赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

週刊誌記事について コラム(159)

2016-03-28 00:00:00 | 政治見解


コラム(159):週刊誌記事について

新聞の影響力が低下している中、週刊誌の影響力が増しているようです。記事で個人的な失敗や醜聞が大きく取り上げられた途端、当人に対する激しいバッシングが始まり、社会的な活動が出来なくなるまで追い詰める風潮が気になります。


週刊誌記事の奥にある精神性

新聞に報道機関としての公正さが求められているのとは異なり、週刊誌は報道機関としては認知されていません。

その理由は週刊誌の記事は、記者や編集者の思い込みや感情で記事が書かれているからです。記者や編集者の気持ちに「あいつは気に食わない、図に乗っている、貶めてやりたい」などの個人的な感情が入り、それが読者の嫉妬心や憎悪の感情を煽っています。要するに、編集者も読者も人の不幸を見て喜ぶという共通点があります。正義の名のもとに人の失敗や不幸をあげつらうことで、あたかも自分自身が優位に立っているような錯覚に陥っているのです。

また、こうした週刊誌記事に共鳴して国会で質問する議員にも同様の精神性が内在しています。週刊誌記事に基づいて国会質問すること自体、自らの品性の程度を晒すことになります。


無秩序な社会をつくってはらない

もう一つの問題として、週刊誌である人物を取り扱う場合、特徴的なのはその人物の人格の全否定をしているところにあります。その失敗はその人の人生の一部分であってすべてではないはずです。その部分だけで人格すべてを裁く権利があるのでしょうか。それは週刊誌もテレビも新聞も、私たちすべてにも言えることです。これは法秩序を無視した私刑(リンチ)と同じ暴力行為です。

この状態が続くと、あちこちでアラ探し、悪者探し、犯人探しの殺伐とした世の中になり、排他主義やファシズムの温床になりかねません。また、週刊誌の記事に依存し、自分の信念や考えを持つことを放棄してしまうと知性の劣化を招きます。

マスコミ全体、国民全体が考えを改める時期に来ているのではないでしょうか。




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民富んで国栄える コラム(158)

2016-03-25 00:00:00 | 政治見解



コラム(158):民富んで国栄える


消費税増税に慎重論が出ている中で野党は、「消費税増税の先送りは選挙目的」「政策がころころ変わる」などの批判をしています。

しかし、消費税増税で日本経済がどうなっていくのかという本質的な議論は見られません。消費税増税問題が単に政党間の駆け引きの材料になっていることを残念に思います。


財務官僚の影響

消費増税を積極的に推進しているのは財務省です。財務省は「国の借金は将来世代へツケを残すから増税すべき」という考えです。財務省の増税やむなしの観念は強く、与野党を問わず多くの政治家に影響を与えています。また、マスコミも財務省資料に基づいて経済記事を書くため、財務省の見解と同様の記事になります。さらに、経済評論家も然りです。

政治家もマスコミも評論家も財務省の考えの受け売りをしているのです。


財政規律論の弊害

財務省にとっての関心事項は、財政にかかわる数値資料だけで国民の立場で物事を考えているわけではありません。国の財政が赤字になったら、増税して埋めればよいという発想となります。これは極めて安易な発想であって、結果的に国家と国民を対立する関係に誘導してしまいます。

財政規律論に捉われている財務官僚は、国家は国民を統制しなければならないと考えているので、国民の豊かさの論議は後回しにされてしまいます。


国の借金の質

財務省の話だけを聞くと、日本経済に対する危機感を抱きますが、国の借金の中身を見ると、外国に多額の借金があるわけではなく、国民が国にお金を貸している状態です。つまり、よその家に借金しているのではなく、家族間で貸し借りをしている関係にすぎないのです。

しかも、日本の対外純資産(国全体の対外的な資産残高から負債残高を差し引いた数値)は、2014年末で約367兆あり、世界最大の債権国の地位は変わりません。国の借金問題は日本経済にとって殆ど影響がないというのが真相なのです。


民富んで国栄える

消費税の増税をせずに税収を上げる方策として、例えば、公共事業への大胆な投資があります。

公共事業は国民の生命、財産を守る極めて重要なインフラ整備であるとの考えに基づき、積極的財政出動をして国民を先に富ませることで日本を豊かにする方法です。

インフラ整備に思い切った公共投資をすることで名目GDPが数倍になり、それにともない税収が増え公共投資分のお金は税収で回収できます。実際、国民が豊かになると消費活動が活発になり、景気は上向き、経済活動は好循環を生み出します。その結果、国家の税収が増えることになります。

