赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

ウクライナ問題、もう一つの視座 コラム(412)

2022-04-29 09:12:19 | 政治見解



コラム(412):ウクライナ問題、もう一つの視座

ロシアによるウクライナ侵略戦争は長期化の様相を呈していますが、これがもっと長引くのではないかと危惧しています。

長期化の懸念

なぜなら、国連も国際社会も無力でロシアを制する力はなく、ウクライナの人びとの祖国愛、祖国防衛の気概だけがロシアの魔の手の防波堤になっており、この状態は、おそらくはプーチン氏が病に倒れるか、あるいはかつてないほどの経済制裁の影響でロシア社会が崩壊するまで続くのではないかと推測できるからです。

そうなると、ウクライナの凄惨な状態が長引くということになります。これにより、ウクライナの人びとの悲しみと苦悩が続くだけでなく、取り返しのつかない心の傷を残すことになりそうです。

その一方で、ウクライナ問題の長期化は、ロシアの思惑とは別の事情で戦争が継続されているのではないかとの疑念も生じています。私にはなぜかこの戦争が、いつの間にか新旧兵器の展示場、実験場に変えられていて、しかも、米中の代理戦争の様相に見えて仕方がないのです。


反撃はできてもロシア軍を押し戻せない理由

前者の兵器の展示場、実験場の意味はすぐにお分かりになると思います。第二次世界大戦からあまり更新されていないロシア軍の兵器は町中を破壊しつくすほどの威力はありませが、西側が供与する近代化された兵器に弱点をさらけ出しています。そのため、現在、ロシア軍は戦闘能力の25%以上を失った模様です【※1】。

【※1】英政府によると、ロシア軍の戦死者が15000人に上り、装甲車両も2000台超が破壊されたか、ウクライナ軍に奪われた模様。内訳は戦車が少なくとも530両、歩兵戦闘車が560台など。また、ヘリと戦闘機は計60機超を失う。2月の侵攻開始当初、露軍は地上戦闘人員の約65%を投入し、1000人近い兵士で構成する大隊戦術グループを120以上集結させたが、現時点で25%超が戦闘に耐えられない状態にある。

一方のウクライナ軍は善戦していると思います。しかし、ロシア軍に反撃を加えることはできても、ロシア軍をロシアに押し戻す力はありません。そのような装備を西側諸国から与えられていないからです。

ウクライナがNATO加盟国ではないということが理由かもしれませんが、ウクライナをサポートするアメリカや西側諸国がまだ十分にウクライナを信用していないことが本当の理由だと思います。要はゼレンスキー政権が倒された場合の最悪のシナリオを考慮に入れてのこと、といっても過言ではないと思います。つまり、西側諸国の戦力の供与は小出しであるということなのです。

中途半端なウクライナへの武器支援が、かえってウクライナの悲劇を続けさせる要因になっているのですから、これは下策だと思います。戦力の小出し、逐次投入で失敗した事例は多いのですから。


米中の代理戦争

アメリカはロシアを中国と読み替えてウクライナを支援しているように思います。中国もその点は理解しているようで、ウクライナ対ロシアという構図をアメリカ対中国と置き換えることも可能だと思います。

実際、国連の場ではウクライナ問題をめぐって西側諸国を加えたアメリカとロシアを支援する中国の対立がおさまることはありません。ウクライナ問題が事実上の米中対立になっており、これが大国間の思惑でウクライナ問題が左右され、何も解決策のないまま放置されています。ウクライナの悲劇を長引かせるもう一つの要因と言えると思います。

ただ、ウクライナ問題のおかげで中国は台湾をはじめ周辺国に対する軍事行動に足踏みをかけたのは確かです。ロシアの蛮行に国際世論が激しく反発したことの影響だけではなく、旧ソ連・ロシアの兵器体系をコピペした中国の兵器ではアメリカの近代兵器の前では無力であることを認識したからです。台湾侵攻あるいは沖縄に侵攻しようとした場合、ほとんどの艦船が海の藻屑となりそうで、海を越えての侵略はもはや無謀となりました。


もう一つの真実

ある研究者から以下のメールがありました。この方の意見は、これまでには全く見られない独自の見解があるので掲載を躊躇しましたが、こういう考え方もあるのだという参考事例としてあえて引用いたします。

テレビに出てくる大学のロシア研究者も防衛省の研究者も、歴史も事実関係も、兵器に関しても、勉強不足と云うよりも、全く無知のようです。
これは米国が始めた戦争です。
ロシアは、仲良し米国の黙認が無ければ絶対にやりません。真珠湾のときと同じように、プーチンは嵌められた(米国とツルンだKGBか?)と思います。

金融制裁など、チョットは効き目がありますが逆効果。ドル体制の崩壊です。
オイル・ガス本位制、鉱物資源本位、大豆本位制・・・・で、
ルーブルでも、元でも、ルピーでも何でもありの多元制となります。グローバル・ドルのもとで紙きれだった通貨も、地下に資源(物)でもあれば、生き返ります。
「ロシアはルーブルで払え」と言っていますが、ドルが無くても、ルーブルが無くても、例えばペソで払えば銀行が勝手にルーブルに変換するだけで簡単です。ドルを買う必要が無いので、手数料も半減です。
これは、80%の貧乏国が望んでいた体制です。

