上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

2010上海万博 韓国館 ~東方神起ユノ、SJ-M、f(x)出演 ミニフィルム「コーラスシティ」~

2010年12月23日 | エンタメの日記
半年に渡って開催された上海万博が終わってもうすぐ2ヶ月になります。
上海万博の公式スローガンは「城市、譲生活更美好」。英語では「Better City, Better Life」(より良い都市、より良い生活)で、未来において、人間の暮らしをより良くする都市はどのようなものであるかということをテーマに、パビリオンが企画されています。
各国のパビリオンが採用した主なテーマは、環境保護、未来のハイテク交通機関、ロボット開発、自然資源の活用、民族文化、食文化などです。

 --- 国別のテーマ傾向 ---
 環境保護、エコ・テクノロジー : ヨーロッパ諸国、日本、シンガポールなど
 観光スポットのアピール : 韓国、マレーシア、タイ、香港など
 天然資源を紹介 : 中東諸国
 独自の文化、グルメ、自然環境など : 南米、東南アジア諸国、東欧など

何らかの面において、中国との友好関係をアピールすることは全パビリオン共通といってもいいです。例えば、
 日本館 ⇒ トキの繁殖を通じた日中友好。
 オーストラリア館 ⇒ 中華系移民の社会融合。
中国からの投資や援助を受けているアフリカ諸国や、政治的な縁が深い国(パキスタンなど)は特に、両国の友好が強調されます。

数あるパビリオンの中でも特に中国との友好関係、観光誘致に積極的な姿勢を見せていたのが韓国館です。韓国館は、1階がガレージのようなオープンスペースになっており、民族楽や舞踊のパフォーマンスを行うステージが設置されており、屋内2階が展示エリアとなっています。韓国館の1階に入るとまず、

「あなたの友人・大韓民国」 (您的朋友大韓民国)

と中国語で書かれた大きな看板が目に入ります。2階の展示エリアの入口には

過去5000年に渡り、韓国は中国の友人だった。
将来5000年も、韓国は中国の友人。

・・・と、あまりにも熱烈なアプローチに面くらいます。
パビリオン全体を通じて、「中国の皆さん、ぜひ韓国に遊びに来てください」というメッセージに満ち溢れているのです。


↑この写真のみ万博オフィシャルサイトから転載:http://www.expo2010.cn





韓国館は「韓国と中国の現代におけるつながり」を前面に出していて、韓国料理、旅行、芸能、スポーツ、先進IT機器(サムスン、LG)、2012年の韓国麗水(ヨス)万博を主にアピールしています。サムスン、LG、農心(←辛ラーメンを作っている会社)などの多国籍企業と並んで、SMエンターテイメントが協賛企業として参加しています。館内のディスプレイモニターに少女時代、f(x)、SHINeeなどの映像が流れます。


そして、韓国館の目玉は館内のシアターで上映されるショートフィルムとバレエパフォーマンスです。約10分間のショートフィルムの主演は東方神起のユノ、SJ-M、f(x)のメンバーも出演します。

最初このフィルムを見たときは、のけぞりました。

なんじゃこりゃ・・・一瞬、SMTOWNの会場にタイムスリップしたのかと思いました。
それくらいSMカラーに溢れた作品だったのです。

韓国館のフィルム上演は、万博パビリオンとしては極めて珍しく、見ようと思えば1日に何回でも見られる構造になっています。せっかく並んで入場したので、次の回の上映も見ました。

2回目に見たら、感動しました。

このショートフィルムは非常に良く出来ています。
主人公は薇薇(ウェイウェイ)という名前の小さな女の子で、ユノを主演に、SJ-Mとf(x)のメンバーが出演します。既にハンギョンはいません。ハンギョンの代わりだったのでしょうか、SuperJuniorのウニョクが出演しています。f(x)のメンバーでは、ルナが出演していないような気がします。一番目立つのはスルリで、スルリ、アンバー、ビクトリア、クリスタルの順でカメラカットが多いと思います。
このショートフィルムを万博会場、または動画でご覧になった方もいるかと思いますが、意味が分かりましたでしょうか?実は結構緻密な作りになっていて、見れば見るほどよくできています。細かい設定とストーリーがあり、2回目に見て初めて気がついたところがたくさんあります。

~~ 設定とあらすじ ~~

舞台となるのは「コーラスシティ」(和声城市)と呼ばれる、中国と韓国の友好によって築かれた街。
ユノ、SJ-M、f(x)のメンバーは、“Wish Maker”という、街の人々の願いを叶えたり、困っている人を助ける精霊という設定です。彼らは中国・韓国の若者ということになっています。ここで華人であるチョウミ、ヘンリー、ビクトリア、Amberが少しクローズアップされます。(ユノやSJ-Mのメンバーは“精霊”であるという設定は、フィルムの冒頭で説明されるのですが、これを見逃すと話の意味全体が分からないと思います)

ユノも“Wish Maker”の一人だけど、気が小さくて経験も浅く、なかなか人々の役に立てないことを気に病んでいる。
ある日ユノは、ダンスが大好きだったのに、事故で足を怪我し歩けなくなってしまった少女・薇薇(ウェイウェイ)と出会う。
家に閉じこもっている薇薇のたった一人の友達は踊り子の人形。
ところが、その大切な人形を手を滑らせて落としてしまう。ユノはとっさに救おうとするが、あと少しのところで間に合わず、人形の足がぽっきりと折れてしまう。
足を怪我してから心を閉ざしている薇薇はユノと打ち解けようとしない。
“Wish Maker”なのに人を助けられなかったユノは、自己嫌悪に陥る。