これはほんの一つの例ですが、政治家の皆様はもっとさまざまな方法を研究していただきたいと思います。


国家は国民の存在があってはじめて成り立ち、国民は国家という枠組みの中で平和と安全を享受できるという不可分の関係にあります。そのため、国家は常に国民の発展と幸福のために何をなすべきかを考え、また、国民は国家の繁栄のために寄与するという関係性を強く築いていくことが明日の日本を発展させます。

「民富んで国栄える」ということをくれぐれも忘れないでいただきたいと思います。



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政治の新しい潮流 コラム(157)

2016-03-21 00:00:00 | 政治見解



コラム(157):政治の新しい潮流


安倍総理は、普天間飛行場の辺野古移設をめぐって司法が示した和解案を受け入れる考えを表明しました。安倍総理が先に和解案に応じた背景には、総理自身、国会や司法の場で争うことを嫌っているからと思います。いたずらに対立軸をもって論争しても、沖縄県民のためにならないと感じているからだと思います。

また、ネット上の書き込みがあった保育園問題では「子供を産み育てる若い家族を取り巻く環境を温かく配慮に満ちたものにしなければならない」と述べ待機児童減少への方策を指示しています。さらに、選挙制度改革については諮問機関が答申した新たな定数配分方式を容認する方向を示しています。経済問題では国際的な有識者と意見交換する会合を開催し、「サミットで世界経済の持続的な力強い成長に向けて明確なメッセージを発したい」と述べています。

これら一連の動きは、これまでの日本の政治に見られなかった動きで、政党の枠を越えた注目すべき動きだと思います。


力点の所在

安倍総理の発言や行動が選挙目当てと論評するジャーナリストがいますが必ずしも的を射た指摘ではありません。安倍総理には、国民の意見を分け隔てなく聞くことから政治を始めようとする姿勢が感じ取れます。

従来の政権担当者であれば、多数の議会勢力をもって野党の主張を突っぱねていたはずが、最近では野党の意見であっても前向きに受け入れようとしています。

安倍総理は物事を決定するときに、政治的な対立軸をもって議論するのではなく、お互いの意見を尊重しながら進めていきたいと考えているようです。


対立から協調へ

安倍総理の、対立や論争という概念を離れ協調して問題を解決しようとする姿勢は、2015年のG7・エルマウ・サミットで発揮されていました。G7の最終局面で、アメリカとEU諸国がロシア問題で意見の集約がつかない時に協調的な解決策を示したのは安倍総理でした。調停に苦慮していた議長国ドイツのメルケル首相は安倍提案をG7の結論として取り入れることができ、共同声明発表にこぎつけました。会議終了直後、激しく対立していたアメリカのオバマ大統領、フランスのオランド大統領の双方とも安倍総理に駆け寄り、協調案を絶賛し感謝したと言われています。

安倍総理は中国や韓国に対しても、話し合いや協調によって関係改善を図ろうとしています。日中韓首脳会談、慰安婦問題の解決をはかった日韓首脳会談は、安倍外交の真髄を示したものでした。

また、単に宥和的な外交を進めるだけではなく、毅然たる日本の姿勢と矜持を示し、秩序ある関係性を築こうとしているのです。したがって、相手国の悪意ある発言や行動に対しては断固とした抗議をしていることに着目しなければなりません。これは決して、対立により憎しみを増幅するものではありません。


日本と世界の政治に新しい潮流が流れ始める予感がします。まだまだ流れは小さいかもしれませんが、必ず大きな流れとなることを願っています。



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希望の政治、不安の政治 コラム(156)

2016-03-18 00:00:00 | 政治見解



コラム(156):希望の政治、不安の政治


「未来は希望と不安でできている」という言葉があります。文字通り、希望に満ちている人には輝かしい未来が待ち受けているし、一方、不安感の強い人には悲観的な未来がやってきます。希望と不安は人生観や世界観を決定づける重要な心の姿勢なのです。


不安の原理

実は、政治の世界も希望と不安が交錯しています。政治によって国民が希望に満ちている国家は発展し、逆に政治によって国民が不安感や恐怖心でいっぱいであれば、国家は衰退します。

戦後日本の政治は自民党と野党の対決という構図になっていますが、自民党の政策に対して野党は一貫して国民の不安を助長させ、政権を揺さぶってきました。要は、国民の政治不信を膨らませて、反政権へと誘導してきたのです。

