赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

2021年8月のロシアの日本侵攻計画

2024-03-17 00:00:00 | 政治見解



2021年8月のロシアの日本侵攻計画:240317情報


TVやネットニュースでは、事前に重要な情報をつかみ切れていないのがほとんどですが、シンクタンクなどの情報分析機関では、事前に様々な事態を予見できる機能があると言われています。米シンクタンクの一つ、ハドソン研究所の長尾氏は、ロシアのウクライナ侵攻を事前に察知した一人であるようで、次のような事実を語っています。


ロシアのウクライナ侵攻は3ヶ月以上も前から予見されていた

当時、ロシアの侵攻は、突然に起こったように見えましたよね。実際、日本やウクライナでは直前までロシアによる侵攻はないと言っていました。つまり、私たち日本を含め、当事者であるウクライナですら、事前に察知できていなかったわけです。

しかし、ただ1つ事前にロシアの動向を全て察知していた国があります。それがアメリカです。

メディアは多くを報道しませんでしたが、アメリカ政府は早くからロシアの侵攻情報を握り、全世界に向けて警鐘を鳴らしていました。実際、バイデン大統領の発言を時系列順に見てみると、、

===
「ロシアが計画外の軍事演習をしている。重大な挑戦だ」(2021年11月)
「プーチンが行動を起こしにくくする、包括的で有効な方策を取る」(2021年12月3日)
===

ウクライナ侵攻の3ヶ月も前から、このような発言をしていたことがわかります。これは非常に異例なことでした。なぜなら、手の内を明かすと、情報の出所も全てわかってしまうからです。そうなれば、情報提供者は処分されてしまいますから、情報が入りにくくなってしまいます。

ただ、そうまでして、情報発信をする必要性があったということです。しかし、それでも伝わらないが故に、

===
「プーチンが動く可能性がある」(2022年1月19日)
「もう全面戦争が始まるからアメリカ人はすぐウクライナから逃げなさい」(2022年2月10日)
「ロシアが1週間か数日のうちにウクライナを攻撃する。信じるに足る理由がある。ターゲットはキエフだ」(2022年2月18日)
===

侵攻のギリギリまで、ここまでのことを言っています。それでも、日本やウクライナは侵攻など起きないと思っていたのです。しかし、現実にはアメリカの言う通りになってしまいました。


さて、この話、どこか似たようなものを感じませんでしたか? そうです、台湾有事への警告です。

幾度となくアメリカは警鐘を鳴らしています。現に、

「今後2027年までの間に中国が台湾に軍事攻撃を仕掛ける恐れがある」米インド太平洋軍フィリップ・デービッドソン司令官(2021年当時)
「北京政府が台湾の奪取を加速させようとしている」ーアントニー・ブリンケン米国務長官(2022年10月)
「習主席は2027年までに台湾侵攻の準備をするよう軍に命じている」ーウィリアム・バーンズCIA長官(2023年2月)
「2025年に台湾有事でアメリカと中国が戦う」 (2023年1月にアメリカ空軍高官のメモが流出)
===

このような発言が多々見られます。しかし、残念ながらこの現実を多くの日本人が「目の前に迫る危機」として受け入れていないのです。

私の家族や友人たちもそうです。これは心理学の世界では「正常化バイアス」と呼ばれるもので、頭の良い人ほど「これから起こる可能性のある災難や被害」を甘く見積もってしまいます。

要するに「今まで起こらなかったから、これからも大丈夫だろう」と結果を甘くみくびってしまうのです。しかし、現実は、私たちの気付かないうちに事が進んでしまうことの方が多いでしょう。

実際、多くの日本人は知らされていませんが、2021年8月頃、ロシアが日本への侵攻準備を進めていたことも明らかになっています。

もう一度言います。日本への武力侵攻の準備です。【※1】 信じられないかもしれませんが、ロシアの内部告発者によってその事実が明るみになっています。一歩間違えば、ウクライナは今日の日本だったかもしれないということです。

【※1】2022年11月25日、ニューズウィークは、「ウラジーミル・プーチン大統領が率いるロシアは、ウクライナへの大規模侵攻に着手する何ヵ月も前の2021年8月、日本を攻撃する局地的な軍事紛争の準備を進めていた」との衝撃的なニュースを報道した。

同誌によると、「Wind of Change(変革の風)」と名乗るロシア情報機関FSB職員がロシア人の人権擁護活動家ウラジーミル・オセチキンに定期的に送信しているメールの一つに基づいたものという。

オセチキンは、ロシアの腐敗を告発するサイト「グラグ・ネット」の運営者で、オセチキンが公開した内部告発者のメールは、FSB専門家でオープンソースの調査報道機関べリングキャットの代表のクリスト・グローゼフによって分析されている。グローゼフがこのメールを「FSB(現・元)職員の知人」に見せたところ、「FSBの同僚が書いたものに間違いない」という答えが返ってきたという。

告発者は、「日本政府にとって、北方領土が現在の地政学的関係の土台となっている。日本にとって北方領土の返還は、戦後のステータスの見直し(場合によっては取り消し)を意味することになる」とし、「ロシア政府にとって北方領土は、有利な交渉の切り札であり、戦後の取り決めを見直す試みをすべて、非常に否定的に受け止める」とする。



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(後)現下の日本政治は、大化の改新に学べ

2024-03-16 00:00:00 | 政治見解




(後)現下の日本政治は、大化の改新に学べ :240316情報
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昨日にひきつづき、現下の悪政を改めるには「大化の改新」をモデルとすべきではないかというお話です。


■4.全国規模での戸籍作成

天智天皇は即位の2年後、670年に全国規模での戸籍を作成しました。その年の干支にちなんで、庚午年籍(こうごのねんじゃく)と呼ばれる、わが国最古の戸籍です。

各戸毎に氏名、年齢、戸主か、家族だったら戸主との続柄、身体上の特徴、課役の有無などを記した詳細な台帳です。また当時、一般の民衆には、本来姓がなかったのですが、庚午年籍の作成時に、すべての公民の姓を公的に定めました。

戸籍は口分田の支給と徴税の基本です。戸籍に載るということは、当人の公民としての権利と義務を明確にするということでした。それまでの豪族の私領民では、どこに誰がいるのか、その豪族以外には分からなかったのとは大違いです。

戸籍を作るには、全国の役人に文字を書く能力が必要であり、また紙や筆の供給も必要です。登録する項目と、記載する方法の基準を決めて、全国に徹底しなければなりません。

1300年後の現代においても、いまだ国民の登録台帳さえ整備できていない国がある事を考えれば、この時代に戸籍を作ったことがいかに先進的なことだったかが窺われます。


■5.官僚制の確立

私領と私有民を持つ豪族たちの連合国家という形から、土地と人民を国家に所属させる公地公民制の確立が、大化の改新の大きな眼目でしたが、それと同時に豪族たちは徐々に朝廷での官位を持つ官僚となっていきます。

そして、官僚として出発する青年は、まず各800人が在籍する中務省左右大舎人(おおとねり)寮に所属させ、そこから能力を見てふさわしい職に出世させるようになりました。毎年の勤務評定もなされるようになりました。

官僚制とは、今日、あまり良い意味では使われませんが、出身部族に関わらず、才能ある者を抜擢する、という意味では、きわめて近代的な制度なのです。

またこの制度により、天皇の御代代わりがあっても、官僚組織自体は、大きな変化を受けずに、安定的な行政を続けることができるようになりました。


■6.都づくり

官僚制とともに、国家統治の基盤となったのが、都づくりです。日本で最初の碁盤の目状の都市として建設された藤原京は、天武天皇の頃から工事が始められ、持統・文武・元明の3代の天皇がここに住まわれました。

大きさは次代の平城京や平安京を凌ぐ、古代最大の都です。それまで天皇の御代替わりのたびに、あるいは一人の天皇の御代でも何度か都が移されていましたが、何代も続けて都とするという点で、統治機構が様変わりしました。

天皇のお膝元で、専門の業務を持った官僚たちが行政を行う、という形で、天皇の御代代わりがあっても、ある程度、継続的な統治ができるようになりました。

なお、碁盤の目状の都市設計は唐から学んだことですが、重大な違いもあります。唐の長安のような巨大な城壁がないことです。これは騎馬民族の襲来に備えて、とのことですが、それだけでは内部の坊という区画単位でも壁に囲まれていることが説明できません。これは内部の反乱、あるいは住民逃亡を防ぐ対策でもあったのではないか、と考えられます。

とすれば、都市の構造は長安の真似をしたとしても、社会構造そのものは、まったく異なっていたのでは、と考えられます。


■7.神話に基づく天皇の権威の確立

上記の公地公民制、官僚制、都の確立と相まって、祭祀、国号、天皇号、元号、歴史書の編纂など、
国家の精神的文化的内容の整備が進められました。これらはいずれも相互に深く関係しています。

まず、「大化」という年号は乙巳の変の直後に立てられました。シナの皇帝の服属国では、独自の年号を使えません。したがって、新政権誕生直後に年号を制定したのは、わが国は独立国であると、国際的に宣言したものでした。

天武天皇の御代で始まった古事記・日本書紀の編纂は、それまでの神話伝承を体系的に集めたものですが、その中で「高天原の天照大神が、御自らの子孫を葦原の中つ国に降臨させて、らすべきと委託された」という天孫降臨神話が国家の正史に書き込まれました。そして、天照大神を祀る伊勢の神宮が、国家的祭祀の頂点として位置づけられました。

実際に唐の官僚制にはない「神祇官」も設けられました。公民が貢納した新穀、布、アワビなどを天皇が神に捧げて、天下公民のために豊作祈願をする祭祀が確立したのも天武天皇の御代だとされています。さらに天皇号と国号「日本」の使用が確立されたのもこの頃と言われます。

すなわち、天照大神の子孫である天皇が「日の本」の国の「おおみたから」の安寧を神に祈る、という国家原理が表明されたのです。

こうなると、蘇我氏のような豪族がどれほどの実権を握ったからといって、皇位を簒奪することは難しくなります。こういう形で、天皇の権威を確立することは、国家を無用な権力闘争と戦乱から護り、平和と安定を保つことに繋がったのです。

また天智天皇を助けた中臣鎌足は、以後、藤原氏として権勢を誇りますが、中臣氏の先祖は天児屋根命(あめのこやねのみこと)であり、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の天孫降臨に付き従って、地上に下った神、とされています。

神話時代から皇室に付き従った一族である以上、どれほど権勢を持とうとも、皇位を簒奪しようなどという野心は持ち得なかったでしょう。現実政治でいかほどに権勢を握っても、あくまで天皇の臣下である立場を踏み外さない、という政治的叡知により、藤原氏は長く繁栄を続けることができ、その歴史を通じて、権威と権力の分離という国家の繁栄と安定の叡知を築くことができたのです。


■8.現代まで続く国家の基本構造を残した大化の改新

こうした国家体制の整備を通じて、天皇の存在自体が大きく変わりました。坂本太郎・東京大学名誉教授は、
つぎのように結論づけています。

__________
天皇は律令において、従来の宗教的・族長的な首長の上に、徳治国家の聖天子、法治国家の専制君主という性格を兼ね備えた魏然(ぎぜん、そびえ立つ)たる存在となったのである。固有の神祗祭祀を行なうと共に、重大政務はことごとく奏上をうけて決裁すべきであり、人民の父母として人民の生をやすんじ、道徳の行なわれる理想国を樹立することが期待せられたのである。[坂本S37、p96]

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

こうして完成した古代国家の仕組みは、その後の日本の安定的な発展の枠組みとして機能しました。武家政権が登場してもそれは天皇から任ぜられた征夷大将軍であり、また明治以降の立憲君主制でも、天皇から任命された首相が政治を行っています。

「日本」という国号、天皇と元号、伊勢の神宮を頂点とする神道、記紀、これら現代まで続く日本国家の基本構造を定めたのが、大化の改新を成し遂げた天智、天武、持統三代の努力でした。


(了)



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(前)現下の日本政治は、大化の改新に学べ

2024-03-15 00:00:00 | 政治見解



(前)現下の日本政治は、大化の改新に学べ :240315情報


現下の日本政治は混迷を極めている。安倍元総理なき自民党は緊張感を失い不祥事続きで、もはや政権を託すには及ばない。さりとて、対抗する立憲民主党は外国勢力の傀儡で信頼できず、第三極と目される維新は政権を任せられるほどの政策力はないと思われる。また、立ち上げたばかりの日本保守党は未だ未知数。

結局、日本は今、国家防衛の未曽有の危機にありながら、誰一人として国家を考えている政治家がいないように思える。これでは、選挙をしても何も変わらない。この負の連鎖はいつまで続くのだろうか。

今の政治システムを作り替えるためには、今一度、自民党「幕府」が大政奉還をして、新しい政治システムの下で日本国家を作り直す必要があるのではないか。

そのためには、過去の日本の偉業に光を当てて、現代に応用すべき政治の在り方を検証すべきではないのか。

そのモデルは存在する。左翼の歴史学者が必死で抹殺しようとしている大化の改新にモデルが見いだされるはずだ。外国の傀儡であった蘇我氏を排除し、天皇に大政奉還して新しい国家像を樹立したからである。

幸い、本紙おなじみの伊勢雅臣さんが、大化の改新について解説していたものがあったので、本人の許可を頂き 回にわけて掲載させていただく。きっと、この中に、明日の日本へのヒントがあるものと思われる。ぜひご一読をお願いしたい。




大化の改新から学ぶこと

――神話時代から続く「天皇」をいただく「日本」。この基本構造を確立したのが、天智・天武・持統天皇三代の大化の改新だったー-


■1.蘇我氏が皇位を簒奪していたら

「日本」という国家は、「天皇」を国家および国民統合の象徴としていただき、その天皇が民の安寧を神に祈り、天皇の御代を表す元号を世界で唯一保持しています。わが国の基本構造を一文で表せば、こう表現できましょう。

そして、これらの国柄を確立したのが、天智・天武・持統三代にわたる公民国家確立の苦闘だったのです。この苦闘の発端が、乙巳(いっし)の変による蘇我氏の打倒でした。

蘇我氏は自分たちの祖先の祭壇を作って「廟(びょう)」と呼び、墓を築いて「陵(りょう)」と唱えました。
__________
廟も陵も、ともに漢人社会では帝王家の施設にしか用いることの許されていない用語である。彼らはこうした事実をつみ重ねながら、漢風に、王朝が新実力者に帝位を授与する形式のいわゆる禅譲(ぜんじょう)というやりかたで、皇室から君主権を奪いとろうとしたもののようである。この一族がいかにシナかぶれしていたかがわかるだろうと思う。[村尾、p63]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

蘇我氏の野望が実現していたら、今の日本はどうなっていたでしょう。蘇我「王朝」は、崇峻天皇を暗殺し、聖徳太子の皇子・山背大兄王の一族を滅ぼしています。そんな悪逆の歴史を持つ「王家」が、日本国の象徴であったら、日本国民は敬愛の心など持ち得ないでしょう。君主制を敵視する左翼の格好の攻撃材料になったはずです。

いやそもそも、ひとたび蘇我「王朝」が皇位を簒奪したならば、道鏡などのようにその後も皇位を狙う野心家たちが後を絶たず、中国のように王朝が興っては滅びの戦乱の歴史が繰り返されたでしょう。日本国民が経済的にも文化的にも発展したのは、平安時代や江戸時代など、長い平和の時代があったからです。

また、江戸幕府から明治政府への政権交代がスムーズに行われ、その後、国民が一丸となっての近代化が一気に進み、70年足らずで世界の指導的大国になりえたのも、国家・国民統合の中軸たる皇室があったからです。

それが中国のように、政権争奪の内戦続きでは、近代化など望むべくもありません。

乙巳の変を権力争いの次元だけで見て「クーデター」などと呼ぶのは、こうした日本の歴史の本質を捉えていません。国家の基軸たる皇室を護持して逆賊を退治し、その後の安定的な発展の基盤をもたらした偉業だったのです。


■2.「国民生活への思いやりが深い」制度

中大兄皇子と中臣鎌足が追求した理想は、その後の大化の改新で順次具現化された「公地公民の原則」に現れています。「公民」とは、豪族が支配する「私領民」を、天皇が統治する「公民」とすることですが、単に支配者が変わるということではなく、「大御宝(おおみたから)」として、その安寧を図るということでした。

天武天皇の命によって編纂が開始されたとされる『日本書紀』の原文では、初代・神武天皇が皇位に就かれる際に「元元(おおみたから)を鎮(しず)むべし」との詔を発せられたのを初めとして、「人民」「衆庶」「百姓」「民萌」「民」などの別々の字を用いられてはいますが、みな「おおみたから」と訓じられています。

「大御宝」を護るためにどのような政策がとられたのでしょうか?

まず口分田は6歳以上の男子に2段、女子にその3分の2、家人・奴にはそれぞれ良人男女の3分の2が与えられました。唐では成人男子のみに支給された事に比べれば、子供、女性、家人・奴にまで支給する、という点で、今日の言葉で言えば、基本的人権が考慮されています。

ちなみに奴婢(ぬひ)は、それまでの卑民制度を唐にならって残したものですが、最盛期でも人口は全体の1割よりははるかに少なく、さらに次第に減少して、延喜年間(901-903)には法的に廃止が宣言されました。[坂本S50、p99]

また、税として収めるのは、だいたい収穫の3%程度でした。それ以外に年に10日間の労役がありました。これは唐の半分の日数です。労役に出ない場合は、1日分の代償として麻布2尺6寸を収めなければなりませんでしたが、唐はその1.44倍の3尺7寸5分を収める必要がありました。[村尾、p81]

こうしたデータをもとに、村尾次郎・文部省主任教科書調査官は、次のように結論されています。
__________
日本の律令制度は、日本人の比較的おだやかな性質と、儒教の徳治の精神とを基礎にして、この制度の母国である隋唐のやりかたよりもはるかに国民生活への思いやりが深いものとなった。[村尾、p81]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

■3.公正な行政を目指した熱意

また「大御宝」が安心して暮らせるようにするためには、役人たちが厳正な行政を行わなければなりません。

大化元年8月5日、東国の国司8人を選んで派遣する際にも、その心得を厳しく諭しました。
曰く「任地に行って戸籍を作り、田畑を調べよ。わいろを採って、人民を苦しめてはならない。京に上るときに、大ぜいの百姓を共につれてはいけない」等々。

国司たちは、明くる年の3月には帰京して、仕事ぶりを厳密に調べられています。

同じ8月5日、朝廷では、人民の声を直接政治に取り入れようという意図から鐘と櫃(ひつ、箱)の制度を設けたました。人民は、もしなにか困ることがあって訴えたいと思う場合は、まずは仲間の長たる人に申し出て、
その人から朝廷に訴えます。

もし、その長たる人が訴えてくれないときは、そのことを申し文に書いて櫃に入れる。係りの役人は、毎朝早く箱を開いて申し文を取って天皇に申しあげる、天皇はそれに年月を書きくわえて、役人たちに示す。

それでも役人たちがなまけて処理をせず、また一方にえこひいきして正しい判決をしないときは、鐘をついてそのことを訴えよという三段がまえです。実際に、期限以上に朝廷の雑役に使われていた地方民がこの方法を利用して、役人の勝手なやり方を改めさせた例もありました。

また大化2年3月22日には薄葬令が出されました。それまでは古墳を築いて手厚い葬儀を行っていましたが、
それが一般農民を疲弊させていることから、身分によって墓の大きさ、使う人夫の基準を設けました。これによって、以後、豪壮な古墳が姿を消します。

さらに旧俗廃止の詔も出されました。殉死の風習を止めさせ、民間における有力者の無力者への不法行為、男女の間における男子の女子に対する暴虐などを禁止しました。「大御宝を鎮むべし」に、朝廷がいかに熱心に取り組んだかが、察せられます。



(つづく)



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プーチンに宣戦布告した故ナワリヌイの妻

2024-03-14 00:00:00 | 政治見解



プーチンに宣戦布告した故ナワリヌイの妻 :240314情報

先月、北極圏の刑務所で急死したナワリヌイ氏。ロシアのプーチン大統領の最大の政敵で、葬儀の後もモスクワの墓地に献花をする人たちの列が絶えません。

葬儀は、武装警官も含む厳重な警備の中、行われました。数千人以上の支持者および市民がナワリヌイ氏に別れを告げるために二キロ以上の長い列をつくりました。

ナワリヌイ氏の後継者については、妻のユリアさんが今後も夫の遺志を継ぐ考えをしめしています。ただナワリヌイ氏というカリスマ的な指導者を失ったことは反プーチンにとっては大きな打撃となっているようです。。

このあたりの最新の情勢を、北野幸伯氏が以下のように語っています。



◆『獄死したプーチンの政敵ナワリヌイ氏をロシア人はどう思っているか?』(当ブログでは、『ナワリヌイとロシア人』)中で、以下のようなことを書きました。

<インターネット世代はどうでしょうか? こちらは、ナワリヌイ派と反ナワリヌイ派(=クレムリン)で、激しい情報戦が繰り広げられています。 クレムリンの「説」は、なんと「ナワリヌイの死は、【 西側 】に都合がいい」というものです。断言はしていませんが、暗に側の諜報機関がナワリヌイを殺したのだろう」と言っているのです。

どういうロジックでしょうか? クレムリンのロジックはこうです。ナワリヌイが亡くなるまで、西側は追い詰められていた。なぜ?

ォックスニュースの元看板キャスター・タッカーフォカールソンが2月6日、プーチンにインタビューした。それが公開され、プーチンの主張が全世界に広がってしまった。「このままではプーチンの主張が拡散され、
俺たち(西側)の主張のウソがばれてしまう!」と危機感をもった西側の支配者たちがナワリヌイを殺した?

その結果、世界中の注目がナワリヌイの死に集中し、カールソンのインタビューは忘れ去られた。かくして、西側の支配者は、目的を達成したと。〉
ーー

その時も書きましたが、この説の問題点は、「どうやって西側諜報機関が殺せるの?」という点です。ナワリヌイは、ヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に収監されていました。どうやって、西シベリア、北極圏に位置するヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に収監されているナワリヌイを暗殺したのでしょうか?

そして、それ(西側諜報による暗殺)を許したとすれば、当局の責任者は、追及され、罰せられるはずです。ところが、当局責任者は、ナワリヌイ死亡直後、逆に昇進しているのです。

『時事』2月20日付。『ナワリヌイ氏担当が昇任=抑圧指揮、陣営は「殺害3日後」と反発─ロシア』
〈ロシアのプーチン大統領は19日付の大統領令で、法務省傘下にある連邦刑執行庁(FSIN)のボヤリネフ第1副長官を「大将」に昇任させた。独立系メディアは20日、ボヤリネフ氏が獄死した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対する抑圧を陣頭指揮していたと報じた。

FSINは16日にナワリヌイ氏の死亡を発表した。同氏の陣営は20日、SNSで「殺害3日後」の昇任と反発。ボヤリネフ氏について「刑務所で拷問を直接監督し、依頼人(プーチン氏)から褒賞を与えられた」と非難した。 〉
ーー

西側諜報による暗殺を許した責任者なら、昇進するはずがないでしょう? ですが、「プーチンからの指令を完遂してナワリヌイを葬った」ということなら、「ミッション完遂ご苦労!」ということで昇進する可能性はあるでしょう。

ところで私は、クレムリンの意向に沿って、「西側がナワリヌイを殺した説を流布する人が日本でもでてくるだろう」と書いていました。そしたら、予想通りボチボチ出てきていますね。フェイク情報に踊らされないよう、ご注意ください。


▼故ナワリヌイの妻が、プーチンに宣戦布告

さて、夫が獄死したユリア・ナワルナヤさん。2月19日、プーチンに宣戦布告しました。スピーチ全文訳を掲載させていただきます。私は28年モスクワに住んでいたので、当然ロシア語はわかります。しかし、翻訳のプロではないので、多少おかしなところがあるかもしれません。あらかじめご了承ください。

以下、ユリア・ナワルナヤさんの声明です。

〈「私は、アレクセイ・ナワリヌイの使命を続けます」「こんにちは。ユリア・ナワルナヤです。今日、このチャンネルで初めて皆さんに呼びかけたいと思います。私は、この場所にいるべきではありませんでした。私はこのビデオを録るべきではありませんでした。私の代わりに他の人がいるべきですが、その人を殺したのはウラジーミル・プーチンです。

3日前、ウラジーミル・プーチンは私の夫であるアレクセイ・ナワリヌイを殺しました。プーチンは私の子供たちの父親を殺し、私の最も大切なもの、最も親しい人、最も愛していた人を奪いました。そして、プーチンはあなたたちからもナワリヌイを奪いました。

どこか極北の刑務所、北極圏の永遠の冬の中で、プーチンは、ただアレクセイ・ナワリヌイを殺したのではありません。プーチンは、彼と一緒に私たちの希望、自由、未来を殺そうとしたのです。ロシアが別の国になり得ること、私たちが強いこと、勇敢であること、私たちが信じ、必死に戦っていること、他の生き方をしたいこと願っていることの、最高の証拠を破壊し、無効にしようとしたのです。

これまでずっと、私はアレクセイのそばにいました。選挙、デモ、自宅軟禁、家宅捜索、拘束、刑務所、毒殺、再びデモ、拘束、そして再び刑務所。これが私たちの最後の出会い、2022年2月の中旬、私たちの最後の写真です。

ちょうど2年後、プーチンが彼を殺しました。私は、いつもアレクセイのそばにいました。彼を支えること、彼のそばにいることが幸せでした。しかし、私は今日、あなたたちのそばにいたいのです。なぜなら、あなたたちも私と同じくらい多くの物を失ったことを知っているからです。

アレクセイは3年間の苦痛と拷問の後、刑務所で亡くなりました。彼は、他の人たちのように、ただ(刑務所に)いただけではありません。

彼は拷問され、独房に入れられました。コンクリートの箱の中に。想像してください。それは、6または7平方メートルの部屋です。中には台、流し台、トイレの代わりに床に穴があり、壁に固定されたベッドしかありません。マグカップ、本(1冊)、歯ブラシ、それ以上のものはありませんでした。数百日間。(彼らは)ナワリヌイを侮辱し、世界から切り離し、私や子供たちに手紙を書くためのペンと紙を与えませんでした。

彼は飢えに苦しんでいました。3年間の飢えです。しかし、彼は決して降伏しませんでした。彼はいつも私たちを支えてくれました。励まし、笑い、冗談を言い、勇気づけてくれました。彼が何のために戦っているのか、何のために苦しんでいるのか、彼はひと時も疑いませんでした。私の夫は折れない男でした。

だからこそ、プーチンが彼を殺したのです。恥ずべきことに、(プーチンは)臆病で、ナワリヌイの目を見ることも、彼の名前を呼ぶことすらできませんでした。そして今、彼らは同じく卑怯で残忍にナワリヌイの遺体を隠し、彼の母親に見せず、返さず、残忍に嘘をつき、プーチンのノビチョク(註:化学兵器)の痕跡が消えるのを待っています。

私たちは、プーチンがなぜ3日前にアレクセイを殺したのか、その具体的な理由を知っています。すぐにお伝えします。そして、誰がどのようにこの犯罪を犯したのかを必ず知るでしょう。我々は名前を挙げ、顔を明らかにします。しかし、最も重要なこと、私たちにできることは、アレクセイと自分自身のためにも、
闘いを続けることです。

これまで以上に、勇敢に、怒りを込めて。これ以上できないように思えるかもしれませんが、もっとやらなければなりません。私たちは皆一丸となり、この狂気の政権に対して強力な一撃を与えなければなりません。プーチンに、彼の友人たちに、制服を着たギャングに、私たちの国を破壊した泥棒や殺人犯に。

私は知っていますし、感じています、あなたが内面で抱えている疑問があることを。なぜ彼(ナワリヌイ)は(モスクワに)戻ったのか? なぜ彼は自らの命を危険にさらし、彼を一度殺そうとした人々の手に飛び込んだのか? なぜそのような犠牲を払ったのか?

結局のところ、彼は平穏に暮らし、自分や家族のことに専念できたはずです。黙って生き、調査せず、演説せず、戦わずに済んだはずです。彼にはそうすることができませんでした。アレクセイは世界で最もロシアを愛していました。

彼は、私たちの国を、あなたたちを愛していました。彼は私たち、私たちの力、私たちの未来、私たちがより良いものに値すると信じていました。彼はそれを言葉だけでなく、行動で信じていました。

彼はそれほど深く、誠実に信じていました。彼はそのために自分の命を捧げる覚悟がありました。彼の大きな愛があれば、彼の使命を続けることができます。必要なだけ長く。アレクセイがしたように、同じように激しく、勇敢に。

皆さんは今、その力をどこで見つけるのか? どうやって生きていくか?と考えているでしょう。私たちはその力を、彼の思い出、彼のアイデア、彼の考え、私たちに対する絶え間ない信念から得るでしょう。

私は、自分の力をまさにそこから見つけるつもりです。アレクセイを殺したことで、プーチンは私の半分、私の心の半分、私の魂の半分を奪いました。しかし、私には残りの半分があり、それは私に降伏する権利はないと教えてくれます。

私はアレクセイ・ナワリヌイの使命を続けます。私たちとあなたたちの国を守るために戦い続けます。
そして、あなたたちが私と共に立つように呼びかけます。私たちを取り巻く悲しみや絶え間ない苦しみを分かち合いましょう。

私はあなたたちと共に怒りを分かち合うようにお願いします。怒り、憤り、私たちの未来を奪った者たちへの憎しみ。私はアレクセイの言葉であなたに訴えます。私はこの言葉を強く信じています。「少ししか行動しないことが恥ずかしいのではない。何も行動しないことが恥ずかしいのだ。自分が脅されること許すのが恥ずかしいのだ。」

戦争、汚職、不正に対して闘うために、私たちはすべての機会を利用する必要があります。公正な選挙と言論の自由を求めて戦います。私たちの国を取り戻すために戦います。

ロシアは自由で、平和で、幸せな国。これは私の夫が夢見た未来の美しいロシアです。それが私たちに必要なものです。私はそのようなロシアで生きたいと思っています。

私は私たちとアレクセイの子供たちがそこに住むことを望んでいます。私はあなたたちと一緒に、アレクセイ・ナワリヌイが想像したような、尊厳、正義、愛に満ちたロシアを築きたいと思います。それ以外にありません。

彼がもたらした考えられない犠牲は無駄になることはありません。戦い続け、降伏しないでください。私は恐れません。そしてあなたも恐れないでください。〉
ーー


ユリア・ナワルナヤさんの声明を読み、あなたは何を感じましたか?




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日本株の大復活!?

2024-03-13 00:00:00 | 政治見解



日本株の大復活!? :240313情報


日経平均が4万円台にのり、一気に勢いづいた日本の株式市場、11日には4万円割れで意気消沈しているかと思いきや意外に意気軒高のようです。兜町界隈でも「30年間もデフレに苦しんで来た日本が、デフレを脱却して史上最大の資産インフレ相場が到来したと手放しで喜んでいるようです。

このような現状をどう見るか、国際経済の専門家に見解を問いました。



◼︎ 34年ぶりに高値を更新した日経平均

日経平均が34年ぶりに高値を更新しましたが、これは本当に円安の効果だと思います。

ご存じのように、新NISAというプラスの要素や、ここのところの半導体やAIブームなどによって勢いを得て、めでたく34年ぶりに高値を更新したということです。これはこれで良いことなのですが、この間に、日米でどれだけの株価差がついてしまったのかということを復習しておくのも大事だと思います。


◼︎ 30年で10倍の差がついた日米株価

日米の平均株価は色々ありますが、日本は日経平均で、アメリカはダウ工業平均を取りましょうということです。S&P500など他の指標もありますが、これらを取ってみると、ちょうど評価しやすいです。

1987年、これはブラックマンデーの直前ですが、日本の日経平均は25,000円、アメリカのダウ工業平均はだいたい2,500ドルでした。

そして2024年2月24日、日経平均が39,000円を超え、一方、アメリカのダウ平均は、約39,000ドルとなっています。ということで見てみると、25,000円から39,000円、2,500ドルから39,000ドルとなり、比較がしやすいのですが、日経平均は34年で1.56倍にしかなっていないということですね。

そして、1989年末からすると、その時の高値をようやく超えたので、ほぼ1倍にしかなっていません。一方、アメリカの方は、何と15.6倍になっているわけです。

もちろん、平均株価の値上がりが全てではなく、国の富を必ずしも全て象徴しているというわけでもありません。しかし、日本が1.56倍にしかならない間に、アメリカは15.6倍、つまり日本の10倍成長しているということです。これはもう一目瞭然ですね。

この間の為替レートなど、そのような話は端折りますが、だいたいこのような感じなのです。これを見ると、いかに日本が出遅れているか、この30年間、実質GDPがほとんど成長をしていないという恐ろしい日本経済の停滞が分かります。


◼︎ 日本経済の停滞と明るい未来

これについて言いたいのは、日本人は1950年代から2020年代まで一生懸命働いてきました。0年代当時の日本人に対して、それ以降の日本人が怠け者になったというわけではありません。景気が悪くなった分、むしろ必死に働いたぐらいです。

しかし、経済でこれだけパフォーマンスが違うのは何なのだということです。これはひとえに、日本の経済政策の貧困ですね。これは政治家と日銀、特に財務省の責任が大きいと思います。政治家、役人。役人でも特に財務省と日銀。この責任が大きいですよね。

国のリーダーが、正しいマクロ的な政策をやらないから、日本人は一生懸命働いても空回りして、実質的な経済成長に結びつかない、平均株価の成長率が、アメリカと10倍の差がついてしまったということです。

大変恐ろしいです。しかし、日本のトップはまだ変わっていませんが、今は円安が来ておりますので、日本にとっては非常に良い風、追い風が吹いているということです。

今までは円高だったので、酷い向かい風だったわけです。円高で30年苦しんだ日本経済が、ようやく円安で一息つけるようになってきました。そして、実質的な経済成長があるから、株価も上がるという、健全なパターンに入ってきたということです。


◼︎日経平均、.4万円越えもあまり喜べない理由

しかし、3月4日に日経平均が4万109円23銭をつけて史上最高値を更新しました。年末までにゆっくり4万円くらいになればいいなと思っていたのですが、早くもこの予測が当たってしまいました。史上最高値を更新したのはおめでたい限りですが、株価の値上がりが早すぎます。

懸念点として、最高値を更新した3月4日は7割の銘柄は下がっていて、3割しか上がっていなかったのです。つまり、一部の銘柄だけに集中して、その値上がりが平均株価を最高値にまで上げたということで、これは株式市場全体にとっては健全なことではありません。

今はとにかく生成AI、半導体ブームで、この関連銘柄だけが急騰しています。しかしこのブームが急落する危険性もあり、十分に注意が必要です。もし今、株を買うならAI半導体関連などではなく、石炭・石油・天然ガスなどのエネルギー関連が良いのではないでしょうか。

これらの関連企業の株価は一時期は高かったものの、今は低迷しています。他には、金関係の金鉱山やヘルスケア関連なども良いでしょう。今のブームで注目されていない方向に着目すべきではないかと思います。




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イランを支えている国

2024-03-12 00:00:00 | 政治見解



イランを支えている国:240312情報

イランはペルシャ湾とカスピ海に面した大きな国。その国土は日本の4.5倍もあります。人口は8280万人。イランと言えばペルシャ絨毯で知られている通り、公用語もペルシャ語で、イスラム教の国でもアラビア語を話すわけではありません。

イランは多くの民族と言語が存在する多民族国家です。イランの民族はアラブではなくペルシャ人がメインで約61%、その他周辺のアゼルバイジャン人(約35%)クルド系やトルコ系住民も暮らしています。ペルシャ人だけの国ではありません。ちなみに今のイランの最高指導者であるハメネイ師はアゼルバイジャン人です。宗教はイスラム教の中のシーア派が90%ほどを占めています。

イランはもともと親米国家でしたが、1970年代末にイラン=イスラーム革命が起き、イラン=イスラーム共和国が成立、以来、反米国家になっています。

しかも、イランは、1980年代以降、反イスラエル闘争を続けるイラン国外の武装組織への支援を始めました。代表的なのが、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」で、2万人以上の戦闘員を誇るとされるヒズボラはイスラエルと何度も戦闘を繰り返してきました。今回のハマスとイスラエルの戦闘においても、ハマスの支援を行っています。

イランの現状について国際政治学者は以下のように分析しています。


イランがいるおかげで、お金も兵器も援助してもらえるから、ハマスがあれだけの攻撃をイスラエルに向けてやれたのでしょう。その背後でロシアがイランを応援しているというのは確かですが、さらに応援しているのが中国であるということもわかってきています。ハマスの軍事要員のエリートを中国が呼び込んで教育をしているようです。

さらにドローン技術を中国がアメリカから盗んだり、イスラエルから技術供与を受けたりして、非常に安いアメリカ型のドローンを大量生産して世界に売っている事実があります。その技術をイラン経由でハマスに行っているのです。ドローン攻撃を随分とやられたのは皆さんもご存知でしょう。それから小型のミサイルやロケット弾に関しても同じことをやっているようです。

中国の人民解放軍が施設を提供して、イラン経由でハマスの戦闘員を呼んで、中国国内でトレーニングをしているということになります。そして、ガザ地区には軍事工場はないので武器の組み立て方などもできるようにしており、そういうものを持ち込ませているイランのバックに中国がいるということです。

ロシアは、進んだドローンなどの製造ができませんので、イランと中国がハマスを支える大きな力になっています。ハマスの背後にイランあり、イランの背後に中国ありということです。

このことは台湾独立運動家の林建良さんが、そこの関係について鋭く指摘して、去年レポートしてくれていました。もう一つ言いたいことは、資金調達でイギリスがイランの協力をしているということです。

まず、イランが2023年に輸出した石油の90%は中国が買っています。これは129万バレル/dayとなっていて、要するに日量129万バレルの石油をイランは2023年に輸出したのですが、その90%を中国が輸入しているのです。これでお金を表立って堂々と供給しているということがあります。そのお金がハマスの軍資金になっています。