“Wish Maker”の会議の時間が迫っている。
ユノは急いで天空にある司令室に向かうが、また遅刻して“Wish Maker”の司令官であるシウォンに怒られてしまう。街の天空に浮かぶ“Wish Maker”の司令室では、「新鮮な空気が吸いたい」「渋滞を何とかしてほしい」といった人々の願いがディスプレイに浮かび上がっている。
シウォン、SJ-M、f(x)のメンバーたちは、今日はどこに行って困っている人を助けるかを相談し終えると、天空の司令塔から地上に向かって、勢い良い飛び立っていく。
ユノとスルリの2人が残される。

スルリ: 今日は飛べる?
ユノ : もちろん!

とユノは答えるが、ユノは飛び立つことができない。
スルリは「行ってくるわね。」とユノに言い残して、飛び去ってしまう。
ユノは一人、司令塔に残される。

“Wish Maker”たちが今日の任務を終えて司令室に帰ってくる。ディスプレイには願いが叶えられた人々の笑顔が映っているが、一人だけ怒っている女の子がいる。それはユノが出会った足の悪い女の子だった。女の子は叫ぶ。

「私は笑顔が大嫌い!誰も笑わないようにして!それが私の願い!」

そこでユノが女の子の様子を見に行くことになる。

ユノは歩くことができない薇薇に「一緒に踊ろう」と言う。薇薇はユノを拒絶する。
ユノは薇薇に踊ろうといいながら、「僕も本当は踊りたい(飛び立ちたい)」と打ち明ける。

ユノは踊り子の人形で女の子をおびき寄せようとするが、怒った女の子は電動車椅子の操作を誤り、外に放り出されてしまう。車椅子が暴走し、薇薇はどうすることもできない。いつも司令塔から飛び立つことができないユノが、薇薇を救うために宙に向かって跳び上がる・・・。

ユノは薇薇を抱きとめるが、二人は真っ逆さまに落下していく。
薇薇はユノに抱きしめられながら「お兄ちゃん。ありがとう。」と静かに目を閉じる。

すると、壊れてしまったはずの踊り子の人形が夜空でゆっくりと舞っている。

薇薇 「あれ?どういうこと? まるで時間が止まったみたい・・?」

暗闇に包まれていた街に灯がともる。

「薇薇、あなたの周りには、あなたのことを思っている人がいることを忘れないで。
 あなたが笑顔を取り戻して幸せに暮らせることを願っている。」 と囁く声が聞こえる。

地上では“Wish Maker”の仲間たちが待っている。
ユノと薇薇はゆっくりと地上に降り、SJ-M、f(x)の皆と一緒に踊り出す・・・。

苦しいときでも、目には見えなくても、“Wish Maker”のように見守ってくれているものが、私たちが生きる街には存在する。だから元気を出して。
というのがこのミニフィルムのメッセージです。

薇薇の家族は全く登場せず、7~8歳の小さな女の子が人形だけを友達に、電動車椅子に乗って一人で暮らしているようです。そして、最後まで薇薇が立ち上がることはないし、足が治るという兆しもありません。
現実と夢の交差を、アニメ・CG・韓国アイドルの融合により表現し、SMエンターテイメントのカラーで包み込んだ素晴らしいフィルムだと思いました。2回目に見たときは・・・。(1回目は良さが分からなかった)

フィルム上映が終わると、女性のバレエダンサーが登場して踊り出します。

左側にソウル、右側に上海の街をイメージしたディスプレイが浮かび上がるところで観客が拍手・・・
ダンサーが水晶のような球を手に取って踊った後、客席に降りて観客を1人選んでステージに招くと、スクリーンにはテロップが流れ、SJ-Mたちが歌う音楽が流れる・・・。

~~ 上海万博2010 韓国館 「コーラスシティ」(和声城市/Chorus City)歌詞 ~~ 

幻想中的時間 就在你眼前
(夢の時間は あなたの目の前にある)

心懐已久的夢想 我們一同実現
(ずっと心に抱いていた夢を 私たちは一緒に実現する)

充満驚喜地未来 就在這裡進来
(喜びと驚きに満ちた未来 ここがその入口)

新世界魅力舞台 等你写下精彩
(新しい世界の舞台は あなたが輝きを添えるのを待っている)

你我的新世界 記下所有精彩
(あなたと私の新世界 全ての輝きをここに記す)

這是歓楽家園
(幸せに満ちた 私たちが住む町)

New world it's for you

幻想中的新世界
(夢に描いた新世界)

New world just for you
let me show you

New world it's for you

絢麗多彩的舞台
(色鮮やかに輝く舞台)

New world just for you

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

上海万博という国家レベルのイベントで、私企業である芸能事務所がここまで強い影響力を発揮している例は、他には存在しません。エンターテイメントは韓国の強みで、国際的に競争力のある輸出アイテムである。韓国政府はそのように位置付けているのではないでしょうか。エンタメは対外的に(特に中国に対して)、プラスの宣伝効果・国益をもたらすものと認められているからこそ、こういう企画が実現できるのではと思います。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする