・ユーフェイ):李小冉。1976年生まれ。クールな美貌にすらりとしたスタイルの有名な女優。 申玉菲としては美人すぎるのではという声もあり。


葉文潔(イエ・ウエンジエ):老年期:陳瑾 青年期:王子文


原作小説どおり冒頭部分はすべてが伏線なので、物語があまり進みません。テレビドラマとして視聴するには、最初の5話くらいは苦痛に感じるかもしれません。
VRゲーム「三体」が出てくるのは7話からです。VRゲームが出てくるあたりから面白くなります。




撮影場所は寧波(ニンポー)をベースに、北京の天文台や山岳地帯を組み合わせ、贅沢な屋外ロケが行われています。
劇中で使用されている携帯電話や電子機器は2007年当時のものをリアルに再現し、音楽、特殊効果のクオリティも高く、全体として非常にレベルの高いドラマです。

日本語版小説『三体』は英語版をもとに翻訳されており、中国語版『三体』とは物語の進み方の順序が若干異なります。
一つの相違として、中国版小説は文化大革命時代のシーンからは始まりません。中国版ドラマは中国で出版された小説に則って映像化されているので、文革のくだり(葉文潔の過去として描かれる)が出てくるのは4話です。また、「紅岸基地」が本格的に描かれるのは10話からになります。
巨額の制作費を投じて作られたドラマなので、万が一にも当局から放送停止を命じられるようなことはあってはなりません。
そのため、文革に関わる部分は慎重に表現されており、カットされた場面ももちろんありますが、核心的なセリフは残されていると言われています。
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