それからFTが今年の2月5日に報道しているのですが「イランが英国の銀行の二つを利用して資金を秘密裏に移動させてきた」と書かれていました。つまり、イランが経済制裁の目を誤魔化して秘密裏にやっていた資金調達を英国の銀行の口座を使っていたということです。

イラン石油化学という企業がありまして、これはイラン政府系のペトロケミカル・コマーシャル・カンパニー(通称:PCC)という会社です。このPCCがイラン革命防衛隊の中でも精鋭部隊と言われる「コッズ部隊」のために何億ドルもの資金を調達していました。これをFTが入手した文書で判明したと言っている記事です。

ロシアの情報機関と協力して、イランの第2勢力である武装組織(ハマス、ヒズボラ、フーシー派など)のために資金を調達したネットワークの一部であると書かれています。このPCCの子会社であるペトロケミカルコマーシャルカンパニーUK(通称:PCCUK)は2018年11月から米国の制裁対象になっているけど、二つの銀行の口座を使っていました。それがイギリスの銀行で大手のロイズバンキンググループと、スペインの金融大手のサンタンデール銀行の英国現地法人サンタンデールUK、この二つの銀行にPCCが口座を持っていて不正な資金調達をやっていたのです。PCCUKは英国や他国のフロント企業の複雑なネットワークを利用していました。

しかも、あった場所はバッキンガム宮殿にも近いロンドンの高級住宅地だったということです。ロンドン中心部でイランの制裁回避の活動が公然と行なわれていました。これがようやく明るみに出たということです。PCCはアメリカから制裁を科されて以来、中国国内のイランのフロント企業から資金を受け取るためにイギリス企業を利用していたのです。

中国国内にもイランのフロント企業があって、そこからお金を移動させて資金を受け取るため、イギリスにある口座を利用していました。コッズ部隊というのが、イランの一番反欧米的に危険なことをやっている革命防衛隊の中でも突出している精鋭部隊と言われています。ここの資金需要を満たしており、ヒズボラ、ハマス、フーシー派に資金を渡していました。

要するに中国も協力して、こういう謀略が行なわれていたということであり、それに協力していたのが英国の守旧派ではないかと私は睨んでいます。それでイランを過激化させて、今のイスラエル×ハマス戦争をイスラエル×イラン戦争にエスカレートさせて、さらにはアメリカ×イラン×ロシア戦争にまでエスカレートさせようとしているのではないでしょうか。その事を裏付けるような記事がFTに出たということです。

ここでも中国がまた絡んでいるのですが、中国国内のイランのフロント企業から資金を受け取るためにPCCがイギリスで二つのメジャーな銀行の口座を利用していました。こういうものが私は英国守旧派による謀略ということだと思います。ハマスの背後にイランあり、イランの背後に中国もいるということが様々な情報から確かめられてきたと言って良いでしょう。



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英国の衰退を象徴する英シェルと海軍の没落

2024-03-11 00:00:00 | 政治見解



英国の衰退を象徴する英シェルと海軍の没落 :240311情報


かつて世界を制覇した大英帝国も今や落日。その象徴たるシェルと英海軍の衰退について、国際政治学者が以下のように解説しています。


英国ネイビーの没落ということですけど、かつては世界の海を支配した英国海軍も今や哀れな状況になっています。ファイナンシャルタイムズ(FT)の2月3日の記事に出ていたのですが、1998年と2024年の今を比べると小型空母が3隻あったのが大型空母2隻になったのは良かったと書いてあります。

しかし、2隻あるうちの1隻が常に故障中で修理中という状況です。これがエリザベス2世という名前のものと、プリンス・オブ・ウェールズいう名前の主力空母となっています。フリゲート艦といって駆逐艦より大きくて巡洋艦よりは小さいクラスの船だと思いますが、いわゆる戦艦です。フリゲート艦は1998年に23隻だったのが、今や6隻しかないという現状になっています。

また、駆逐艦は潜水艦を駆逐する小型艦ですが、これが1998年に12隻あったのが今や3隻しかありません。実は12隻あるものの設計ミスや修理中などで実戦配備できるのは3隻しかないということです。

それと戦略核ミサイルを積んだ戦略潜水艦は1998年に3隻ありましたが、2024年時点で4隻あります。また、攻撃型の潜水艦は1998年に12隻ありましたが、今は6隻しかないということです。しかも、2月4日付のFTの記事を見ますと、空母のクイーンエリザベス号がNATOの演習に参加するために出航していったのですが、プロペラの故障で動かなくなり不参加となりました。

それで代わりにプリンス・オブ・ウェールズ号が参加することになったのですが、これは2022年8月に出港後すぐ動けなくなってドックで修繕していた空母を代わりに出すことにしたということです。英国海軍も駄目だけど、日本としては他に連携すべきオーストラリア、フランス、スペイン、イタリアでも海軍の人手不足がひどいと言われています。

このクイーン・エリザベス号がNATO軍の軍事演習に出ていく予定だったのですが、これは冷戦終結後最大のNATOの海軍の軍事演習でした。それでクイーン・エリザベス号が出てくるはずだったのですが、故障して駄目になったために長期間ドックで修理していたプリンス・オブ・ウェールズを代わりに出されるということで、どちらか一方が常に故障して動けない状態です。

2024年3月にノルウェーの北極沿岸で行なわれる軍事演習で、NATOの海軍軍事演習として冷戦終結後最大のもので24カ国から40隻超の軍艦が参加するものです。その連合艦隊の旗艦(フラグシップ)になるはずのイギリス空母がこの有様であります。

イギリス海軍は最近、東アジアにも出てきて、日本やオーストラリア、アメリカと協力してチャイナの脅威に対抗すると言っていましたけど、とても頼れるような海軍ではありません。その辺りをかつてのイギリスというイメージで今のイギリスを見ていると判断を誤ってしまうと思います。

イギリスはEUを脱退したけどNATOメンバーではあるので、フルでやっていくときに海軍があるからということで、ロシアの脅威に関しても中東あたりまでイギリス海軍の力があるからしっかりと防衛できるなら良いでしょう。そうすると、アメリカの方も、より多くの軍事力を太平洋の方と東アジアの方に注力できます。

また、第7艦隊も中東の方までスイングしなくても、安心して西太平洋・東アジアの安定に寄与できるということです。しかし、イギリスが崩れ出すとアメリカの力が分散して、中東の辺りまで行かないといけなくなるので、東アジアの方がお留守になってしまいます。我々にとっても大きな問題です。

もはやイギリス海軍には東アジアまで出てくれる力がないと思っています。そういうことを前提として、日本の海軍は大軍拡をやらないといけないのではないでしょうか。まずは英国海軍の没落ということです。

この英国海軍は燃料の調達をイギリスのシェルという会社に依頼しています。2月1日にシェルが発表した2023年10〜12月期(第4四半期)の決算は、純利益が前年同期比95%マイナスです。一応黒字ですけど、4億7,400万ドル(約700億円)でした。売上高は22%減という状況になっています。シェルはドル箱の事業を売らないといけないようになってきているのです。

シェルはシンガポールに製油所と化学工場を持っているのですけど、ここが昨年の10〜12月期に大損を出しました。金額にして45億ドル(約6,500億円)の損を出したということです。この石油化学工場がエチレン工場であり、化石燃料への逆風が強まるのでシェルはシンガポールの資産の売却を検討しています。

しかも、チャイナ国有の中国海洋石油に売ってしまおうとの話をしているようです。本来であれば、製油所は儲かるところですが、エチレンプラント製油所の売却をシェルが考えています。それからシェルにとって非常に大事なナイジェリアの油田の話もあるのです。

ナイジェリアの油田というのはシェルにとってのドル箱でした。アフリカの中でもイギリスから比較的近くにありました。ナイジェリアというのは、アフリカの数ある国の中でもイギリスの影響で一番近代化が進んだ国の一つとも言われています。

また、シェルにとってありがたいのは、とにかく生産コストがものすごく安い原油だったことです。生産コストが安い原油ということは売れば必ず儲かります。一番儲かるところだったのですけど、ここも売り出そうとしているのです。

ナイジェリアの油田を手放してしまうと、本当のドル箱を手放すことになるでしょう。シェルはナイジェリアの陸上油田を13億ドルで売却することで合意しました。このことをFTが1月16日に伝えています。かつてはロイヤル・ダッチシェルと呼ばれていたのですが、この会社がなくなって2022年1月にはオランダとの縁を全て切って、イギリスのシェルという会社になりました。

本社もオランダだったのですけど、全てイギリスにあるということです。拠点を移転しただけではなく社名も変更しました。オランダとの縁は全て切れているということです。オランダにエネコという会社があり、これは三菱商事と中部電力が持っている会社ですが、オランダ有数の電力ガス会社であります。オランダやベルギー、ドイツで600万件の契約を持っていて、契約総数のシェアはオランダで2位、ベルギーでは3位となっているところです。オランダのエネコという会社は実際上日本の子会社ですが、ここもロイヤル・ダッチシェルと洋上風力で組んでいたのですが、そこと縁を切ってノルウェーのエクイノール社と組むことにしました。そもそも洋上風力は儲からないから、それほど大きな話題ではないかもしれません。

オランダ第2位の電力会社であるエネコが自国内の洋上風力事業で長年のパートナーだったダッチシェルとの関係を絶った代わりに、ノルウェーのエクイノール社と組むことになったということです。このエネコは三菱商事が80%、中部電力が20%を出資する共同出資会社が持っているということです。このシェル曰く、これからは水素エネルギー、脱石油、脱天然ガスと言っているのですが、カリフォルニアで持っていた乗用車向けの水素ステーションを全て閉鎖すると発表しました。シェルの没落が激しくなっていて、本来儲かるべき今の資産をどんどん切り売りしているように見えます。

「売り家と唐様で書く三代目」という川柳がありますけど、ご先祖が稼いできたドル箱の事業をどんどん売り払っているのです。私はシェルの基本方針が間違っていると思うのです。

シェルは脱石油、CO2コントロール、地球温暖化、脱二酸化炭素、CO2カーボンニュートラルをやるから、古い石油や天然ガス事業を売り払っているのでしょう。今とは違う方向として太陽光、風力、洋上風力へと進む方が正しいという間違ったことを言っています。それは儲からない方向であるというのが私の感想です。

それに対してエクソンモービルは、今後も天然ガス、石油は継続的に大事であると言っています。表向きにCO2温暖化の否定はしていませんが、エクソンモービルは手堅い手を打っているということです。実際、アメリカにおける天然ガスの生産量と原油の生産量が去年は史上最高でした。

今年もその最高の生産量を2025年も上回るだろうと予測されています。脱炭素化は間違った方向というのをエクソンモービルの方は表向きに言わないけど理解しているでしょう。それに対してシェルの方はわかってないということです。典型的な3代目経営に陥ってしまっているのではないでしょうか。




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情報トピックス

2024-03-10 00:00:00 | 政治見解



情報トピックス :240310情報


国際情勢の全体像をつかむため、国際政治学者のピンポイント解説を記載します。トピックスですから短い話ばかりです。


① 前から申し上げていたミシェル・オバマの担ぎ出しという話がアメリカのマスコミの表面にも出てくるようになりました。とりあえず、予備選はバイデンを走らせておいて、予備選挙に勝ったという名誉を与えて、8月の民主党の党大会の場でバイデンは人気があるけど、本人の意思で「健康状態が良くないからリタイアする」と言わせる。

そこで一挙にブームを作ってミシェル・オバマに持っていこうという話が以前から囁かれていましたが、これをオバマ元大統領チームがやっているのです。“バイデン政権”ならぬ“オバイデン政権”という言葉が、アメリカの一部で囁かれています。

去年の12月だったと思うのですが、ホワイトハウスの記者会見で記者の1人が質問のときに「オバイデン政権」と言ってしまって、会場から失笑が漏れたということがありました。この関係者全員が知っていたことであります。オバマが後ろにいて糸を引いている政権で、表向きはバイデン政権だからオバイデン政権だということです。

その昔、中曽根内閣ができたときに、裏の実力者は田中角栄だというので“田中曽根内閣“という言葉が流行ったことがありますが、それと同じでしょう。それだけバイデンのボケがひどくなっているということです。


② チャイナ経済の崩壊が明確になりました。これは単なるバブルの崩壊ではありません。日本やアメリカだったらバブル経済崩壊して、そこの債務問題を片付ければ調子が良くなってブームが来ますが、そういうことではないです。チャイナの場合は、システムそのものが崩壊に近づいています。映画の書割のような経済システムそのものが崩壊中であると言って良いでしょう。

これは低開発国で高度成長していたものが中心国になって、高度成長から安定成長に移っていく節目の問題だと言っている人がいます。この発言は問題を過小評価しているだけでしょう。そうではなく、今までのチャイナ経済を支えていたシステム・制度そのものが崩壊過程に入っているということです。それを掴んでおく必要があると思います。一時的なことではありません。