例えば、1955年に自民党が結党し憲法改正を掲げると「逆コース」とか「保守反動」のレッテルを貼り、また、1960年の日米安保改定時には「日本が戦争に巻き込まれる」というありもしない言葉で不安を煽り、反政府活動や反米運動を展開してきました。こうした時代の野党のレッテル貼りが誤りであったことはその後の歴史が証明しています。


マスコミの加担

人間は誰しもが何らかの不安を抱いているものですが、不安の思考や感情が増幅されると、起きてないことがあたかも現実のものとして見え、理性を失ってしまいます。

1993年の非自民連立の細川政権、また、2009年の民主党鳩山政権の誕生の要因に、このような国民の不安感を利用して政治不信を惹起させていたことは周知の事実です。

また、これを後押ししたのはマスコミです。マスコミは、反権力の姿勢が使命であると錯覚をしています。さらに、政権の評価を下げる事で自らの地位を浮上さようとする傾向があります。そのために政権の批判を書き連ねて、国民の不安を煽るのです。


警戒と不安の違い

ところで、不安の心理ばかりが強調されますと、本当に警戒すべき事柄に対する議論が脇に追いやられる可能性があります。

例えば、自然災害や国の防衛については警戒を怠ってはならないのですが、自衛隊や国防問題を論じようとすると、必ず奇妙な議論が出てきます。先般の安全保障政策の議論では「戦争法案」「他国の戦争に巻き込まれる」「徴兵制が復活する」などと実体とかけ離れた不安話しだけが持ち出されました。結局、国民の不安を煽ることばかりで、国家が本気で警戒しなければならない危機についての議論は全くなされませんでした。


ビジョンが問われる民進党

しかし、国民は野党やマスコミが主張する不安の扇動が欺瞞であることを見抜きはじめています。

国民は、支持する基準として政党が将来の国家ビジョンや経済ビジョンを持っているかどうかが大きな要素になっています。

民主党を中心に政界再編(民主と維新合流後は民進党)や選挙協力が進められていますが、民進党に国民の期待感が上がらない理由は、政権を倒したいだけで、肝心のビジョンが無いからです。


希望の原理

安倍政権は「日本を取り戻す」という国家ビジョンを持ち、アベノミクスやそれに続く「一億総活躍社会」で国民経済を活性化させようとする試みに、国民は希望を見出しています。

また、おおさか維新も明確な国家ビジョンを打ち出しはじめています。

民進党は他党に遅れてでも、真剣に国家ビジョンを打ち立てていただきたいと思います。

これからの政治は、政策論争の時代が到来すると予想されます。

不安を煽る政治を終わらせ、希望の原理で政治が運営されることを願っています。



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朝鮮半島情勢について コラム(155)

2016-03-13 00:00:00 | 政治見解



コラム(155):朝鮮半島情勢について


北朝鮮の核実験やミサイル発射に対する国際社会の制裁、米韓軍事演習、北朝鮮の反発などの報道を目にします。

そこで、朝鮮半島の本当の現状と望ましい姿を考えてみたいと思います。


北朝鮮は中国を敵視しはじめた

金正恩氏が北朝鮮の最高指導者に就任して以来、中国離れが顕著になっています。就任直後から今日に至るまで粛清された幹部の人数は100名以上にものぼり、そのほとんどが中国とつながっていた人たちです。

そのことを早くから掌握していた中国政府は、抗日勝利70年式典では北朝鮮代表を冷遇し、さらに昨年12月のモランボン楽団の中国公演の際、中国政府は楽団の意向を無視したり粗末な扱いをしました。

それから三週間後の本年1月6日、北朝鮮は核実験を行いました。その本当の狙いは中国に対する北朝鮮の意思表示だったのです。中国が北朝鮮に対しあいまいな態度をとっているのは、実は北朝鮮の核の恫喝に恐怖を感じているからです。


韓国は中国と距離を置き始めた

一方、韓国のパククネ政権は発足当初から、中国との政経協調をはかり、韓国経済を中国に依存し、中国のAIIB構想にも積極的に加担しました。

アメリカは韓国に対し再三警告を発し、さらに迎撃ミサイル・システムTHAADの配備を強く求めました。

また、中国の覇権主義の実態が国際社会から非難されていることや、中国経済の低迷が韓国経済に悪影響を及ぼしはじめたことで、中国依存体制に深刻な懸念が韓国内に広がりました。

