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モザイクのかかった“中国プデュ”「創造営2021」と「青春有你3」~ソニーミュージック橋本裕太の活躍

2021年04月02日 | 創造営2021
現在中国では「PRODUCE101」形式のオーディション番組が2つ平行して放送されています。いわゆる“中国版プデュ”といわれるものです。2月中旬に始まったので、ちょうど中盤から後半にさしかかるところです。

テンセントビデオの「創造営2021」は水曜日と土曜日、iQIYIの「青春有你3」(Youth With You 3)は木曜日と土曜日に放送されることになっていますが、放送日はやや変則的になっています。
3月25日(木)に放送されるはずだった「青春有你3」(第11期)は当日になって放送延期が発表されました。
その2日間後、3月27日(土)に放送された第2回公演の回では、練習生たちが着用しているAdidasのTシャツのロゴに、すべてモザイクがかけられていました。


モザイクがかけられる前の回。全員がAdidasのTシャツを公式練習着として使用していました。


これは「新疆ウイグル産綿(新疆綿花)使用問題」に起因するものです。

欧米アパレル市場では2020年頃からウイグル産綿の使用について異議を唱える世論があり、大手アパレル企業では「ウイグル産綿を使用しないこと」をデューディリジェンスに掲げる動きが広がっています。
つまり、ウイグル産綿の使用問題はいまに始まったことではないのですが、3月24日に共産党青年団組織のWeibo公式アカウントで正面からH&Aを批判したことをきっかけに、中国のネット上で一気に火がつき大問題となりました。
さらには、国際NGO「ベター・コットン・イニシアティブ」(BCI)が批判の対象となっため、BCIに加盟している大手企業が軒並みボイコット対象になり、Adidas、ナイキ、Pumaなども影響を受けました。
このネット発のボイコットを受け、メジャーな中国芸能人が次々と、Adidas、ナイキ、Puma等との広告イメージキャラクターを終了すると宣言しました。

もうひとつの“中国プデュ”、テンセントビデオの「創造営2021」はPumaブランドをスポンサーとしていますが、3月27日放送分からPumaのロゴにモザイクがかけられました。


モザイクがかかる前の回の練習風景。


SNSが火をつけるボイコットの特徴は、前々から存在していた問題なのに、あるタイミングで爆発的に情報が拡散し、過激な短文論争が展開される点です。どのタイミングで爆発するのかは予想ができず、竜巻のようなものです。

大量のモザイクがかけられ白っぽくなった「創造営2021」(第6期)が放送された数日後、Avexが中国のネット上で叩かれる騒ぎが起きました。
それは、2018年にAvex日本サイトに掲載された記事の中の、国に関係する単語の並べ方に問題があるとして炎上しました。
記事の内容としては、アジアでの音楽事業展開について紹介しているだけで、政治的な要素はまったくありません。むしろ、アジアの音楽市場を好意的に捉えている内容なのですが、「台湾」の記載の仕方に問題があると叩かれて炎上しました。記事は中国語で書かれたものではなく、日本向けに日本語で書かれたものです。
「こんなことでこんなに炎上するのか」とびっくりせざるを得ません。また、過去の細かい発言や表記まで掘り起こして干渉されるのであれば、対策のしようがありません。
Avexは「Avex国際部」のWeiboアカウントを通じて即座に対応しました。

なぜこのタイミングで過去のことが掘り起こされたのか。「ウイグル産綿使用問題」で白いモザイクが揺らめく番組映像を見て、人々の政治的な情緒が刺激されたのかもしれません。
また、これまでの「中国プデュ」のあり方と比べると、今回の「創造営2021」はAvex所属の練習生が強すぎたかも?という気はします。
この種の番組でデビューメンバーが特定の事務所に偏ると視聴者は反感を抱きます。視聴者が「有力事務所は番組制作側と繋がっているから優遇されている。」と疑うからです。
「PRODUCE 101」形式の番組には100名近くもの練習生が参加するため、全員に均等にカメラが向けられるわけではありません。長い尺を取ってフォーカスされる練習生もいれば、欠点を指摘される練習生もいるし、全く存在感を示せずに去っていく練習生もいます。
扱いに差があるのは仕方のないことですが、順位は視聴者の投票で決まり投票には課金が伴うため、特定の事務所の練習生が優遇されていると感じると、「投票者である視聴者を尊重していない。」という不満が生まれます。そのことが、番組の中で目立っていたAvex勢を叩く遠因になったかもしれません。