③ ウクライナ戦争におけるロシアの勝利が見えてきました。


④ バイデン政権が総崩れになってきました。テキサス国境問題や本人のボケ問題もあります。彼の老人ボケと言えばそれまでの話ですけど、ひどくなってきていているのは確かです。国境でも国の半分が、バイデン政権と相対立するということになってきました。国防長官が具合を悪くして、前立腺がんの予防手術の跡が良くなかったので再び入院しています。国防長官も新しい人間を指名しないといけなくなっているでしょう。そのようなこともあってバイデン政権はガタガタです。

これはアメリカが応援していたウクライナがロシアとの戦争に勝てないという状況がはっきりしてきたことと関連していると思いますが、バイデン政権が総崩れになってきています。


⑤円安で日本が栄えるという経済シナリオがはっきりと見えてきました。


⑥水素洋上風力の大失敗ということが世界的に明らかになってきています。それと全面的なEV化、これも失敗するだろうということもはっきりしてきています。


⑦CO2排出規制による畜産業や農業いじめがひどいということがヨーロッパでも明らかになり、農民反乱が起きています。日本でも水田がメタンガスを発生させるから「けしからん」という、何千年来の日本の農業を否定するようなことを似非環境主義者が述べているのです。

また、世界的に農業機械(トラクター)はディーゼルエンジンが多く、化石燃料ガス/ディーゼルを使うから駄目だということが起きてきています。これら農業畜産業いじめに対して、牧畜民や農民たちが立ち上がって反乱を起こしているということが世界的に、はっきりと見えてきているということです。


⑧昨年のアメリカの天然ガスの生産と石油生産は史上最高でした。バイデン政権が何と言っても実需があるわけだから、石油や天然ガスの生産というのは引き続き活発に行なわれるでしょう。また、日本の方には輸出が当面できなくても、ロシアも石油や天然ガスの生産を引き続き活発に行なっていくと思います。このCO2排出規制は全く意味がないということが非常にはっきりしてきているのです。

実際に今年の冬は日本も例年通り寒かったし、カナダ、アメリカ、ヨーロッパは今までにないような寒波が襲っています。どちらかというと、寒冷化の方が心配なくらいです。史上最低気温を記録したところがカナダやヨーロッパで発見されています。そういう気候状態であるということもわかってきました。CO2神話の崩壊も近いということが言えると思います。



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米株高に警戒感

2024-03-09 00:00:00 | 政治見解



米株高に警戒感:240309情報


国際経済の専門家からのお話です。


ウォーレン・バフェットがアメリカの株高に警戒感を持っているという話をいたします。待機資金=キャッシュが過去最高になっており、バークシャー・ハサウェイの総資産の16%を現在キャッシュで持っているようです。

バークシャー・ハサウェイの株主への手紙が公開されており、これが毎年話題を呼んでいます。長期投資の名人であるウォーレン・バフェットの意見を聞いてみようということです。

彼は率直に「今のアメリカの株価はカジノ的である」と言っています。これがタイプ第1のポイントです。2番目に「今の話題の株の購入を進んでするような人はバークシャーの株主にふさわしくない」と言っています。これはNVIDIAの株が上がった、半導体の株が上がった、AIブームといった、このようなブームに乗って投資するのはバークシャー・ハサウェイの行き方ではないということです。

渋い長期投資をやって値段が落ちたところで優良株を買い集めていくというのが、ウォーレン・バフェットの行き方です。半導体株やAIブームの株の値段が上がりすぎだし、今から買っても多くの利益が取れないし、値上がり率が低いという判断と言って良いでしょう。

それから、今のアメリカ市場を見ると、有望な投資先は僅かであり、アメリカの外部を見ると投資機会はさらに少ないと言っています。バークシャーが目を見張るような投資収益を上げる可能性は、今はないと言っているくらいです。

4番目として2023年の通年で241億ドルの売り越しであったということになっています。これは日本円で言うと3兆6,200億円の売り越しでありました。すなわち、キャッシュが積み上げられているということで、総資産の16%が現在キャッシュにしているのです。2023年末で1,676億4,100万ドル(約25兆円)の投資待機資金をキャッシュでバフェットが持っています。これはチャンスがあったら投資するという過去最高のキャッシュの積み上げをしているものです。

5番目には2008年のリーマンのような危機が来れば株がドンと一気に下がるから、そのときに優良株を買うということが書かれていました。2008年のリーマン・ショックの後はゴールドマンサックスの株を大きく買って、この後の大儲けに繋がったということです。

6番目のポイントは日本の商社にバークシャー・ハサウェイが投資している点を挙げています。これが非常に順調であり、伊藤忠、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅といった5大商社の株式を9%ずつ、現在バフェットが保有しているのですが、累計投資額が1兆6,000億円です。2023年末の時点で1兆3,000億円の含み益が出ています。これを非常に安く円建て社債で資金調達してやりましたので、ドル換算すると負債額が縮みました。これが2020年から2023年だけで19億ドル(2,900億円)の為替差益も出たということで、大変うまくいっているようです。日本商社に対する投資としては、日本の商社は高度に分散された方法で事業を展開していることを高く評価していると言っているのです。また、事業が新規の事業投資や自社株買いに投入し、新株発行に慎重な点も良いと言っており、株が薄くならないということになります。そういう方法がバークシャー自身の経営手法と若干似ていると評価されました。

これはバフェットが言っていたわけではないですが、日本の商社は日本国内より世界に展開していて、利益の出る事業を広範に展開しています。特に第3世界と言われる成長の伸び代が大きい発展途上国はリスクも大きいところですが、そういうところにもいっぱい事業を展開しているのです。長年の経験がありますから、第3世界で伸び代の大きい事業に投資しながらもリスク管理が上手いといった辺りが評価されたのではないでしょうか。分散された事業という言葉の背後には、そういう意味があると思います。

1兆6,000億円の投資で1兆3,000億円の含み益が出ているということですが、これ以上は9.99%を上回る株式投資はしないと確約しているということです。バフェットより年上のパートナーで有名だったチャーリー・マンガーが99歳で昨年の11月にお亡くなりになっていました。実に見事な人生と言いますか、これだけ有名で評判の良い会社を作って投資家として多額の資産を残されていると思います。99歳で天寿を全うされたということでした。90代でも現役で働いていたということは実に立派であるので、見習いたいところです。



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タッカー・カールソン

2024-03-08 00:00:00 | 政治見解



タッカー・カールソン:240308情報


読者は「もしトラ」という言葉を聞いたことがありませんか? 米大統領選が近づくにつれて、トランプ再選の可能性が高くなっていることから、「もしトランプが再選したら、 世界は、日本はどうなるか?」という意味で、ネットニュースの見出しによく使われるようになりました。

そんなトランプ優位の機運は、アメリカでの支持率だけではなく、意外なところでも現れていて、トランプと関係の近いあるジャーナリストの動きからも今の大統領選の流れが読み解けると国際政治学者は言います。




◼︎ 副大統領候補とも言われるジャーナリスト

アメリカに、有名なニュース司会者であるタッカー・カールソンという方がいます。そのタッカー・カールソンが先日2/6にプーチン大統領にインタビューを行ない、世界に公開しました。X(旧ツイッター)とロシア大統領府のサイトを合わせて、再生回数は約4億回と、大成功しています。

ではなぜ、アメリカのジャーナリストが、プーチン大統領にインタビューしたのか? これはタッカー・カールソンが単なるジャーナリストとしてでなく、「トランプの特使」として会った可能性が高いです。

タッカー・カールソンは、トランプの副大統領候補と言われるほどトランプと近い関係で、今、アメリカの言論の自由のために命懸けで戦っているジャーナリストの一人です。

結論としては、彼は政治家ではなくジャーナリストとして働いた方が力を発揮すると思いますし、おそらく彼もそのスタンスだと思われます。しかしトランプが万が一、無実の罪で罰せられたり、大統領選を妨害されるようなことがあれば、命懸けで戦うと明言している男です。非常に頼もしい存在なのです。

ですから今回は事実上、トランプの特使として、「早くウクライナ戦争を止めよう」というトランプの意志を代表して会ったということでしょう。トランプは今、ホワイトハウスの外にいる人物ですが、ウクライナ戦争の終結に向けて本格的に動き始めたということです。

そしてこれは、大統領選が有利に進んでいることを裏付けるものでもあります。


◼︎ 和平の大きな一歩となったインタビュー

さらに今回のインタビューは、プーチン側の言い分を聞いて世界に広めたということで、大きな和平プロセスにも繋がっています。例えばどのような話がされたかというと、非常に興味深かったのは、プーチンから見たNATOの印象です。

プーチンは昔、クリントン政権の時に、実はNATO加盟を打診したのだそうです。クリントンは「面白い考えだ」と言っていたそうですが、結局、周りから反対され却下となりました。

それからブッシュ(父)政権の時にも、「冷戦が終わったのだから、西側と東側で協力して、共同ミサイル防衛システムを作ろう」と提案したことがあるそうです。その時にも最初は「良い考えだ」とブッシュも言っていたのに、後から拒絶されてしまったそうです。

そして東西ドイツが統一した時には「NATOの東方拡大はやらない」とアメリカは言っていたのに、その後5回もやられてしまって、自分たちからすれば、ずっと裏切られてきたんだということを言っていました。

ですからプーチンからすると、「西側諸国は、我々ロシアを恒久平和のメンバーにする考えは無いのだ」と感じているのです。この話を聞いたからといって、「プーチンの意見が正しい」というわけではありませんし、我々民主国家とは対立する部分が多く、プーチンなりのバイアスもあるでしょう。

しかし彼がどういう世界観、歴史観を持って、どのように今回の戦争を捉えているかを聞くことは、米露戦争のような、大きな争いに発展させないためにも、非常に大事なことです。

またプーチンとしても、やはり戦争を続けることで国民生活は苦しくなります。今、占領している地域をロシアに事実上編入できるこの有利なタイミングで終結させたい考えもあるでしょう。そのタイミングを見計らって、今回タッカー・カールソンが送り込まれたということだと思います。

一時停戦、休戦協定という形にはなるかもしれませんが、トランプ陣営の勢いも相まって和平の動きは着実に進んでいるということです。




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トランプとバイデン――7つの違い

2024-03-07 00:00:00 | 政治見解



トランプとバイデン――7つの違い:240307情報


トランプ氏をなぜ、日本メディアが毛嫌いするのか。それはトランプ氏が愛国者だからです。メディアにとっては、「愛国者」とは「極悪非道な軍国主義者」と同義で、戦争をもたらす災い人にしか見えないのです。一方のバイデン大統領は、不法移民にも救いの手を差し伸べる人道主義で立派な人格者にしか見えないのです。

現在、米大統領選挙の前哨戦が始まっていますが、メディアが最も恐れる、トランプ氏の大統領再選が確実視されるようになり、メディアもトランプ氏の再選阻止に動き始めています。

現状について、国際経済学者に解説をお願いしました。



トランプとバイデンにあまり違いはないと発言しているテレビ解説者がいましたが、これだけ違うということを話していきます。
 
トラひンプ対バイデンを比べたときに、トランプはタカ派のポジションで平和を守り戦争を抑止するという立場です。トランプの時代を考えてみてください。一つも戦争は起きていません。確かに、きわどいことはやっていました。ソレイマニというイランの革命防衛隊のトップを殺害しています。だけど、戦争は起きませんでした。救世主の様に

それをアメリカが強い立場でやってくれたので、イラン国内トップの政治家たちは、国の中で別の国を作ってしまった革命防衛隊のトップの首を切ってくれてありがたいと思っていたでしょう。その辺りもちゃんと見極めてやっています。

それからプーチンに対しても「もしもウクライナに侵攻したら、アメリカは賛成するから間違ってもそのようなことをするな」と言って脅かしていたのでプーチンも恐ろしくてやりませんでした。

一方のバイデンは全くの逆で、甘い顔とハト派的な態度を見せて戦争を誘発させます。ウクライナがいい例です。ロシアが危ない、ウクライナを侵略すると言っていましたけど、そのときに言わなくてもいいのに「アメリカは絶対に賛成しません」と言っていました。アメリカは絶対にウクライナへ派遣しないと断言したので、ロシアからすれば「アメリカが出てこないなら、やりたい放題だろう」ということで攻めていったのです。そのような甘い政策ばかりしています。

イランに対してもトランプは初めにイランの核合意から離脱しました。このようなことをやっても10年後にイランは核武装するだろうと言って、離脱して厳しい顔を見せたわけです。

オバマのときにはイランの核合意ができたので、凍結していた資産を解放するというので、アメリカは金の延べ棒と大量の100ドル札を飛行機に乗せてテヘランまで運んで行きました。