実は、昨年12月末の日韓首脳会談での慰安婦問題の合意と、本年1月に発表された日米ミサイル防衛への参加やTHAADの配備決定の背景には、韓国政府の中国との決別という大きな決断があったのです。


このように、北朝鮮、韓国ともすでに昨年の12月の段階で中国に対する姿勢を鮮明にしています。これにより、南北に分断された両国がいずれも中国に対する共通の意識を持ち始めたのです。

したがって、米韓と北朝鮮双方による非難合戦はあくまで表向きのものであって、3月7日から来月末まで行われる米韓軍事演習の仮想敵は北朝鮮ではなく中国なのです。

実際、米韓軍事演習に対し、中国が「重大な懸念を示す」と述べていましたが、さすがに中国も米韓の思惑を見抜いているのです。


朝鮮半島の望ましい姿

国際情勢の変化は一般常識を超えたところで起こります。敵対していた国家同士が、ある日突如として同盟関係に入るということは珍しくありません。戦前には、独ソ不可侵条約締結のニュースに驚いた平沼騏一郎首相が「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」と述べて内閣総辞職に至った事例があります。また、1971年の米中接近は、ニクソン・ショックと言われるほどの衝撃が国際社会に広がり、日本も中国との国交を結び、台湾との関係を断絶した経緯があります。

したがって、中国と手を切り始めた南北朝鮮の統合のきっかけになる可能性も否定できません。

当ブログの信頼する情報筋からは、「北朝鮮は武力を用いて南進する意思はない」との見通しが寄せられています。

朝鮮半島が武力行使なしで平和裏に統一されるなら、これ以上のぞましい姿はありません。

かつての朝鮮戦争のように、民族内の憎しみが増幅され、虐殺や不幸が繰り返されてはなりません。早い時期に、朝鮮半島の平和的統一が実現することを望みます。



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保育園問題について コラム(154) 

2016-03-11 00:00:00 | 政治見解



コラム(154):保育園問題について


ネット上の「保育園落ちた日本死ね」という書き込みが国会で取り上げられ波紋が広がっています。

民主党の山尾志桜里氏や、社民党の福島みずほ氏がそれぞれ取り上げ、国会前では、共産党の吉良佳子氏らが「保育園落ちたの私だ」と書かれたプラカードを掲げ政府批判をしていました。

このような状況に違和感を感じるのは私だけでしょうか。

国会では、政府に対する批判ではなく具体的な提案を含めた議論をしなければ意味がありません。こうした問題を政権批判のために利用するのであれば、本当の救済にはならないからです。また、ネット上の激しく罵る言葉での訴えが通るのであれば、圧力民主主義が助長され、それがまかり通ってしまいます。

政府を追及していた国会議員は、正義のつもりだったのかもしれませんが、その行為は、地道に保育園問題を研究している人たちの努力を水泡に帰すことになり兼ねません。


国会議員は子供たちのための議論を

保育園の待機問題は重要です。そのため民主党は保育士の給与を上げる法案を提出する方針です。また、おおさか維新は「保育・幼稚園の義務化」を提案しています。

実は、保育問題がうまく解決しない真因は、保育行政を管轄している厚労省と地方自治体、義務教育を管掌する文科省、財務省、総務省の財源・地方交付税制などの問題が錯綜している点にあります。

国会議員は、これらの諸問題を整理して、子供たちのために何をなさねばならないかということを与野党の立場を超えて議論していただきたいと思います。


保育園問題に新しい発想を

明日の日本を担う子どもたちを大切に育むためには、親や保育士・教師による教育以外に、年配者の知恵と経験を活用する方法があります。現役を退いた団塊世代を始め、世の中の役に立ちたいと思っている健康な年配者の中には、子供の教育に関心を持っている方が大勢います。

子供―親―教育関係者―年配者と幅広い世代で地域のコミュニティづくりにも貢献することができると思います。

年配者と子供が接する機会が増えることでさまざまな効果が期待できます。最近、老人ホームと保育園が一体化した施設が紹介されていますが、そこでは高齢者は若返り、子供は高齢者に対して礼儀正しくなり、人格の向上に寄与しているとの報告があります。

年配者に子供の教育分野での応援をしていただくことは、一億総活躍社会の一態様として考えてみる価値はありそうです。新たな地域コミュニティを形成し、社会的関係性を深めるきっかけになると思います。

保育問題はアイデアの出し方次第で解決する問題に思えてなりません。




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