恐ろしい時代がきます。自宅で戦争に参加できるようになりました。好事家は、どちらが側でも面白ければ関係ありません。ソフトが流れています。
ハードも例えば米国戦車砲1台は、高級車数台に変わって、流れています。
ウクライナも今はロシアのお陰で統一されていますが、もともと分裂国家。民間やゴロツキ集団に渡った兵器は、各派の貯蔵に回っています。「秀吉の刀狩」は難しいでしょう。


理解しがたいところもありますが、「アメリカが黙認した戦争」というところは理解できます。なぜなら、石油やシェールガスの産油国であり、農業大国でもあり、最新の軍事兵器をそろえているという時点でアメリカに並び立つ国はなく、ロシアの蛮行のおかげでアメリカはその存在価値に脚光を浴びさせることに成功したと言えるからです。

ただ、こう言うと一気に陰謀論者が噴き出してくるのでブログに書くのをずっとためらっていましたが、一般的な見解と違った角度から見ると、こういう風にも見えるという参考意見として論述しました。

さまざまな見解があるとは思いますが、ロシアによるウクライナ侵略戦争で、エネルギー、食糧、武器の輸出で、漁夫の利を得たのがアメリカであることは間違いないと思います。



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自衛隊に感謝する日本共産党

2022-04-27 08:48:25 | 政治見解


コラム(411):
自衛隊に感謝する日本共産党

先日、わが目を疑うような記事を見ました。琉球新報によると沖縄の那覇市議会で、日本共産党が自衛隊に対する感謝決議に賛成したというのです。記事を引用します。

――那覇市議会(定数40)は25日午前の臨時議会で、自民党会派が提案した自衛隊や海上保安庁の任務遂行に感謝する決議案を自民、共産党などの賛成多数で可決した。無所属の会(2人)は反対した。公明(7人)、ニライ(6人)、立憲民主・社大(3人)は全会一致ではないことや、決議になじまないことなどを理由に退席した。(以下略)――


自衛隊に「敬意をもって接する」方針に豹変

ロシアのウクライナ侵略以降、日本共産党は世論の反発を恐れて、自衛隊容認、自衛隊活用論を言い始めました。それまで、制服姿の自衛隊自衛隊員を見るだけで共産党員が人目もはばからず「人殺し」と叫んでいたのは有名な事実です。また、再三にわたって当ブログが取り上げている共産党・藤野保史政策委員長(当時)の「防衛予算は人を殺すための予算」との発言も、共産党の本音を語っているものでした。

しかし、この風景ががらりと変わり、志位委員長自ら「急迫不正の侵略がされた場合、自衛隊を含めあらゆる手段を用いて、国民の命と日本の主権を守る」と強調するようになっています。

そのため志位氏が「国民の合意での憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進を図る」という党綱領を読んだことがないのではないかとまで揶揄されるに至っていますが、志位氏は「急に言い出したことではない」との強弁に懸命になっています。

共産党のこのご都合主義には党員間で動揺が広まっているようで、それを収めるために、赤旗は「個々の自衛隊員のみなさんが、『日本を守りたい』という思いからこの職業を選び、災害救助などで汗を流していることに対して、敬意の気持ちをもっています。個々の自衛隊員のみなさんには、敬意をもって接する必要があることは、当然のことです。・・・」と述べています。

昨年(2021)の8月には、赤旗で「(テレビの)自衛隊特集10本超、テレビが広報に加担」と自衛隊を批判する署名記事からわずか8か月、この変わり身の早さは驚くべきことだと思います。いまや、共産党幹部の脳内からは、自衛隊に対する「批判」の文字が「敬意」という文字に置き換わった状態なのでしょう。

しかし、いくらカルト宗教化した日本共産党といえども、信者、もとい、熱心な党員ですらついていけなくなるのは目に見えています。選挙という視点から考えれば、自衛隊批判論者が一定数存在するがゆえに自衛隊を批判し続けたほうが得策だったように思います。また、一般の有権者からすれば、共産党のあまりに見事な変身ぶりに胡散臭さを感じるのは当然だと思います。

共産党への批判をかわすためについた嘘(自衛隊活用論)を隠すために、新しい嘘(自衛隊に敬意という見え透いた嘘)をまた重ねなければならなかった共産党に支持が広がるはずもありません。

この際ですから、米軍に対して中国から守ってくれてありがとうの感謝決議をして日本国民を驚かしてみてはいかがですか?

日本共産党はすでに中国からの援助金が切られているのですから、中国に気兼ねする必要もないのですから。



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日本の防衛、二つの誤解  コラム(410)

2022-04-25 09:28:10 | 政治見解


コラム(410):
日本の防衛、二つの誤解


日本の防衛について一般には二つの誤解があると思います。それは、日本が侵略されたら米軍が率先して戦ってくれると思い込んでいること、もう一つが、専守防衛が悲惨な本土決戦をもたらすという事実を全く理解していないという問題です。この二つの誤解から目を覚まさない限り、日本の未来は暗いと言っても過言ではありません。


日本人が戦わない限り、米軍は助けない

最初の誤解である、米軍が率先して日本のために戦ってくれるという発想はやめた方がいいと思います。同盟軍はあくまでも援軍で、日本が侵略された場合、日本人自らが立ち上がらない限り米軍は戦うわけがありません。平和ボケで戦おうとしない日本人をさしおいて、しゃしゃりでるような同盟関係はありえません。

したがって、日本全体に米軍が侵略者から守ってくれる、率先して戦ってくれるという幻想がありますが、そのような安易な考えは捨てなければならないのです。

それにもかかわらず日本政府は首相が変わるたびに、また米国大統領が変わるたびに、日米同盟=日米安全保障条約第五条の「日本の施政下にある領域での武力攻撃、共通の危険に日米共同で対処する」との規定を「日本を守る義務を負う」と読み替えることで自らを安心させようとしています。

しかし、その解釈は、アメリカが米ソ冷戦時代における世界の警察官を自認していた時までの考え方で、21世紀になってから、湾岸戦争時に多国籍軍を形成して戦わなくてはならなくなったアメリカにそこまで期待できるはずもありません。

さらに、アメリカ世論は、いくら日本との親密な関係があっても、日本のために自国の若者の血を流すことには反対します。せいぜい、日本に米軍基地をおいて、強力な軍事力を見せつけることで外国の侵略を抑止することを基本にしていると考えた方がいい。

要するに、日本が侵略されたら、日本人自らが戦って国を守るとの覚悟を示さなければならないのです。

このことは歴史の観点からも明らかで、具体的には戦国時代の事例を見ればすぐにわかることです。実際、同盟関係にあった国は援軍の要請があって初めて動くものです。しかも、援軍は援軍に過ぎず、戦場の主役ではありませんでした。また、時には援軍の要請をしても援軍は来なかったという事実も忘れてはなりません。


専守防衛は本土決戦、日本人の血が多く流れることを意味する

もう一つの誤解である専守防衛の本当の意味は、敵が攻め込んできて初めて応戦するわけですから、否応なく「本土決戦」になるという事実を認識しておかなければなりません。

要は、大東亜戦争末期の沖縄戦や現在のウクライナでの民間人の悲劇がわが身にふりかかってくることを意味します。

実際、日本が外国勢力からの侵略をうけた場合、海からの砲弾、空からの爆撃、ドローンやミサイル攻撃、上陸部隊からの銃撃と砲弾で、シェルターのない日本国民は逃げ場を失いおびただしい犠牲者をだすだけでなく、家屋は破壊、炎上し、美しい街並みが無残な姿に変えられます。

これが専守防衛の本当の姿で、いま、テレビで見ているウクライナの惨状と同じことが日本で起きるのです。

それにも関わらず専守防衛を美徳のように繰り返して説く人は多いのはなぜなのか。きっとそれが自分を平和主義者に見せてくれると一人で悦に入っているからでしょう。

しかし、この無知な専守防衛論者こそ、日本人の血を多く流させ、命を奪って、日本をなくしてしまいたいという強烈な願望を持っている罪つくりな人であると言えます。それでも、なぜか多くの日本人はこの事実を認識せず、専守防衛を平和主義の象徴のようにありがたがっているのは実に不思議です。



私たちは、ウクライナの悲惨な状況を漫然と見てはなりません。また、テレビのコメンテーターのようにテレビゲームの感覚で事態の推移を見守ってはなりません。

もし、中国や、半島の国家あるいはロシアから日本が侵略された場合、私たちはどう対処すべきなのかということをウクライナの現実から学んで、あなたの愛する人の命を守ることを必死で考えなければならないのです。ウクライナの悲劇は日本でも起こりうることなのですから。



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ロシアに公正と信義を求められるのか コラム(409)

2022-04-23 09:26:26 | 政治見解


コラム(409):
ロシアに公正と信義を求められるのか


空想と現実の差

安保法制で国会前だけが騒がしかった時、日本共産党の下部組織SEALDsの学生が「もし中国や韓国が攻めてくるなら、僕が九州の玄関口で、とことん話して、酒を飲んで、遊んで、食い止めます。それが本当の抑止力でしょう?」と豪語していたことを、ふと思い出しました。

このありえない空想的な考えに賛同する人も一部にはいたようですが、ウクライナの現実を見れば、いまでも、それを言えるはずもありません。しかも、外敵が侵略してくるときは、ミサイルと空爆で、話し合いにも行けないでしょう。

それにもかかわらず、NHKの討論で防衛費について「人を殺すための予算」と発言して詰め腹を切らされた日本共産党の藤野保史氏はいまでも「紛争を戦争にしない外交力の強化こそ必要」と主張しています。空想的平和主義の世界観が破綻しているのにも関わらず、相変わらずお気楽な人だと言えます。


ロシアに公正と信義はない

憲法の前文には「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあります。しかし、ロシアの侵略行為を目の当たりにすれば「諸国民の公正と信義を信頼」することができないことはもはや自明です。

実際、ロシアはソ連時代を通して、戦争犯罪大国、虐殺大国として有名です。戦争被害は、ヨーロッパにおいては、バルト三国、ポーランド、フィンランド、ドイツ、ハンガリー、ユーゴスラビア、チェコスロバキアに及び、日本も、軍人はシベリアに抑留され強制労働と洗脳の日々を、また多くの民間人は筆舌に尽くしがたい悲惨な運命に翻弄されなければなりませんでした。その蛮行がウクライナで行われていますので、ロシアはソ連の遺伝子を引き継いでいるのは間違いありません。

こんな国を信頼せよという方がおかしいのは当然です。仏独の外相が2月の共同記者会見で「公式であれ非公式であれ、相手がマクロン大統領でもショルツ首相でも、約束を守らない。どうすればプーチン氏の言葉を信じられるのか」、「1週間前の発言と逆のことをする。本当のことを言っていなかった、少し分かりやすく言うと、うそを言っていた」と互いにプーチン氏を非難しています。プーチン氏をはじめロシア人にとっては「約束は破るためにある」ということが前提にあるようです。


嘘に嘘を重ねるロシア

18日、プーチン氏は「西側による経済制裁は失敗に終わった」、「物価の上昇は落ち着きを取り戻し、消費者の需要も回復した」と述べました。しかし20日発表のロシアの統計庁によれば最新の消費者物価指数が今年に入り上昇率11%超であると発表しました。これで統計庁の何人かの役人の首がとぶかもしれません。

プーチン氏やその側近たちが強気に振舞っているのは、紙屑同然だったロシア通貨ルーブルを以前にまでもどしたからだと思います。天然ガスへの支払いや借金をルーブル建てにすることでドルとの交換を余儀なくしたわけです。また、撤退した外国企業を国営化したり、借金を踏み倒すことも実行しています。

その被害にあっているのが、欧米などの航空機リース各社です。ロシアの航空会社に貸し出した440機が返ってこない事態になっています。日本のメガバンク、三井住友フィナンシャルグループの関連会社も35機をリースしています。ただし、経済評論家によると、リース機を海外に出すとその場で差し押さえ、ロシア保有機も海外の給油は制裁でできないそうで、逆効果だったと思われます。

最終的にはこれらの行為が一時しのぎに過ぎず、過去に類例のない経済制裁がじわりじわりとロシアの首を絞めることになるでしょう。5月9日の対独戦勝記念日を境に、ロシアはあらゆる面で深刻な状況に置かれると思います。


どうやら、日本人はロシアという国を信頼しすぎていたのではないかと思います。ソ連を解体し西側世界に接近してきたロシアは共産主義思想から脱したと受け止められていたのですが、実質は何も変わっていなかった、むしろ、もっと露骨に欲望をあらわにしてきたと言って過言ではないと思います。

そんな国が北海道のすぐそばにあることを忘れてはなりません。最近では「公正なロシア党」のセルゲイ・ミロノフ党首が「どの国にも願望があれば、隣国に領土要求を提出することができる。専門家によれば、ロシアは北海道の権利を有している」と露骨な野心を表明しています。

自らの衝動を抑えることができなくなったプーチン氏が次の標的にするのはポーランドかそれとも北海道か。常人でははかり知れません。

私たちは、備えあれば憂いなしのことわざのように、しっかりと戸締りはしておくべきです。そのためには戸締りしても内側からカギを開けようとする日本国憲法は早急に改正しなければなりません。

また、今夏の参議院選挙では戸締りをしても内側からカギを開けて外国勢力を招き入れようとする、親ロ、親中、親半島の候補者には投票してはなりません。ウクライナの悲劇は日本の悲劇の前兆であることをしっかりと肝に銘ずべきだと思います。




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なぜ、日本で国防論議が活発化しないのか コラム(408) 

2022-04-20 12:49:11 | 政治見解



コラム(408):
なぜ、日本で国防論議が活発化しないのか


ウクライナの悲劇を深刻に受け止める

ウクライナ東部のマリウポリでは多数の市民が包囲殲滅の危機にあります。ロシア側は降伏を呼びかけていますが、ウクライナ側は徹底抗戦の構えを崩しません。降伏しても選別されて虐殺されるか、シベリア送りの奴隷となるかしかなく、人びとはマリウポリに残って国際社会の救援に一縷の望みを託しているように思えます。

しかし、国際社会にはマリウポリに残された人びとを救う力も手段もありません。21世紀になっても、中世や古代のような籠城戦の悲劇が繰り返されようとしていることに悲しみを禁じえません。何とかならないものかと思う毎日です。

ウクライナの悲惨な状況は、EU諸国がロシアを恐れてウクライナのNATO加盟を阻んだことに端を発しています。集団的自衛権の枠組みに入れないことでウクライナは個別自衛権で国を守らざるを得ず、その弱点を突いて軍事強国ロシアが侵略してきました。EU諸国はその責任を感じてウクライナを救援すべきだと思います