そういう甘い顔を見せるから駄目だと言うのがトランプです。そのときにイランは、おとなしくしていました。ところが、バイデンは核合意を復帰して甘い顔を見せていたら、お金の流れも自由になったイランが後ろ盾になって、ハマス、ヒズボラ、フーシ派を使って反西側の攻撃、反イスラエルの攻撃を仕掛けているということです。これはハマスに対しても同様で、UNRWA(パレスチナ難民救済事業機構)という組織がありますけど、そこに対してトランプは金を1文も出さないと断言しました。

こういうところに金を出すと、ハマスの資金になっていることがわかっていたから、資金を止めていたのです。それをまた出し始めたのがバイデン政権であります。そしたら、UNRWA経由で入ってきた金をハマスが不正流用しています。それで力をつけてイスラエルのテロをやったということです。バイデンは戦争を誘発する甘いハト派であるのは間違いありません。

あるいは、イランなどの戦争を見ると、意図的に戦争を仕掛けて作り上げるという傾向を持った危険な政権です。表向きの顔はハト派であります。

トランプはCO2規制反対派ですが、CO2規制に大賛成なのがバイデンです。それだけでなく、石油、石炭、天然ガスを全廃すると言っています。国内のものも掘ってはいけないとまで言っているのです。

ところが、アメリカの業界はバイデン政権の言うことを聞かずに、去年もアメリカ国内の石油と天然ガスの生産は史上最高でした。バイデンの政策は全くうまくいっていません。

トランプは国境を守ると言っているのに対して、バイデンは国境を破壊することを掲げています。先ほどのテキサスの問題で言った通りです。トランプのことを中産階級の人たちが支持しているのに対して、バイデン側は超富裕層と下層の非常に貧しい人たちが支持しています。

下層の人たちというのは、福祉がないと生活できないような人たちです。それを奴隷化して、自民党でないと福祉のお金が出ないと言って脅して、無理やり支持層にしているのがバイデンであります。

人意政策の中でも国民を統合しようと言っているのがトランプです。だから、トランプ側にはヒスパニックの支持者が増えています。そして、下層中産階級の人たち中心に国民を統合していこうと考えていて、人種は問題ではないと主張しているのです。

これは経済ナショナリズムをトランプは言っているわけですから、アメリカファーストで経済をよくしていこうのが一番大事なことであるため、人種や肌の色の違いはどうでもいいと言っています。

ちなみに今度の大統領選挙において、副大統領候補が話題になっていますが、その中にベン・カーソンという立派な医者がいます。この人は2016年のアメリカ大統領選挙にも出た黒人の医者です。彼は有名な脳外科医で非常に難しい手術もやって、黒人の間でヒーローの1人でもあります。

このベン・カーソンをトランプは厚生庁(日本で言うところの厚生労働省)の長官にしました。そういうところの長官にして、非常に有望なベン・カーソンはトランプ政権下で黒人の貧困をなくすために一生懸命働く厚生長官を務めました。しかも、非常に2人とも仲が良いです。ベン・カーソンは現在71歳くらいですけど、彼を副大統領候補にするのではないのかなという感じがしています。

女性もいいのではないかという説もありますが、それに対してバイデン政権は国民分断政権です。特にレイシズムを非常に強調しています。白人と黒人の差別が酷いと煽って、実際にその差別を拡大して国民を分断して、分断統治をするイギリスの植民主義的なやり方です。

自分は白人だけど、黒人に同情的かつ良心的な白人だというポーズをとって、国民を分断して憎しみ合わせて、憎悪をかきたててANTIFAやBlack Lives Matterなどの過激な行動をやらせて、黒人と白人の間を分断させています。それで国民が一体になって統合されて、経済問題や国境問題を解決して、そういう事に気がつかせないようにしているのです。

そして、自分は下層の人たちの味方という面の顔を見せて、国民を分断した上で、それを利用して統治していこうという考えを持っています。バイデンの背後にある勢力がイギリスの守旧派ですから、まさに英国守旧派がやっていた植民地統治のやり方です。Divide and Rule(分断統治)で国民を分断します。オバマでさえも、白人と黒人の人種問題が起きたときにそれを統合するようなことは何もしませんでした。むしろ、放置して白人と黒人の憎しみが増大するような政策をとっていたのが、実はバイデン政権の前のオバマ政権だったのです。

次に価値観の伝統との問題でいうとトランプはキリスト教的伝統を重視しています。バイデンは、表向きはカトリックということになっていますけど、無神論・親共産主義的な傾向が非常に強いです。彼のカトリックというのは偽善的かつ形式的なものであります。オバマも表向きはキリスト教徒と言っていましたけど、過激な無神論的な人間だと思います。無神論と言うとみんなから非難されるので、彼は共産主義の顔を隠すためにキリスト教会にも通っていたというのがオバマでしょう。

バイデンは形式的にはカトリックだけど、非常に中身のないカトリックです。妊娠中絶自体も許容するようなカトリックであります。内実を見るとバイデンは無神論・親共産主義的な人間です。トランプはキリスト教・伝統を重視するという違いがあります。他にも沢山ありますけど、これだけ違うわけです。トランプは経済ナショナリズムであるのに対して、バイデンはグローバリズムでグローバリスト企業を応援して、その支援を受けています。

もう1つ付け加えると、バイデンは大統領選挙資金が非常に潤沢・豊富です。トランプの方は大統領選挙資金が乏しく、ギリギリでやっています。自分自身の財産も切り崩してやっているくらいです。なぜなら、中産階級の人たちが中心で、大口の寄付が少ないからだと言えます。

今後はテスラのイーロン・マスクも腹の中ではトランプ支持ですし、シリコンバレーの起業家の人たちが巨額の寄付をしてくれることになるかもしれません。大統領予備選挙に出てきたインド系のラマスワミもシリコンバレー系の人間です。そういった人たちが支援してくれると、トランプにも額の大きい寄付金が政治献金でくるかもしれません。

しかし、今のところは非常に乏しいです。実は2020年の大統領選挙のときも、バイデンの集めた選挙資金の方がトランプよりも多かったし、2016年もトランプの選挙資金よりもヒラリー・クリントンの選挙資金の方が多かったのです。昔は共和党の方がお金持ちの党と言われて選挙資金を沢山集めて、民主党の方が少なかったのですが、今は逆転しています。なぜなら、超大金持ちのグローバリストたちがバイデンを応援しているからです。



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(後)内戦前夜のアメリカ ー-国境を守るテキサス州連合と国境を破壊するバイデン政権

2024-03-06 12:00:00 | 政治見解



(後)内戦前夜のアメリカ
ー-国境を守るテキサス州連合と国境を破壊するバイデン政権

:240306の2情報


午前からの続きです。国際政治学者の解説です。


メキシコとテキサスの国境にリオグランデ川という川が流れています。その川は深くないので浅瀬は人が歩いて渡ることができるくらいです。その真ん中にフロートと呼ばれる浮遊障害物を設置して、そこで入ってくる違法移民を防ごうということをやりました。浮遊障害物と有刺鉄線の鉄条網を張って防ごうということをやったのです。それはそれなりに機能していました。

ちなみにリオグランデ川を渡って違法移民はアメリカに入ってくるため、英語ではWet back(濡れている背中)と言われます。これをメキシコの公用語であるスペイン語では「モハド」と言うのです。その意味は単に濡れているということですが、モハドの俗語でWet backが使われていて、アメリカに違法入国した人たちのことを意味しています。

このように国境を守るような行動はけしからんと考えたのが、バイデン政権でした。この国境を守るという行動を破壊しよう、あるいは妨害しようという行動に出てきたのです。そして、2023年7月20日にバイデン政権下の司法省は「7月24日午後1時までにテキサス州のリオグランデ川の浮遊障害物の撤去、これに同意しなければ法的措置を取る」と言って脅かしていました。

テキサス州から言わせれば、南部国境を警備するローンスター作戦というのは、単に不法移民を阻止するばかりではなく違法な麻薬取引を禁じるとともに、人身売買を禁止して違法移民に紛れて入ってくる反米テロリストたちを防ぐための国防上必要な行動でもあるのです。それを妨害しようとする政権があり、すなわちバイデン政権は国境を破壊している政権でもあります。それと戦っているのがテキサス州です。

今年の1月11日にグレッグ・アボット州知事は、テキサス州のイーグルパス市にある47エーカーのシェルビーパークという公園の支配権を米国国境隊から奪取するように命じました。そこから米国国境警備隊を追い出してテキサス州兵が占拠したのです。このイーグルパス市が所有しているシェルビーパークを利用して、入ってきた人間の検査エリアとして使っていました。

検査をすると言っても、そこで追い返すのではなくて全員アメリカ国内に釈放していたのです。だから、そこは使わせないということで国境警備隊を追い出して、シェルビーパークをテキサス州兵が占拠しました。テキサス州兵プラスで動員されているのがテキサス州の警察およびフロリダの州兵も応援にきたのです。

その背景としてフロリダのデサンティス州知事が大統領の予備選挙を降りて、まともな行動を始めました。彼は正気に戻ったというのでしょうか、大統領になれるという変な妄想から解放されたのです。変わっているお金持ちたちに示唆されて反トランプの行動をとっていたわけですけど、デサンティスは実際トランプに敵わないことに気づいてトランプ支持を打ち出しました。

彼はフロリダ州兵も送って、キサス州兵を応援するということをやったのです。ここで、テキサス側と連邦政府の国境警備隊の睨み合いが発生しました。それまで連邦政府の方はテキサス州の障害浮遊物と有刺鉄線を外すようにと下級裁判所に訴えていたのです。

しかし、連邦の下級裁判所の方で、連邦政府はそれをやることができないという判断を下していました。どうしても国境破壊をやりたいバイデン政権としては、連邦最高裁にこの案件を持っていったのです。ご存知のように今の連邦最高裁は駄目で、とにかく2020年の違法選挙も取り締まることができませんでした。

1月22日に連邦最高裁は「下級審による鉄条網を撤去することは、連邦政府はできないという判決は無効である」という判決を下しました。テキサス州には非常に不利な判決が出たのです。

連邦最高裁は同時にテキサス州が新たに鉄条網を施設することを禁じるとも言っていませんし、また連邦職員が鉄条網を撤去するためにシェルビーパークに立ち入ることも許可したわけではありません。下級審の鉄条網撤去を阻止するという判決は無効であると言っただけで、テキサス州が新しく鉄条網を設置しても、テキサス州兵が占拠しているシェルビーパークに連邦の職員が入っていいということを許可したものでもないです。

翌1月23日、国土安全保障省はテキサス州のケン・パクストン司法長官に最後通牒を発しました。そして、国境沿いの障害物を撤去して、1月26日までに国境警備隊のシェルビーパークへの立ち入りを認めるように命じたのです。もちろん、このケン・パクストンも、グレッグ州知事同様に戦うテキサス州の司法長官であって、この人が2020年11月のアメリカ大統領選挙不正選挙があったから間違っているという訴訟の音頭取りをした人でもあります。

それを連邦最高裁に持っていったのですが、それを相手は門前払いにしてしまいました。ここでテキサス州と連邦政府(国境警備隊)との睨み合いは続いているということです。

さらに翌1月24日にアボット州知事は、連邦当局が公園内に立ち入りことを断固拒否すると述べて、州の主権を守るための立派な声明文を発表しています。それによると「要するにバイデン大統領は国境を守るという大統領に課された使命を果たしていない。憲法違反をしており、連邦法に違反している。こういった場合に州の国境を守る権限というのはテキサス州が持つことができる。それがアメリカの憲法並びに法律で定められているところである。我々がやっていることは合憲であり合法である」ということを宣言しました。

要はバイデン大統領が国境警備という大統領の本来の役割を果たさず放棄しているので、テキサス州がそれに代わって国境を警備するということです。このように堂々と宣言しています。

ところが、今のバイデン政権側は州兵を連邦政府の指揮下に置くことを考えているようです。これは確かに法律上、そういうことができるのです。連邦の大統領が望めば、州兵を大統領の指揮下に置くということは、非常事態においてはできます。

しかし、今回はこれをやっても、おそらくその動きはテキサス州出身の民主党の下院議員がバイデン大統領に対して、そういう措置を求めていますけど、これをバイデンがやっても、おそらくテキサス州兵は言うことを聞かないのではないでしょうか。こういうことをやっているうちに1月25日にテキサス州を除く25人の共和党の州知事たちが、断固としてテキサス州を支持するという声明を出しました。

これには、ジョージア州のブライアン・ケンプ州知事(共和党)も入っています。ケンプは2020年の大統領不正選挙を自ら取り仕切った男で、典型的なRI NO(名前ばかりの共和党員)ですが、それでもテキサス州を支持するというところに名前を連ねているのです。

テキサス州の他に25人の州知事が応援しているということは、26州が団結して連邦政府と戦うという状況になっています。また、マイク・ジョンソン下院議長もテキサス州を断固支持するという声明を出しているほどです。この共和党の知事で支持声明を出さなかったのはバーモント州のフィル・スコット州知事だけでした。

