グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

ガソリンスタンド廃業と、農山村の危機。

2013-01-21 19:06:50 | Weblog
ガソリンスタンド廃業と、農山村の危機。

日本全体におけるガソリンを中心とした「燃料油」の需要の減少、そ
して改正消防法に基づく規制強化のために、全国でガソリンスタンド
が減少しています〔全国の給油所数は94年度末の約6万カ所から
11年度末には約3万8000カ所に減少
〕。

そのスタンド減少の影響をとくに受けているのが 中山間地域です。

実際のところ、近所にあったガソリンスタンドが廃業したために、

  マイカーの給油に支障がでている
  農作業用の燃料の補給が不便になってしまった

などといった話しは、これまでにも聞いていました。けれど こういっ
た傾向が昨年からは加速しはじめ〔近所だけではなく〕地域内のガソリ
ンスタンドも廃業するために

  バイクしかもっていないので、燃料が買えない
  暖房用の灯油を買うのも、ひと苦労だ

などといった、生活そのものを見直さざるを得ないような深刻な話しさ
えも、耳にするようになったのです。

そして、ご存知の方も多いように、日本の農業における中山間地は、

  耕地面積の43%     農業産出額の39%  
  総農家数の43%     農業集落数の52%

を占めているという現状があるのです。

だから思うんですよね、 ガソリンスタンドの廃業問題っていうのは、
つまりは、 日本の農山村の危機をよぶもの なのだと。


 のののの 非常事態 給油.jpg


ちなみに農業県の例として、宮崎県内のスタンド減少の現状ですが、

 1980 2010 2011 2012 ・ 年
  919  586  569  540 ・ 箇所

ということで、実際に約4割も減少〔山間部地帯が多い〕していること
になっております。改正消防法については こちら 。


◎ 一部の農業書によっては批判の対象となることの多いJAでは
  ありますが・・・こういった〔ガソリン過疎などの〕現実の危機
  に直面したときには、頼りになる存在だとおもうんですよね、生
  産現場にいる身としては。実際問題としてJAのガソリンスタン
  ドの存在に、助けられている方も多いことだろうと思いますよ。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




大型機械を使った農業は、山国・日本に向いているのだろうか。

2013-01-21 15:00:50 | Weblog
大型機械を使った農業は、山国・日本に向いているのだろうか。

次回関連で、2010年の記事の再掲載です。

 ↓

ずらっと並んだ大型コンバインが見渡す限りの黄金色に染まった小麦、
あるいは見渡す限りの熟れた大豆を収穫する風景
を、テレビなどでご
覧になったことはありませんか。農業問題を取り扱った番組で流され
ることの多いお馴染みの光景ともいえます。

この映像イメージは、主として米国の平原地帯での農業の姿です。い
わゆる大平原での、大型機械を使った単一作物を栽培する農業におけ
る収穫風景ですね。
そしてこの画面で想像されるこういった農業のイメージが、いまや多
くの日本人の頭の中で想像される理想の農業にあたるのでは
ないでし
ょうか。

しかし実際のところは、こういった農業を、そのまま日本にあては
めるわけにはまいりません。なんといっても地形の問題があるからです。

日本は、その国土に占める平野の面積といえばわずかに約25%、残
りの70%近くが山間部という地形
です。そう、日本は島国であると
同時に、なんといっても山国
であるために農地面積が少ないとい特徴
があるのです。ただでさえ少ない平野では、人口増加や都市化にとも
なう開発が行われ、結果として、日本の国土のうちの農地面積は国土
面積38万平方キロメートルのうちのわずか13・5%にしかなりません。
米国の39・4%やオーストラリアの59・3%とは、比べるべくもなさそ
うです。

では広大すぎる米国やオーストラリアではなく、山国であるスイスや、
スイスほどではないにしても山がありそうなドイツやフランスを含む
EUと比較
ではどうでしょう。

EU全体の農地面積の割合は、日本と同じく30%程度ではないかと
思ってしまいそうになりますが、じつはEU全体の国土面積に占める
耕地の割合は65・5%
もあります。
では同じ島国である英国はどうでしょう。しかしです。英国にいたっ
ては、国土面積に占める耕地の割合は69・6%もある。こちらも日本
よりもはるかに広いのです。
具体的に耕地面積を比較してみると、ドイツは日本の3・6倍の17
01万ヘクタール、フランスは6・3倍の2943万ヘクタール、前
述の島国にであるはずのイギリスでは、3・6倍の1696万へクタ
ールにもなります。

・・・・。

ここまで各国と比較して日本の農業のおかれている地形の特殊事情を
ご説明しました。
そのうえで思うのですが・・・このような地形の日本では、大型機械
農業を柱とした〔一般的に強い農業だと考えられている〕農業政策を推
し進めるのは現実的に無理がある
・・・と、そう思われてならないの
です。不定期に つづく。


◎ 山国であるからこそ、日本にはいろいろな形の農業がいると
  おもうんですよ。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染