仮にウクライナがNATOに加盟できていたのなら、ロシアと言えども侵略することはできません。ロシアという国は、ソ連時代から、「攻め込もうとする国の三倍の兵力が必要」という思想を持っているからです。戦後、北海道を取りたかったソ連が攻め込めなかった理由も、世界最強の米軍の存在があったからです。

ちなみに、ウクライナとロシアの軍事費の比較では、ウクライナの2021年の国防費は47億ドル(約5400億円)でロシアの10分の1程度に過ぎません。兵力の比較では、ウクライナの現役兵20万人、予備役は90万人に対し、ロシアの現役兵90万人、予備役200万人となっており、航空戦力に至っては5倍の差があります。


ウクライナの教訓

核兵器保有国第三位であったウクライナが核を放棄して28年後、NATOにも加盟できず個別自衛権しかなかったウクライナは隣国のロシアに攻め込まれました。この悲劇をわがことのように考えているのがソ連崩壊後にNATOに加盟したチェコと、ながらく中立を宣言していたフィンランドとスエーデンです。

チェコは、ソ連軍主導のワルシャワ条約機構軍による軍事介入で「プラハの春」を蹂躙された苦い経験があります。

フィンランドは「フィンランド化」という言葉になったほど、帝政ロシアやソ連から事実上の支配を受け続けていた国です。シベリウスの交響詩「フィンランディア」はロシアへの独立運動を鼓舞したものです。

また、スエーデンは帝政ロシア時代からの宿敵関係にあり、戦後はソ連の軍事的圧力を受け続けていました。

ウクライナの惨劇を見て、フィンランドとスエーデンはNATO加盟を急いでいます。集団的自衛権なしには国を守れないと思っているからです。

翻ってわが日本、世界の国々が国を守るということを真剣に考えざるをえなくなった今でも、わが国における国家防衛の議論が広範に起きないのは実に不思議です。自民党の部会では活発に議論しているようですが、それを国民にまで広げようとはしません。

またメディアも何かに規制されているかのように、フィンランドとスエーデンのNATO加盟の動きは伝えても、肝心の日本の防衛はどうするのかという議論に踏み込むのをさけています。

余談になりますが、NHKに至っては、4月10日のニュースでウクライナから日本へ避難した女性の「私たちの勝利を願います。勝利を。ウクライナに栄光あれ」との話を字幕で「今は大変だけど平和になるように祈っている」と表示しました。意図的に「戦争は悪」との主張に改ざんしたわけです。公共放送のNHKであっても、祖国防衛の戦いも悪であると考えているようです。


日本の国防論を妨げる元凶

国民の殆どが、国を守ることは大切で、現状では心細いと思い始めているのになぜ、政治家はそれを積極的に発言しないのでしょうか。何でも反対、中国寄りの立憲民主党さえも口を閉ざし、日本共産党でさえ侵略されたら自衛隊に戦ってもらうなどの発言もあり――これは日本共産党の綱領に違反する行為ですが――国民のコンセンサスを得るいい機会なのですが、何を寝ぼけているのでしょうか。

おそらく、政府内の最大の障壁は公明党にあると思います。公明党のウクライナ発言は、偽善に満ち溢れ「人道支援」のことばかりです。現地に赴くことなく高見の見物をしているだけで、何の手助けをしようとしていませんし、その上、わが国の防衛に関してもまるで無関心です。歴史的に見て、そのような態度を取り続けることが侵略者にとって一番都合がいいということを理解していないようです。

国民の八割が危機認識を始めたいま、危機認識を薄めようとする公明党の行為は、刑法第81条に規定する外患誘致罪= 外国に働きかけて日本国に武力行使させたり、武力行使されると知ってそれに協力したりする罪、にも等しい行為だと思わざるをえません。

政権内部にこのような工作員を放し飼いにしていれば、世論に国防のコンセンサスを得ることができない以上、政府自民党は公明党と手を切るべきだと思います。選挙の票目当てに、公明党=創価学会と手を組んでいても、超高齢化した組織はまもなく機能しなくなるのは目に見えています。決別する良いタイミングだと思います。

日本国民にとって国防上の最大の敵は、立憲民主党でも、共産党でもなく、公明党であると言うべき時が来たと考えます。



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ちょっと休憩中

2022-04-18 11:37:55 | 日記



ちょっと休憩中

先週はブログを更新することができず、誠に申し訳ありませんでした。実は、私事で恐縮ですが、痛風が久しぶりに出て、鎮痛剤に含まれる眠くなる成分で思考が停止しておりました。


星占いでは、2020年の冬至から「風の時代」【※1】に変わったと大きな話題になりましたが、私はその20年も前から「痛風の時代」が到来しておりました。

【※1】西洋占星術では、社会に影響を与えると言われる木星と土星が同じ位置で重なる「グレート・コンジャクション」が水瓶座(風のエレメント)で起きたことで、220年続いた「土の時代」が終わり、「風の時代」へと変わったと説明する。風の時代の到来とほぼ同時にコロナがはやり始めた。

ちなみに前回の「風の時代」、日本では鎌倉時代に移行し武家政権が誕生した。世界史的にはモンゴル帝国の拡大から衰退がトピック。その800年前の風の時代では、フン族大移動でローマ世界が終焉に向かう。急速な転換が起こり、旧時代の風習や慣習・常識が、新しいものにドラスティックに置き換えられることが予測される。