1月29日には26州の代表を含む各州20人以上の司法長官とアリゾナ州議会の指導部が、バイデン大統領とマヨルカス国土安全保障長官に対してテキサスの国境警備を断固指示する旨の書簡を送りつけています。

アメリカを不法移民から守ろうとするテキサス州と、それを応援する25の州があり、彼らは国家を破壊しようとするバイデン政権と一歩も引かずに戦っているのです。アメリカの内戦の一つの誰もが知っている最も大きな前線とされる戦いが、トランプ対バイデンの大統領選挙という形で既に始まっています。

そして、もう一つのアメリカの愛国者とアメリカの売国奴の内戦が起きているのがテキサス州の国境です。


(了)


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(前)内戦前夜のアメリカー-国境を守るテキサス州連合と国境を破壊するバイデン政権

2024-03-06 00:00:00 | 政治見解



(前)内戦前夜のアメリカ
ー-国境を守るテキサス州連合と国境を破壊するバイデン政権

:240306の1情報



読者は、不法移民を支援する人や組織に疑問をもったことはありませんか。彼らは「人道目的」を口にしますが、それは世論を欺くためのもので、不法移民を国内に入れるには明確な目的があるのです。

日本の例を見ても、不法滞在者を一生懸命守ろうとするのは左翼イデオロギーにかぶれた人です。彼らの行動は日常的に反国家、反体制の運動しか行ってなっていません。したがって、不法滞在者を擁護するふりをして彼らを仲間に引きずり込めば反日の運動の仲間は増えるということになります。ついでに公金もチチューチューできます。

要は、彼らが在日朝鮮人の不法滞在の歴史的事例から、不法滞在者が特定の地域に多く定住させることができれば、彼らをたきつけて反体制の運動を広げることが可能になることをしっかり学んでいるわけです。しかも、「人道」を掲げれば日本人は黙り込む。現在の川口市がその最前線になっているようです。つまり、政治的な動機があるからこそ、不法滞在者を利用しているのです。

これがアメリカのような人種のるつぼにして多民族国家となれば、不法移民が多ければ多いほど国家の維持は難しくなります。

それにもかかわらず、不法移民の排除で国を守ろうとしていたトランプ氏が批判され、不法移民を国家破壊の目的で受け入れようとするバイデン氏が人道主義者のように評価されている不思議な国アメリカ。この現状を、国際政治学者はどのように見ているのでしょうか。

午前と午後の2回にわけて見解を掲載します。



(基本情報)

米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は12月18日、米国とメキシコの国境に接する州南部ブラウンズビルを訪ね、不法移民の流入阻止などを目的とする国境措置関連州法3法案に署名しました。

アボット知事は、トランプ前政権の政策の効果で「4年前、米国での違法な越境数は過去数十年で最も少なかった」にもかかわらず、「ジョー・バイデン大統領による意図的な無策によってテキサス州は自力で守らざるを得なくなった」と説明しています。

成立した関連3法の概要は次のとおり。

・15億4,000万ドルを国境沿いの壁建設に充てる。不法移民の温床とされる地域の州兵による警備費用に最大4,000万ドルを充てる。(2024年3月施行予定)
・メキシコからの違法な越境をテキサス州の犯罪とみなす。最長20年の懲役とし、母国への強制送還の仕組みを設ける。(2024年3月施行予定)
・不法移民の支援や隠れ家の運営に関し、懲役期間を最低2年から10年に引き上げる。(2024年2月施行予定)

これに対し、ホワイトハウスのアンジェロ・フェルナンデス報道官は「テキサス州の地域の安全を損なう極端な法律だ」とテキサス州を批判。移民法の違反により非市民をいつ、いかにして退去させるかを決めるのは州ではなく、連邦政府の役割だと指摘しています(NBCニューズ12月19日)。


テキサス州はアボットという共和党の知事が就いています。アボットは車椅子に座っている方ですが、非常に戦闘能力の高い方です。

そして、テキサス州というのは非常に長い国境をメキシコとの間に抱えています。バイデン政権はオープンボーダー体制で国境をなくして違法難民でもどんどん入れろという方針になってしまいました。

そのようなことやったら、州の治安も何も保てないということで、早くも2021年3月からオペレーション・ローンスターというのをアボット州知事が始めています。これがローンスター作戦です。ローンスター(一つの星)という意味なので、テキサス州が一つ星であると言っています。

このローンスターというのがテキサスのあだ名です。アメリカの州には、いろんなあだ名がありますけど、カリフォルニア州は昔、ゴールドラッシュがあったので「ゴールデンステイト」呼ばれていたり、ニューヨークはビッグアップルという名前がついていたりするのはご存知だと思います。モンタナは大平原の州だから空が大きいという意味で、ビッグスカイカントリーというあだ名をつけられました。いってそういうある種もあります。

なかなか知的な呼び方ですけど、テキサス州は2021年3月からオペレーション・ローン・スター(OLS)というものを始めました。そして、国境が崩壊してしまえば当然ながら国家は存在しなくなってしまうのです。違法な奴でも次々に入ってきていいという話になれば、そこにおける国家というものは国境がなければ存在し得ません。

グローバリストのバイデンは、それを積極的に入れています。バイデン政権がスタートするときには、既に推定1000万人くらいの違法移民がいました。トランプ時代は厳しく取り締まっていたのですが、それ以前から入ってきた人たちが沢山いるということです。バイデン政権になって、1000万あるいは州によっては1300万という数の不法移民が入ってきてのではないかと言われています。そして、少なく見積もっても1000万人くらいは入っているでしょう。合わせて今、2000万人以上の不法移民がアメリカに滞在しているという恐ろしい状況になっているのです。

アメリカの人口が3億2000万から3000万くらいだと思いますが、そのうちの6%から7%くらいに匹敵する違法移民がいるという恐ろしい状況になっています。なぜ、そういう事をやっているかというと、こういう人たちは国内で釈放されてしまうから1回捕まっても入ってくるわけです。つまり、逮捕しても意味がありません。

そういう人たちがサンクチュアリシティ(聖域都市)などへ行くと、みんな市民権も国籍もないのに投票させられてしまうのです。そして、2020年に起きたようなインチキ選挙が起きます。そういった人たちは民主党政権で入れたから、みんな民主党支持者になる人が多いでしょう。

そうすると民主党が、どの州でも違法移民をいっぱい入れて、そこで選挙管理委員会が民主党主流のところだったら、どんどん投票させて自分たちが永久に天下を取ろう、共和党が絶対与党になれないようにしようという策謀を巡らせているのです。

それからグローバリストの超大企業の経営者から言えば、労働者がどんどん増えて低賃金になるほど、これは資本家としていいだろうという考え方があります。そして、彼らは一般国民にとって治安が悪くなっても、そのようなことは気にしません。

自分たちはガードマンを雇って大邸宅に住んでいるとか、あるいは綺麗な住宅地ですが周りは壁で囲まれていて、そこの住宅地に住んでいる人しか入れないといった中産階級以上の人たちが集まっているようなゲーテッド・コミュニティというものがあります。

そこにはガードマンを雇っているので、その中では安全に暮らせるため、そういうところに住んでいる人たちにとっては一般の街の治安が悪くなっても関係ありません。だから、どんどん違法移民でも入れてしまおうというのがバイデン政権です。そのようなことがあっては堪らないというので、一番矢面に立って戦っているのがテキサス州のアボット州知事であります。

そして、2023年7月くらいから始めたレーザーワイヤー(鉄条網または有刺鉄線)を張るようにしました。トランプが苦労して作った国境の壁は駄目だから建設しないと、バイデン政権が反対して言っていました。しかし、壁ではないけど有刺鉄線網を引いて入れなくするということを始めていたのです。


午後に続く



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日本経済——カギを握るのは金利

2024-03-05 00:00:00 | 政治見解



日本経済——カギを握るのは金利 :240305情報


日本経済の今後について、国際経済学者の解説を掲載しました。


金利引き上げで特に日本国債のバブルが崩壊しますから、ドルを大量に持っている銀行にはショックでしょう。それから、銀行は今まで低金利時代でお金があまり儲からなかったというわけではなく、表向きの商売は儲からないのですが、メガバンクは全ての消費者金融を系列化しました。消費者金融を子会社にしたので、そっちではしっかりと金利が取れるので、大きく儲けていました。それが今度、できにくくなってきます。

でも本業の方で金利が上がってきに取れるようになれば、それでいいのです。それ以上に大量の国債を日本のメガバンクは持っています。今までのように金利が下がってくると国債の値段も上がりますから、元々買ったときよりも市場の評価額が増えて儲かっている状況になってきていました。しかし、それができなくなるということです。

金利が上がると一般庶民にとっては、超低金利時代の特に黒田バズーカでこの10年で大体300兆円損したと言われています。我々庶民の預金でも3%ついていたのに殆ど0金利となったのです。それに対して特に農協や生命保険会社は巨額の資金を運用していますから、こういうところを合わせると、国民全体で300兆円くらい入ってくるべき金利が入らなくなりました。

これが国の消費を増やす点でも非常に良くなかったわけです。それが今度ちゃんと金利がもらえるようになるということは、国民経済全体にプラスになります。

円安が進むと日本の基幹産業がよくなるのです。日本国民からすれば世界の中で我々の労働賃金を引き下げて、1時間あたりに働く価値を引き下げることによって安い物を輸出するということになります。円安は、そういう効果があるのです。

そうなると日本経済全体としては栄えるので、円で暮らしていく分には円安になっても問題ありません。国全体の景気が上がり、実際の企業が栄えて利益を出すことによって株価が上がるということです。そして、金利も上がって庶民にも企業にも、お金に見合った金利がついて収入になってくることで経済が正常化していくと言えます。

そういった意味で、150円以上の円安なら年末に日経平均が4万円超えるということも十分あり得ると私は思います。そこでブレーキを踏んで150円以上の円安は許さない、輸入インフレになってけしからんということで止めてしまうと、経済の正常化が起きません。最も日銀の方は、金利の引き上げはやらざるを得ないでしょう。

しかし、金利を引き上げると今まで得をしてきたメガバンクが損してしまうことになるので、おそらく植田日銀総裁はメガバンクからの圧力でなかなか金利引き上げができないのではないのかなと思っています。タイミングを見計らっているのではないでしょうか。あるいは、その圧力と戦っているのではないかなと思います。

外国のハゲタカファンドが金利を下げて日銀が金利を上げれば、今までと逆で日本国債の値段が下がるというのは目に見えていて、これは確実に起きるのです。中央銀行が金利を上げれば、必ずその国で既に発行されている国債の値段が下がります。これを空売りして儲けるということで、売りポジションを取っているのです。それは見えているのですが彼らに日本のお金で儲けさせざるを得ません。これは苦渋の決断ですけど、しなければいけないのです。

なぜなら、日本のインフラが3%を超えているわけですから、これをやらざるを得ないでしょう。今、それに抵抗してタイミングを見計らっていると思います。しかし、金利引き上げによる返済バブルは崩壊し、日本国債のバブルも崩壊するということです。これは銀行にとっては良い話ではありません。しかし、一般には金利引き上げによって日米金利格差が縮まるため、それによって円が高くなると信じている人がいるかもしれませんが、多分そのようにならないというのは私の予測です。

前からお話しているように、巨大な債券市場が動くときは、その国の金利が上がれば必ず日本の国債を中心とする債券相場は急落します。そしたら、その国からお金が出ていくというのは当然のことです。これは避けることができません。それに対して、今年後半にFRBが金利を下げていけば、アメリカ国債を中心とするアメリカの債券相場も上がってくるわけですから、日本の債券相場からお金が出ていき、アメリカの債権相場に入るので、これは株式以上に巨額のお金が動きます。

それが主流になって為替相場が決まれば、今年は非常に大きな円安ドル高の相場になるということです。アメリカの方が動かなくても日本が上げれば、それだけで日本の円は安くなる方向に作用すると私は思います。これは、まだやってみないとわかりません。

しかし今、円が安くなっているのはみんながこういうことを知っているわけです。特に外国のハゲタカファンドは、日銀が上げたら売るという構えになっているのも知られています。そしたら円が安くなることが見えているので、その圧力によって円が一般に言われている金利比較差と関係なしに円安の方向に動いていくのです。そういった見えない圧力を受けています。しかし、150円を超える円安になると当局が介入してきて148円あたりで「じぶくっている」という表現がありますけど、グズグズしているのではないでしょうか。




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2024年は危ない——米国経済が抱える5つの不安要素

2024-03-04 00:00:00 | 政治見解



2024年は危ない——米国経済が抱える5つの不安要素:240304情報


米国株、日本株ともにアゲアゲのようですが、とある専門家筋より次のような警告が来ました。

「他人が貪欲になっているときは恐る恐る、周りが怖がっている時は貪欲に」by ウォーレン・バフェット

今、多くの投資家は極めて「貪欲」になっています。実際、これは投資家心理を表した「恐怖貪欲指数」です。この指標が75を超えている時、それは投資家が極めて「貪欲」であることを意味しています。現在の数値は78。
これは大部分の投資家が非常に強気な見方を持ち、株を“買っている”ということです。ですが今、本当に「貪欲」でいて良いのでしょうか?

