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日本アニメ・ドラマ配信に力を入れる中国動画サイトPPTV~三強にどこまで迫れるか

2017年01月02日 | エンタメの日記
かつて海賊版の宝庫だった中国動画サイトは、2011年頃から徐々に法制化が進み、映画、ドラマ、バラエティ、コンサート中継、アニメなどを正規配信するプラットフォームになっています。
Youtubeだけでなく、Netflix、huluなどの欧米系の動画サイトは、法律上の規制で中国市場に参入することができません。
そのため中国の大手動画サイトYouku、iQIYI、テンセント動画などは、「中国版Netflixと中国版Youtubeの融合体」のような存在になっています。

中国の動画サイトユーザー規模は、5億ユーザー程度と言われており、実際、人気のある中国ドラマは1話あたりの配信回数が億を超えます。
「大ヒット」と呼ばれるためには、億単位の再生回数を記録しなければなりません。
これは動画サイトとテレビの融合が進んだ結果ともいえます。

現在、中国の動画サイトはYouku(優酷)、iQIYI(愛奇芸)、テンセント(騰訊)動画が三強といわれています。

この3サイトはそれぞれIT大手の資本的背景を有します。

iQIYI:検索エンジン百度(Baidu)の傘下。
Youku:2016年に正式にアリババ(Alibaba)傘下に入る ※Youkuと合併したTudouはYoukuへの統合吸収が加速しています。
テンセント動画:QQ、Wechat、ゲーム配信会社として強い影響力を有するテンセント(Tencent)の動画サイト。

上記の三巨頭の頭文字をとって「BAT」と呼ばれます。

この「BAT」に迫る第二グループに属する動画サイトの一つが「PPTV」です。
PPTV聚力 http://www.pptv.com/

PPTVは上海を拠点とする古くからある動画サイトの一つですが、2013年に中国家電大手の蘇寧(SUNING)が資本参加したことが一つの転機となっています。
蘇寧(SUNING)は2009年にLaoxを買収した会社です。

PPTVは古くから存在しているとはいえ、Youku、iQIYI、テンセント、Letv(楽視網)に比べると存在感が薄かったです。
ところが、2015年あたりから配信コンテンツが徐々に充実し、特に日本アニメのラインナップが充実しています。目利きが版権購入しているような印象を与えます。
第二勢力の中では、Letv(楽視網)よりもPPTVの方が勢いを感じます(Letvはハード機器の販売が占める比率が高いので、単純に比較することはできませんが)。

本格的に目を引くようになったのは、2016年4月新番アニメ「文豪ストレイドッグス」の独占配信権を獲得したことです。


「文豪ストレイドッグス」は中国アニメファンの間で期待度が高く、他サイトでも配信意向が高かったであろう作品が、なぜPPTVでしかも独占配信できたのか!?と驚かれました。
その後も「91days」「ドリフターズ」「ALL OUT」などを独占配信しています。
クールによっては、新番配信のラインナップが、bilibili動画よりもPPTVの方が充実しているときがあります。

PPTVは正規版と非正規版(海賊版)が混在しており批判されるところもありますが、全体としては正規版化に向けてシフトしています。

PPTVで配信中の日本アニメ


PPTVは2016年後半から、日本ドラマの配信にも力を入れています。
「ダメな私に恋してください」「下町ロケット」などTBS系ドラマを配信しています。

下町ロケット 2016年11月頃からPPTVで配信。毎週火曜日、水曜日に一話ずつ更新。(中国語タイトル:下町火箭)




「ダメな私に恋してください」2016年10月頃から配信PPTVで配信。毎週火曜日、水曜日に一話ずつ更新。(中国語タイトル:請和廃柴的我談恋愛)


中国動画サイトで海外ドラマを正規配信するためには、全話分が出来上がった後に中国当局の審査を受けなければならないので、日本と同時配信することはできません(日本ではドラマの制作と放送が同時進行するため)。
そのため、日本での放送よりも数ヶ月遅れての配信になるので、「ダメな私に恋してください」や「下町ロケット」のPPTV配信については、予期していたほどの反響は得られなかったかもしれません。

「ダメな私に恋してください」は2016年の1月クールのドラマなので、日本放送中に中国語字幕付きの海賊版がかなり出回ってしまっていました。
人気があった分、すでに字幕付き海賊版を見てしまったという人が多かったのではないでしょうか。2016年の秋になって「正規版」が配信されても新鮮味が薄れていました。
「半沢直樹」は中国でも(海賊版が)大ヒットしたのですが、「下町ロケット」の面白さは少し伝わりにくかったかもしれません。

逆に、日本では難しいとされる恋愛ものが中国ではウケるような気がします。
例えば、月9の「好きな人がいること」や「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」といった20代の男女を主人公とする恋愛ドラマは、中国でやっていたらかなりの人気を集めるのではと思います。

2016年10月クールのヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」もPPTVで正規版配信されるのではと期待しています。
いま当局の審査を受けているとすると、3月頃には配信されるのではないでしょうか。
「逃げるは恥だが役に立つ」は海賊版動画が比較的厳しく取り締まられているので、もしPPTV又は他の動画サイトで早期に正規版が配信されれば、日本新作ドラマの中国における本当の関心度を表すことができるのでは。

中国にも日本ドラマファンは確実に存在するので、少し時間がかかっても「PPTVでは日本ドラマが見れる」という認識が根付けば、日本ドラマや映画の中国配信がより活性化するのではと思います。
コメント (5)
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