それはさておき、数日前、当ブログ『コロナ感染後期にはEGTが有効』で紹介した東京大学宇宙線研究所元教授の齋藤威先生から「バイオ燃料利用」論文についての意見を求められましたので、その際、痛風の話をしたところ、なんとEGTに炎症を鎮める効果がある旨ご連絡をいただきました。

別サイトにて紹介した齋藤論文『コロナウイルス感染とエルゴチオネイン(三訂)』には掲載していない内容だったために改めて驚きました。

(9)痛風
生体は、尿酸結晶など体内で生成された極微小粒子に対してもウイルスの殺菌と同じように、好中球を活性化させ、大量のスーパーオキシドを発生させて攻撃する(Thomas, 1992)。 体内の還元酵素で消去できなかった*O2-は、大量の OH ラジカルとなり炎症を引き起こす。尿酸を抱えこんだ好中球の遺骸によっても、血管壁がダメージを受けて大きな炎症を発生する。
ヒトでは、尿酸はプリン代謝における酸化最終生産物であり、尿として排泄されるが、尿酸トランスポータ(URAT1)により近位尿細管からその約 80%が再吸収されて血漿中に分布される。

尿酸は血漿中の OH ラジカルを還元する抗酸化物質であり生体維持に不可欠な物質である。しかし逆に活性酸素が少な過ぎると尿酸が消費できなくなり、尿酸濃度が上昇して析出し易くなる。 尿酸は水に難溶性で、体温の僅かな低下でも結晶化し易くなる。このように、結晶化の閾値は極めて微妙である。
しかし、EGT の化学構造からも、EGT が体温を上昇させる機能は考えられない。 従って痛風の改善が、EGT の作用ではなく、タモギタケが含有している他の機能性成分[ Appendix 1]の効果とも考える。一方、痛風の原因が、酸化ストレスによる近位尿細管の排泄・再吸収システムの不全であるならば、EGT の効果である確率が高い。いずれにしても、痛風が高い確率(5/5)で改善したという事実が重要で、専門家の検証を求めたい。


以前、斎藤先生からうかがっておりましたが。ご自身が物理学実験中に被爆し甲状腺ガンなどを発症、これをEGT=タモギタケで症状の緩和した体験が、EGT研究のきっかけとなっているようです。

斎藤論文を読み返してみると
体内の還元酵素で消去できなかった*O2-は、最終的に危険なヒドロキシラジカル(OHラジカル)となって、脂質を酸化させて、動脈硬化や心筋梗塞脳などの心筋障害、1型糖尿病、末端神経障害など多種多様な疾患を発症させたり(以下略)
とありますので、意外に使い道が多いように感じます。

幸い、我が家にはコロナ対策用として、EGTを高濃度に含有するタモギタケを斎藤先生からいただいておりましたので、味が悪いのを我慢して摂取しています。鎮痛剤と併用していますが、だいぶ痛みと腫れが緩和されてきました。接種を止めるとすぐ元に戻るようですので、体質が改善されるまで味を我慢して取り続けたいと思います。

そんなこんなで、ブログの更新はペースを落としていますが、回復次第、思うまま書いてまいりますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いします。




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憲法9条、日本共産党の本音 コラム(407)

2022-04-07 11:16:24 | 政治見解



コラム(407):
憲法9条、日本共産党の本音


台風や地震の襲来も憲法9条で禁止したらよい

ロシアのウクライナ侵略で日本国民は国防ということを意識し始めているようです。読売新聞の最新世論調査では防衛力強化「賛成」が64%に達したと報じられています。世論調査はどのメディアもデスクが数字を操作するものですが、このご時世ですから、20ポイント減らしてみても「防衛力強化賛成」の数字は大きくなるのは当然だと思います。

これに慌てているのが憲法9条を信奉する集団です。日本共産党の小池書記局長は「憲法9条を空想的とあざ笑えば破滅的な戦争になる。9条を守り、戦争のない世界をつくろう」と主張、田村智子参議院議員は「憲法9条の精神に沿った市民社会の声こそがロシアを追いつめる力だ」と述べています。

北海道新聞もウクライナ問題の編集後記に「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する―。憲法9条の理念を再確認したい。」と主張しています。

これらの発言、私には彼らがまるでカルト宗教信者のような精神主義に陥っているように見えます。「憲法9条」、「憲法9条」とのお題目を唱えておけば、ロシアはウクライナから撤退するし、中国、ロシア、南北朝鮮は絶対に日本に攻めてこないと信じ切っているように見えるのです。

現実の様々な事象に対して暴力沙汰まで起こしながら抗議する彼らが、こと憲法のことになると、夢見る人になるのが実に不思議です。「憲法9条」と聞くだけで一瞬のうちに催眠状態に入るのかもしれません。

