
コラム(372): 立憲共産党のススメ
「立憲民主党に投票するともれなく共産党がついてきます」というある方のツィートを見て思わず唸ってしまいました。本質をズバリ言い当てているからです。
「立憲共産党」という言葉がだいぶ広まってきているようで、立憲民主党(以下「立民」と記載)が動揺しています。共産党との一体化を連想させるこの言葉が、「保守層離れを一層加速させる」として恐怖を呼び起こしているためです。
しかし、肝心の保守層は民主党政権時代の苦しみを忘れることはありませんから、「保守を取り込みたい、取り込める」と思うこと自体が根本的な勘違いであることは断言できます。
それよりも、非自民の人が多いという無党派層の現実を直視して、選挙戦でアピール中の「野党は共通政策、政権協力、選挙協力を柱に本気で戦っている」を実質化させ、立民と共産党が一体化し、よりパワーアップして、非自民・反自民の戦いを起こした方がよほどメリットは大きいと思います。
立憲民主党側のメリット
立民が一番嫌がるのは「暗黒の民主党政権」という言葉です。旧民主党が党名を何度ロンダリングしても、未だに旧民主党時代の負のイメージを払拭することはできていません。看板を変えたところで政策の中身が変わっていなければ、いくら否定しても誰の目からも同じに映ります。
現在、枝野代表は保守票の取り込みに遊説活動を続けているようですが、保守層は立民を最初から毛嫌いしているので、かえって自民党や保守に近い維新への投票行動を強く促すことにつながりかねません。枝野代表らは浅知恵の左派メディアの甘言、あるいは右派メディアの深慮遠謀に判断を狂わされていると見るのが正解で、選挙後に気が付いてみれば政権奪還は夢のまた夢という幻想にとりつかれていたということに気づくと思います。
また、その一方で、立民が野党共闘を強く推しすすめたため、票田の連合の一部が立民離れを起こしているという現実があります。自動車労連などは自民党に接近しつつあると言われ、逃げ出した票を取り戻すことはもはや不可能です。
そうなれば、逆に居直って共産党との連携をさらに強化して、強固な反体制左派政党として自民党に対峙していく方がノイジー・マイノリティとしての存在価値は高まると思います。
しかも、立民に一番欠けているのは組織力です。共産党が合流すれば、その弱点を補ってくれるのが地方組織がしっかりしている共産党です。これほど頼もしい力はありません。その上、立民支持から逃げ出した労組に代わる手足として共産党員を実働部隊に加えれば、いくら老齢化した共産党員といえどもあと5~6年くらいは使い勝手がいいと考えられます。立民が生き延びるにはこれ以外の選択肢は考えられないのです。
共産党側のメリット
共産党にとって最大の負のイメージは、流血革命を首謀した経歴が常に付きまとっていることです。政府答弁書や公安調査庁の報告書には「共産党が破防法に基づく調査対象団体である」と明文化されていることは周知の事実ですが、共産党は「党の正規の方針として『暴力革命の方針』をとったことは一度もない」と弁明に躍起にならなければならないほどの汚点になっています。しかし、これは他党に合流することでロンダリングできます。
しかも、共産党は安保法制を阻止することができなかったために中国からの多額の資金援助を失いました。そのことがあってからというもの、共産党は「野党連合政権」構想を打ち出して全選挙区に立てていた候補者を絞ったり、首班指名で立民の枝野代表に投票する行動をとらざるをえませんでした。現在でもそれを継続せざるを得ないのは慢性的な資金不足が原因です。したがって、立民と合流できさえすれば党としての悩みは一気に吹き飛びます。
さらに、一般党員にとってもメリットは大きいものがあります。過去に当ブログの『日本共産党の搾取と貧困』で、議員や秘書の給料が大きく搾取されている実態、一般党員も同様に搾取されている実態を明らかにましたが、これ以外にも、党職員や赤旗を配布する運動員への給料、活動費の遅配、欠配は日常茶飯事で末端党員は悲鳴が上がっています。
この悲惨な実態と、用心棒と運転手、料理人が常駐する小学校より大きい大豪邸に住むと言われる不破哲三氏や20年以上も委員長の座にあって独裁する志位和夫氏のブルジョワ生活とは天と地の開きがあり、共産党は日本の格差社会の象徴であるとも言えます。したがって、一般党員にとっても貧困生活から抜け出すためにも立民と一緒になる方がメリットは実に大きいと思えるのです。
立民、共産党双方にとって、立憲共産党としての出発ほどメリットのある話はないと思います。立民の裏部隊で暗躍している小沢一郎氏もその報告性を支持して見られると思われますので、今回の総選挙を契機に合流を現実のものとしてみるのもいいかもしれません。
国民の支持が広がるかという問題は別として、反体制左翼政党として生き残るにはこれしか方法はないのです。
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