心理ではなく“データ”を見れば、株式市場のリスクが大きくなっていることが分かります。実際、2024年2月には日本、イギリスが景気後退に入ったと報道。ドイツ、オーストラリアもまた不況入り間近とされています。
そして過去の傾向を見るに、景気後退は他の先進国へと伝染していく傾向にあります。さらに景気後退が訪れれば、株価は平均して32%下落。1,000万円が680万円になってしまう可能性があるのです。(以下略)


この辺はどう考えるべきなのか、国際経済の専門家にお話を伺いました。


結論から言うと、今年のアメリカ株は、これ以上そこまで大きく上昇することはないでしょう。下手をすると、かなり思い切った下落をする可能性も十分にあるので慎重に構えた方がいいと思います。

これは前から申し上げているように、非常に価値のある株であり、かつ配当金の高い安定成長の企業の株なので、これが下がったときは「買い」であるというのが私の判断です。

しかし、全体としてこのまま調子良くどんどん上がっていくことにはならないでしょう。年明け早々、S&P500もダウ工業平均も史上最高値を更新しましたので、気を良くしている方もいらっしゃると思うのですが、ここは慎重に構えた方がいいと私は考えています。

その理由の第1にマグニフィセントセブンと言われている株に株価時価総額が非常に集中してしまっていて、これは非常に危険な兆候です。このマグニフィセントセブンというのは、Apple、Amazon、アルファベット(Googleの親会社)、Meta、Microsoft、NVIDIA、テスラといった七つの巨大企業です。AIブームも手伝って、この7社の時価総額が昨今で跳上がっています。7社の時価総額だけで12兆ドルです。

これは日本、イギリス、カナダの株価時価総額を合わせたものと同じくらいの大きさですので、物凄い大きさだと理解できるでしょう。S&P500で見ますと、ITセクターだけで株価時価総額が30%を占めています。

これは行き過ぎで、通信サービスセクターを含めると37%になるのです。過去の事例ですと、1999年から2000年にかけてIT(ドットコム)バブルというのがはじけたわけですが、ITセクターがS&P500の株価時価総額に占める比率は35%まで拡大していました。

その後、急落して、それでもいいと言われたのですけど、その中で実際役に立つビジネスとして定着するようなテクノロジーと、ペーパーカンパニーのような感じで「こういうアイディアがある」と言うだけで、値上がりしていた企業がありました。

それの本物と偽物の区別がはっきりついたときにIT(ドットコム)バブルが崩壊したのです。今で言うと、AI(Artificial Intelligence)がブームになっていますけど、AIで語られている中にも実際にそれがビジネス社会に応用されてお金を生み出すテクノロジーと、話しだけの将来このようになったらいいという思惑だけで栄えているAI関係の企業やアイディアもあります。その識別や振るい落としが起きるのが今年か来年くらいではないでしょうか。そういうところでも危険を感じます。

それから2008年にリーマン・ショックがありましたけど、2007年に金融セクターの占める比率がS&P500の中で25%になりました。これも金融セクターだけで25%というのは歴史的にも異常だったのです。そしたら、翌年になってリーマン・ショックが起きたということで、この辺りの1業種に株価時価総額の占める比率が非常に大きくなってしまうのは問題だと思います。

これはバランスよく取れていた方が安定しているのです。また、株の所有が一部の富裕層に集中してしまっていても、それ自体が株価を引き上げるわけではありません。しかし、富が一部に集中するということはどういうことかというと、大衆市場の消費が低迷するのです。幅広い多くの大衆がお金を持ってないと、国内の消費はうまく拡大しないのです。

アメリカでは70%が個人消費ですから、大衆がお金を持っていた方がいいという事になります。その意味で貧富の差はあってもいいのですが、あまり極端になってくると資本主義の市場経済そのものの成長を妨げてしまうのです。

アメリカでは上位10%の人の富裕層が所有する株式と投資信託の比率が20年前は77%だったのですが、2022年には上位10%の富裕層が持つ株式と投資信託の所有率が92.5%になっています。つまり15.5%も増えたというので、上位層への富の集中はあまり健全なこととは言えません。

アメリカの人口の61%が401kの仕組みを利用して株式を保有しているのですが、この人たちが持っている量は非常に少ないです。今年の大統領選挙で一つの見方をすると、大衆資本主義を守って発展させようとするトランプに対して、一部富裕層への富の集中を促進しているバイデン政権との戦いでもあるということが言えます。

グローバルエリート層に支えられているバイデン政権と、国民の下層の中産階級による支持を受けて、アメリカ国民ファーストの経済政策をやろうとしているトランプの戦いであるということも言えるわけです。10%の富裕層が株式の9割以上を持っているといった状況は、1929年の世界大不況の直前にも見られた現象であるため、あまり良い現象ではありません。今、株価が上がっていると言いながら急落してしまう危険性があるということです。

3番目は連邦政府の借金の急拡大です。これが鰻上りになっていて表向きの理由の一つは、パンデミックの武漢コロナがあったからだと言っています。その後のウクライナ戦争により、膨大な戦費をアメリカがウクライナに与えました。これが去年の末に34兆ドルを超えたのです。2020年に武漢コロナウイルスが広がり始めたときはトランプ政権でしたけど、政権末期の債務残高は23兆ドルくらいでした。

それから10兆ドル以上増えているというのは凄いことです。それと政府税収に占める利払い費の割合が36%に跳ね上がっています。リーマン・ショックの直後に33%まで上がっていたのですが、トランプ時代は良かったから下がっていました。しかし、それが36%まで一気に上がっているのです。

トランプ時代は経済が良かったから税収に占める利払い費の割合は順調に減っていました。これは新しい私のレポートの1月号で出ているグラフでも明らかですけど、過去最大であったときは51%に達したことが2回もあったのです。現在36%まで上がって、このまま放漫財政が続くと51%に到達するのも、そこまで先のことではありません。

この51%を超えたら財政危機ということになって、下院は共和党が多いですから予算を占めるでしょうけど、債券市場の方も警戒して金利が上がっていくでしょう。これはFRBが抑えようと思っても、これだけ政府の累積債務が34兆ドルという未曾有のレベルまで到達し、税収に占める利払い費が史上最高だった51%を超えてしまったら、金利も上がらざるを得ません。

FRBの方としては、このまま順調にいけば年の後半には金利は引き下げたいと思っています。パウエルは確実に、そのように思っているのです。

一方で、バイデン政権は放漫財政を続けています。マクロ経済的に言うと、経済政策で大事なのは中央銀行の金融政策と、行政府の方の財政政策によってどれだけのお金が入ってきて、どれだけのお金を支出するかという歳入・歳出が非常に大事です。

この二つの要素で決まってくるわけですから、放漫財政をやっていると政府が借金をしてもお金をどんどん使うので、その分が民間に出回ってしまいます。そしたら、インフレは収まらないし、FRBだけの責任ではありません。これは政府の財政政策も締めてもらわないといけないのですが、そのようなことはどこ吹く風であり、バイデン政権は伝統的な民主党政権の悪い習慣に戻ってしまって、お金を次々と使ってばら撒き政策をやっているのです。

そうすると、お金が民間に出回ってしまいますから、インフレは収まりません。FRBのパウエルとしても金利は下げて景気を良くしたいと思っているけど、このままではインフレが再燃してしまうので下げられないというスタンスです。

日本でもアメリカでも経済ジャーナリズムは、FRBの政策とインフレの収束、あるいはインフレの再発のことだけを論じられています。これは計画経済でも共産主義経済でもないわけですから、FRBだけでコントロールできるわけではありません。一方で政府がどれだけのお金を使うか、どれだけの借金を積み上げてしまうのか、どれだけの借金を減らして健全財政にして支出を抑えていくのか、これらが大事です。

支出を抑えないといけないときに、ばら撒き政策をやっているから、なかなかインフレが収まらないという事にもなってしまいます。そして、政府の借金が、どんどん大きくなっていくということで、金利も上がらざるを得ません。

これはFRBの責任というより、市場において借金する側が多くて、実際に出回っているお金が多くなければ金利も上がっていかざるを得ないです。そういう矛盾を今のアメリカ経済は抱えています。だから、政府の無責任なバイデン政権による債務の拡大も非常に悪い条件です。

4番目にバフェットインデックス(指数)というものがあります。これはバフェット指数が危険水域になって入っているということですが、アメリカの株価時価総額とGDPの比率を表したものです。アメリカの株価時価総額を年間の国内総生産で割ったものがバフェット指数と言われているもので80%前後が平均とされてきています。

これが100を超えて大きく上昇しますと、その後、一気に下がるということが今まで繰り返されてきました。私のレポートの31ページにも出ていますけど、これによると2000年のときと2007年のときにピークをつけています。2007年のときは、そこから下がって翌年のリーマン・ショックに結びつき、2000年のときはドットコムバブル(ITバブル)の崩壊です。

これが結構上がってきていて、2024年2月上旬で176.71となっていて、グラフを見ていただいてもわかるように異常な高さになってきています。これは、もっと下がってもおかしくありません。そろそろ下がってもおかしくないのではないでしょうか。200近くまで行ってきたのが、今のところ少々下がって、また上がっているという状況です。これから見てもアメリカの株式相場全体のバランスから言うと、危険水域に入っています。

最後の5番目は金利引き下げへの過剰期待ということです。金利に関してパウエルとしてはインフレが収まれば下げたいのですが、バイデン政権が勝手に放漫財政を続けていますので、共和党主流の下院がどうにかそれを止めようとしています。

しかし、民主党と共和党の議席差は僅かなものですから、そこまで大きなことができるわけではありません。やはり、妥協の産物です。放漫財政を連邦政府が続けている限りは、金利を下げたいと思ってもパウエルFRB議長は簡単に下げることができません。

ここのところの経済の動きや雇用統計を見ても結構経済は強いです。まだ、インフレが強いと言って良いでしょう。そうしますと、これはなかなか止められません。市場はFRBの金利下げに対して過剰期待であるということが一つあります。もう一つは、この50年くらいの間に金利が上がって下がったという非常に大きなサイクルが9回くらいあったのですが、そのうちの7回は株価が下がっているのです。

つまり、金利を下げたことによって株価が上がったのは、9回のうち2回しかありません。これは株式市場の分析家の方はご存知だと思うのですが、今のアメリカの市場はFRBが金利さえ下げてくれたら、株価は順調に推移するというのが歴史的に言うと間違った期待であると言えるのです。

3番目として、現在の金利はそこまで高いのかというと、FF金利(フェデラルファンドレート)の誘導レンジはFRBが言っているところは5.25%から5.50%を目標にしています。1954年以来、約70年のFF金利の平均は4.60%です。これと0.6%から0.9%くらい高いということで、今の金利水準はそこまで高いわけではありません。だから、1%弱下げても平均金利になるだけですから、今程度の金利のレベルに耐えられない株式相場は非常に脆弱であり骨太の株価上昇ではないです。中身のない株価上昇であるということが言えます。

健全な株価上昇であれば、このくらいの金利レベルには耐えられて然るべきです。もっと下げてもらわないと、株価が上がらないという考え方自身が私は間違ったパーセクションだと思います。

なぜ間違ったパッションなのかというと、この20年来、金利がものすごく低かったからです。これはやむを得ないところもあって、2008年のリーマン・ショックで大不況になったらいけないというので権利を非常に下げました。そこからテーパリングというので徐々にノーマルな上昇に戻そうと思ったら、2020年の武漢コロナのパンデミックが起きて、経済を支えるために金利を一気に引き下げたのです。

そこで今度いよいよノーマル化しようとして、徐々に上げてきています。それも歴史的に見れば、極めて低いレベルということです。特にこの10年間で我々は金利の低い時代に慣れすぎてしまいました。2000年のITバブル崩壊のときに一気に下げています。

それから、ちょっとは上げましたけどFFの5%くらいでした。それからまたリーマン・ショックがあって、急落させたということで、特にこの10年は我々の目が超低金利に慣れてしまったのです。だからこそ、もっと下げろと言うのですけど、歴史的なレベルからすると、そこまで高いレベルではありません。

この金利下げによって株価が上昇すると言って、過剰に期待するのは間違っていると思います。以上のような五つの理由で、私は今年のアメリカ株は総体として見てみればあまり期待しない方が良いでしょう。しかし、株価が下がったときは優良株の買い時です。これは念を押しておきたいと思います。



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