学生時代、京都大学名誉教授田中美知太郎先生の論評にうなったことがあります。

「平和というものは、われわれが平和の歌を歌っていれば、それで守られるというようなものではない。いわゆる平和憲法だけで平和が保証されるなら、ついでに台風の襲来も、憲法で禁止しておいた方がよかったかも知れない。」(初出『中央公論』昭和33年9月号)

護憲論者の欺瞞を一言で突いた至言です。


日本共産党の本音

最近、日本共産党は、お花畑と言われているのを強く意識しはじめたのか、国防問題について触れ始めました。4月4日には山下芳生参議院議員が次のようにツイートしています。

「憲法9条は、無抵抗主義ではありません。9条のもとでも個別的自衛権は存在します。日本共産党は、いますぐ自衛隊をなくそうなどとは考えていません。万が一、『急迫不正』の侵略を受けたら、自衛隊もふくめて、あらゆる手段をもちいて命を守ります。国の主権と独立を守るのは、政治の当然の責務です。」

従来には見られない随分と踏み込んだ発言ですが、そう言わないとならないほど世間の視線を厳しく感じはじめているようです。

ただ、山下議員のツイートは共産党の本音を漏らした突っ込みどころだらけの問題発言です。

日本共産党は日頃から国際紛争を解決する方法は「話し合い」によると主張し、平和主義を中心におき、武力の行使について否定的意見を述べていました。にもかかわらず、急に「あらゆる手段」をもって自衛すると宣言したことは驚くべきことです。これは日本共産党の平和主義のイメージを覆しただけでなく、平和主義が人びとを欺くためのものであったことを自ら認めてしまったことになります。山下さん、懲罰ものですよ。

しかも、「自衛隊は違憲、将来解消する」(公式見解)、「防衛費は人を殺すための予算」(藤野保史元政策委員長)と批判していた「違憲の自衛隊」を使おうとする行為自体、それこそ憲法違反のそしりを免れません。

また、個別的自衛権だけでは侵略者の魔の手から国を守り切れないことがウクライナの悲劇で分かったにもかかわらず、個別的自衛権でどうやって国を守るのか。彼らの本質が外国勢力の侵略を手引きする工作員集団だからそのような悪質なことを平気で言えるのです。

さらに、「日本の主権と独立を守る」と言うこと自体、日本をアメリカ帝国主義の従属国、半国家に位置付ける日本共産党の綱領とは大きくかけ離れていると言えます。彼らは主権と独立を勝ち取るために日本革命が必要だといっているのですから。


共産党の本音は9条否定

山下発言をよく読めば、「日本の主権と独立は守るためには自衛権は必要」という論理です。実は、この考え方、日本国憲法制定過程での国会審議で日本共産党が主張していた論理と同じことを言っているのです。

1946年8月24日、日本国憲法草案審議の衆議院本会議で、日本共産党の野坂参三氏は
「われわれは民族の独立をあくまでも維持しなければならない。日本共産党は一切を犠牲にして、わが民族の独立と繁栄のために奮闘する決意をもっているのであります。(中略)要するに当憲法第二章(第九条)は、わが国が自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある。それゆえにわが党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない」
と演説しました。日本共産党を護憲政党と思っている人には信じがたいことだと思います。

いまとなっては、この議事録を、ソ連のスパイとして認定した野坂参三さんともども葬りたいようですが、公文書として議事録に保存されているのでそれは不可能です。


日本共産党の最終目標は日本の社会主義、共産主義化です。そのためには、「革命を実現する過程では、資本家や反動政権に対してどんな嘘を何回ついても良い」という共産主義の理屈を使って、暴力闘争が本当の姿である共産党を平和の党に粉飾し、憲法9条は「世界に誇る宝物」と民衆を欺いているのです。

今年の7月には参議院議員選挙が行われますが、果たして共産党は躍進するでしょうか。いくらロシアの侵略戦争に反対しても、また中国の覇権主義に意義を唱えても、SNSが発達してきた現代では、高齢者以外騙すことはできません。日本共産党にとって厳しい戦いになることは間違いありません。

政党とは、国家と国民に誠実さを感じさせない限り信頼を勝ち得ることはできないのですから。




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ウクライナの悲劇を早く収束させるためには コラム(406)

2022-04-05 08:32:26 | 政治見解



コラム(406):
ウクライナの悲劇を早く収束させるためには


テレビを見てもウクライナ問題は解決しない

テレビメディアはウクライナの悲劇を心配そうに報道するのですが、内心では喜んでいるように思えてなりません。軍事作戦の模様や、凄惨な映像を流すことで視聴者を引き付けることができると思っているからです。

専門家の解説は別として、アナウンサーやコメンテーターの実際の話しぶりを見ると、まるでテレビゲームを見ているかのような錯覚に陥りますし、深刻な表情でロシアを非難する顔も、テレ朝の玉川さんや大下さんは笑っていたり、はしゃいでいるように見えるのです。テレビメディアにとって、人の生き死にや、国家の生き死に、にかかわる問題は、視聴率を取るための手段にしか感じてはいないように思います。

「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という危機感で語られた1957年の流行語「一億総白痴化」が一層、実体化してきているようです。

