赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

イランを支えている国

2024-03-12 00:00:00 | 政治見解



イランを支えている国:240312情報

イランはペルシャ湾とカスピ海に面した大きな国。その国土は日本の4.5倍もあります。人口は8280万人。イランと言えばペルシャ絨毯で知られている通り、公用語もペルシャ語で、イスラム教の国でもアラビア語を話すわけではありません。

イランは多くの民族と言語が存在する多民族国家です。イランの民族はアラブではなくペルシャ人がメインで約61%、その他周辺のアゼルバイジャン人(約35%)クルド系やトルコ系住民も暮らしています。ペルシャ人だけの国ではありません。ちなみに今のイランの最高指導者であるハメネイ師はアゼルバイジャン人です。宗教はイスラム教の中のシーア派が90%ほどを占めています。

イランはもともと親米国家でしたが、1970年代末にイラン=イスラーム革命が起き、イラン=イスラーム共和国が成立、以来、反米国家になっています。

しかも、イランは、1980年代以降、反イスラエル闘争を続けるイラン国外の武装組織への支援を始めました。代表的なのが、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」で、2万人以上の戦闘員を誇るとされるヒズボラはイスラエルと何度も戦闘を繰り返してきました。今回のハマスとイスラエルの戦闘においても、ハマスの支援を行っています。

イランの現状について国際政治学者は以下のように分析しています。


イランがいるおかげで、お金も兵器も援助してもらえるから、ハマスがあれだけの攻撃をイスラエルに向けてやれたのでしょう。その背後でロシアがイランを応援しているというのは確かですが、さらに応援しているのが中国であるということもわかってきています。ハマスの軍事要員のエリートを中国が呼び込んで教育をしているようです。

さらにドローン技術を中国がアメリカから盗んだり、イスラエルから技術供与を受けたりして、非常に安いアメリカ型のドローンを大量生産して世界に売っている事実があります。その技術をイラン経由でハマスに行っているのです。ドローン攻撃を随分とやられたのは皆さんもご存知でしょう。それから小型のミサイルやロケット弾に関しても同じことをやっているようです。

中国の人民解放軍が施設を提供して、イラン経由でハマスの戦闘員を呼んで、中国国内でトレーニングをしているということになります。そして、ガザ地区には軍事工場はないので武器の組み立て方などもできるようにしており、そういうものを持ち込ませているイランのバックに中国がいるということです。

ロシアは、進んだドローンなどの製造ができませんので、イランと中国がハマスを支える大きな力になっています。ハマスの背後にイランあり、イランの背後に中国ありということです。

このことは台湾独立運動家の林建良さんが、そこの関係について鋭く指摘して、去年レポートしてくれていました。もう一つ言いたいことは、資金調達でイギリスがイランの協力をしているということです。

まず、イランが2023年に輸出した石油の90%は中国が買っています。これは129万バレル/dayとなっていて、要するに日量129万バレルの石油をイランは2023年に輸出したのですが、その90%を中国が輸入しているのです。これでお金を表立って堂々と供給しているということがあります。そのお金がハマスの軍資金になっています。

それからFTが今年の2月5日に報道しているのですが「イランが英国の銀行の二つを利用して資金を秘密裏に移動させてきた」と書かれていました。つまり、イランが経済制裁の目を誤魔化して秘密裏にやっていた資金調達を英国の銀行の口座を使っていたということです。

イラン石油化学という企業がありまして、これはイラン政府系のペトロケミカル・コマーシャル・カンパニー(通称:PCC)という会社です。このPCCがイラン革命防衛隊の中でも精鋭部隊と言われる「コッズ部隊」のために何億ドルもの資金を調達していました。これをFTが入手した文書で判明したと言っている記事です。

ロシアの情報機関と協力して、イランの第2勢力である武装組織(ハマス、ヒズボラ、フーシー派など)のために資金を調達したネットワークの一部であると書かれています。このPCCの子会社であるペトロケミカルコマーシャルカンパニーUK(通称:PCCUK)は2018年11月から米国の制裁対象になっているけど、二つの銀行の口座を使っていました。それがイギリスの銀行で大手のロイズバンキンググループと、スペインの金融大手のサンタンデール銀行の英国現地法人サンタンデールUK、この二つの銀行にPCCが口座を持っていて不正な資金調達をやっていたのです。PCCUKは英国や他国のフロント企業の複雑なネットワークを利用していました。

しかも、あった場所はバッキンガム宮殿にも近いロンドンの高級住宅地だったということです。ロンドン中心部でイランの制裁回避の活動が公然と行なわれていました。これがようやく明るみに出たということです。PCCはアメリカから制裁を科されて以来、中国国内のイランのフロント企業から資金を受け取るためにイギリス企業を利用していたのです。

中国国内にもイランのフロント企業があって、そこからお金を移動させて資金を受け取るため、イギリスにある口座を利用していました。コッズ部隊というのが、イランの一番反欧米的に危険なことをやっている革命防衛隊の中でも突出している精鋭部隊と言われています。ここの資金需要を満たしており、ヒズボラ、ハマス、フーシー派に資金を渡していました。

要するに中国も協力して、こういう謀略が行なわれていたということであり、それに協力していたのが英国の守旧派ではないかと私は睨んでいます。それでイランを過激化させて、今のイスラエル×ハマス戦争をイスラエル×イラン戦争にエスカレートさせて、さらにはアメリカ×イラン×ロシア戦争にまでエスカレートさせようとしているのではないでしょうか。その事を裏付けるような記事がFTに出たということです。

ここでも中国がまた絡んでいるのですが、中国国内のイランのフロント企業から資金を受け取るためにPCCがイギリスで二つのメジャーな銀行の口座を利用していました。こういうものが私は英国守旧派による謀略ということだと思います。ハマスの背後にイランあり、イランの背後に中国もいるということが様々な情報から確かめられてきたと言って良いでしょう。



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