ただ、今回のAvexの過去のネット記事のことがなくても、日本人選手が攻撃される潜在的な要素(主に政治的な問題)は山のように存在します。
そもそも、中国のネット・SNSは毎日何らかの問題で炎上しています。炎上が常態化しており、移り変わりも早いです。
今日叩かれるのは自分でも、来週には別の人が叩かれています。

参加している練習生は本人の行動とは関係のない原因で叩かれて気の毒としかいいようがありませんが、このような状況の中でできるのは、気にしないこと。そして、思うことがあっても個人的な意見を発しないこと。しかないのではと思います。
恐ろしい波が向かってきたとき、波を止めることはできず、波に呑み込まれないように泳いでいくしかないです。
Avex側もできることはやったと思うので、周りに惑わされず練習生たちがパフォーマンスに集中できることを願っています。

「創造営2021」では沢山の日本人練習生が活躍していますが、「青春有你3」に参加している日本人の橋本裕太も健闘しています。
橋本裕太は「青春有你3」の唯一の日本人練習生です。

橋本裕太 1995年2月5日生まれ 身長180cm ソニーミュージック所属。


シンガーソングライターとして活動しており歌がうまいです。中国語もかなりできて、中国人練習生とのコミュニケーションも活発です。
歌唱力という武器があり、中国人に混じって頑張る真っ直ぐで温厚な努力家という印象を持たれており、中国ファンから応援されています。
特にベテラン練習生・姜京佐がルームメイトだったのが良かったです。
姜京佐と橋本裕太。テーマ曲の練習に挑むために結成されたコンビ。


宿舎(4人部屋)のルームメイトは姜京佐、李俊濠、劉冠佑。ルームメイトに恵まれました。


テーマ曲の日本語版をアカペラで歌い大きな反響がありました。第1回目順位発表では51位で通過。


「創造営2021」の方が話題性がありますが「青春有你3」も面白いです。
「青春有你3」の方がビジュアルへのこだわりが強く、メイクが濃くて衣装が耽美系です。そして話の展開がオタク(腐女子)向けです。とにかくCPネタを次々と投下してきます。逆にいうと、CP人気に乗れない練習生はかなり不利になります。
全員参加のテーマ曲のパフォーマンスに挑む際は、練習生が各自誰かに宛てて手紙を書き、マッチングすればコンビ成立というお見合い番組のような展開でした。CPを煽るカメラワークが天才的で、練習生たちもCPを煽って楽しそうに盛り上がる姿が映し出され、この子たちは一体どういうメンタリティなんだろう・・・と思います。
しかし、番組収録中にスポンサー商品の広告撮影が入ったり、他社メディアのインタビューを受けたり、さらには別のバラエティ番組にゲスト出演したりと外部の「仕事」が多いです。こういった「仕事」はランキング上位の人気練習生にあてがわれます。
そのため、一部の練習生は課題パフォーマンスの準備に集中することができず苦労します。練習中も広告撮影用のメイクをしたまま参加している姿が見受けられます。

「創造営2021」も同様に広告や外部の「仕事」はありますが、相対的にいうと「創造営2021」の方が練習生たちが一つのステージを作り上げていくプロセスを重視しています。
「創造営2021」がこれほど多くの外国人練習生を迎え入れたのは、テンセントビデオの海外版アプリ「WeTV」を普及させるためでもあり、中国企業テンセントの海外事業展開の一環といえます。
タイ、マレーシアなど東南アジア、日本、韓国をメインターゲットにしています。日本人練習生がこの番組に出るのは大変なことと思いますが、「創造営2021」に参加したことによって、タイやフィリピンなどでも存在を知ってもらえる可能性もあります。
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