これでは、テレビメディアを情報源とする総理大臣や日本の国会議員に影響を与えるはずがありません。テレビ情報を頼りに条件反射的に施策をつくることはできても、ウクライナの悲劇をどのように収束させ、今後の世界秩序をどう構築していくのかの明確なビジョンをもっていない彼らにとって、国際社会は日本を財布代わりに使われるだけで、日本は国際社会に何の貢献もしていないことになります。それだけに、国際秩序の正常化を目指し国際社会から称賛を浴びた安倍外交から大きく後退したと言えると思います。


中国に問題解決能力はない

メディアや評論家の中には、中国の動静がウクライナ情勢に影響を与えると言う人がいるのですが、それは基本的にありえません。なぜなら中国および中国人は本能的に利害打算で動くことと、ウクライナ問題は中国の利害関係があまりに多くの分野でからんでいるため、中国自身、身動きが取れない状況になっているからです。

中国があてにならない理由は三つあります。

その第一は、ウクライナと中国が切り離しがたい密接な利害関係で結ばれていることです。中国人にとっての最大の関心事は金儲けです。ウクライナは中国の覇権戦略、一帯一路はヨーロッパへのハブ拠点になっています。2020年には武漢からキーウ(キエフ)にむけて国際貨物列車「中欧班列」が、その翌年にはキーウから西安市向け直通列車がそれぞれ運行を開始していることからもわかります。したがって、ロシアがウクライナを破壊し続けることは、中国の本音では耐えがたいことであるのは間違いありません。

しかも、軍事関係も密接で、中国の最初の空母「遼寧」はウクライナからスクラップ名目で購入しましたし、旧ソ連製の武器も中国は手に入れて装備の基準にしています。その上、ウクライナが親露政権時代、「ウクライナが核攻撃をされたら中国が核の報復をする」との条約まで結んでいます。

これはおそらくアメリカを意識したものであったようですが、これが皮肉にも現在のロシアに適用されることになります。それを知っているロシアはウクライナに核を使えません。また、ロシアが核を使った場合、中国はどうするのか、条約を守るのか、ロシアに肩入れするのか中国は迷走を続けることでしょう。要するに、中国はウクライナからの利益を失うことは避けなければならないし、かと言って、反米で利害が一致するロシアとも敵対したくないという矛盾撞着に陥ってしまうわけです。

第二の理由は中国の軍用品の殆どがロシア基準ですが、ロシアのウクライナ侵略状況から判断して、ロシア製の武器への信頼性を失ってしまったことにあります。仮に台湾を内戦と主張して攻め込んでみても、ロシア製の武器では、米軍から武器供与されている台湾に簡単に押し戻されそうに感じているはずです。

その上、ロシアの侵略に対する国際社会の風当たりは凄まじさを実感した気の小さい習近平氏にはプーチン氏ほどの厚かましさはありません。Quad(日米豪印戦略対話)に加えて欧州諸国も加わって対中包囲網を形成されたいま、事を構えることも、またロシアと積極的に組むことも得策でないと分かった以上、口先だけの対応をすることしかできないのです。

第三の理由は、国際社会における経済関係が多角化し、中国自身が最先端技術や食料の輸入分野で欧米諸国との縁を切りたくても切れなくなっているからです。つまり、欧米諸国から中国が切り離されれば中国は確実に崩壊します。したがって、中国が経済大国であることを威張ってみたところで、所詮は欧米諸国の手のひらで泳がされている孫悟空みたいな存在にすぎません。それを無にしてまでロシアと手を組むことはあり得ません。

中国好きの一部評論家は「中国に仲介を頼めばいい」という気楽なことをいっていますが、中国は自分の利益を最大にしたがる損得勘定の国ですから、どちらに転んでもメリットがない以上、積極的に動くはずはありません。結局、中国にとっての正義とは「損得勘定」で、躊躇逡巡をしながら日和見を続けるだけなのです。


ウクライナ問題解決にインドの力を

そうなると、必然的に頼りにできるのは将来の大国インドになるということは自明です。しかも、ソ連時代から現在のロシアと友好関係にあったインドが、ロシアとの利害関係を断ち切るだけで、すぐに日米欧の側に立つことができるはずです。しかも、ロシアの侵略戦争後の新しい国際秩序を構築するのに、高齢化中国を青年のインドに置き換える府が国際社会の発展に大きく寄与するように思えます。

したがって、国際社会はインドをいかに日米欧側に組み入れるのか、その説得に全力を尽くした方がいいのではないかと考えます。

この際、インドのモディ首相に対し、同首相が心から敬愛していた安倍元首相に説得してもらい、Quad(クアッド)のようなロシア包囲網を形成することがウクライナ問題解決の近道になると思います。



一方、現状の日本政府にはウクライナ問題に対しての解決能力はありません。いつも「重大な懸念持って注視する」と言うばかりで明確なビジョンはないのです。注視している間にもウクライナの事態は深刻化しています。

また、注視しているだけで日本の国防や憲法改正の動きも見えてきません。結局、日本政府は何もしようとはせず、変革を求められているのに現状維持を強く望んでいるようです。この危機感のなさこそ、戦後日本の最大の危機であるように思えてなりません。




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