グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

問題のある土地に、新しい土を搬入するという技術。がある。

2011-09-13 07:12:15 | Weblog
問題のある土地に、新しい土を搬入するという技術。がある。み

除染作業について〔たとえば こんな記事 〕

 ● 大量に剥ぎ取る土が出るが、その保管先がみつかりにくい
 ● 使用された水の流れ着いた先で線量が数倍に高まる可能性がある

という2つの問題が報道されています。いわゆる除染作業が結果的に放
射性物質を周囲に広げるのではないかという点が懸念されているわけで
すね。・・・じつに、難しい問題だと思います。
そんなときに、おもいあたったのが、『客土』という農業の土壌改良法で
す。『出来の悪くなった土地に、新しい土を搬入する』という作業・・。
問題のある土地に新しい土を搬入することで、問題を“薄める”という
行為なのです。
問題が解決するわけではありませんが、〔汚染の程度の軽い土地ではと
くに
〕とりあえずの現実的な対応策として使用できるケースもあるので
はないでしょうか。
と、いうわけで以前にご紹介した農業技術である「客土」の回の再掲載
です。よろしかったら。“剥ぎ取る”よりも、よほど簡単なんですよね。
  ↓

『出来の悪くなった土地に、新しい土を搬入するという農業技術』

新しい土地の圃場では作物がよくできる」・・・これは良い営農成績
をあげておられる農家さんに共通の認識です。

土地の土壌の分析をしてみても、それははっきりと確認することが可能
あり、そのような土地でよく見受けられる特徴は

  全体的に土の養分が不足傾向にある 
  土の構成成分であるミネラルのバランスがとれている

ということになります。

そうなんです・・・あるミネラルが極端に不足したとした場合、対策と
してその不足したミネラルを補足していけばよいわけですから、 まあ
わかりやすい話ですよね〔ヒトで考えれば、痩せている方では とりあ
えず食べてもらえばよいわけですから
〕。

問題は、長年の耕作による影響


  全体的な土の養分が過剰傾向にある 
  養分のいくつかが過剰にあり、ミネラルのバランスがとれない

ときです。

たとえば、植物の生育に良いからといって、あるミネラルばかりを過剰
に、何回も・何年にもわたって施用すると、ミネラル間のバランスが崩
れ、それぞれのミネラルの間で反発がはじまる
ことがあるんです〔拮抗
作用
とよばれますよ
〕。
そうなんです、肥満と、それに伴う減量となると、これはとにかく大変
なんです〔これは人の場合でも同じですよね〕。

そして、対処法です。まずは

  過剰になりすぎた特定のミネラルをやらない

という方法があります。ただし、この方法では、作物を作りながらとな
りますので、これに伴う技術もむずかしいし、時間もかかることになる。

そこで、もっともてっとりばやい方法として、昔から行われているのが、

山土などの、痩せてはいますが ミネラルに富んだを土を、問題の出た
土地に搬入する
という方法があります〔土を土壌改良剤として利用する
わけですね〕。実際の農業の現場では、ハウス10アール当たりに数十
トンの山土を搬入したなんて話は、よくある
んですよ。


▼ こういった、「田畑に新しい土を導入する」行為。これは古来からある
  技術で、“客土/きゃくど”
とよばれてきました。土を お客さま扱いして、
  大事にしてきた というわけですね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染





除染作業で取り除く土って、ほんとうに大量になります。

2011-09-12 18:04:04 | Weblog
除染作業で取り除く土って、ほんとうに大量になります。 すみ

8月29日分の再掲載です。

 ↓

『放射性物質:取り除くには…地道に土の表面はぐ』という ニュースを
みました。 こちら 。

このニュースを聞いて最初に頭に浮かんだのが、大量にでる土のイメージ
でした。

そうなんです、作物栽培指導という仕事がら一般的な農業における田畑の
土の入れ替えなどに立ち会うことも多いのですが・・・そのときに実感する
のが“土というものは、とにかく大量にでる”ということなんです。
 
たとえば、

深さを 1センチ と すると

● 1メートル × 1メートル の面積の土地の、土の量は 10キロ
● 1坪当たりの土の量は、33キロ

になります。

深さを 10センチ にすれば

● 1メートル × 1メートル の面積の土地の、土の量は 100キロ
● 1坪当たりの、土の量は 330キロ

に なります。

同じように、深さを15センチ にすれば

● 1メートル × 1メートル の面積の土地の、土の量は 150キロ
● 1坪当たりの、土の量は 495キロ

と、なります。

試しに、あなたのお宅の庭の面積や、家屋の坪数をかけてみてください。
土というものは、とにかく大量にでる”ということがわかります。

そのような現実の土の量を推測することで、確実にいえること。それは、

 まず 人力だけでは、とても無理だ

ということ。“土の入れ替え”には、当然のことながら〔ユンボや大型ダン
プといった〕重機がかかせない大掛かりな作業
になるということ。

そしてもうひとつ、

 とても時間がかかるだろう

ということです。


▼ 〔この土の量を考えれば〕放射能汚染の・放射線被曝の問題は、
  5年・10年、さらにその先へと続く、文字通り「長期戦」を覚悟して
  取り組むべき課題となりそうですね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染


◎ 『放射性物質:取り除くには…地道に土の表面はぐ』

たまった放射性物質を取り除く除染について、専門家は「短時間で完了す
る技術や機械は開発されていない」と指摘する。土壌表面をはぎ取ったり、
草を刈り取ったり、水でこすり落とすといった地道な作業を繰り返し、徐
々に放射線量を低減させるのが現状だ。

政府の基本方針では、年間20ミリシーベルト以下の地域では道路や屋根、
公園の遊具などは、水で洗い流す方法で除染可能だとしている。しかし、
土壌や川に汚染水が染み込めば放射性物質を周囲に広げる。チェルノブイ
リ原発事故(86年)では、建物に付着した放射性物質を水で洗った際、
洗浄水の流れ着いた先で線量が数倍に高まった。

放射性廃棄物の処分場の確保も課題だ。福島県伊達市が行った実証実験で
は住宅3軒の周囲の土を取り除いただけで35トンの汚染土が出た。セシ
ウム137の半減期は30年。長期間の徹底管理が求められる。

一方、20ミリシーベルトを上回る地域は国が直接除染するとした。東京
電力福島第1原発から3キロの大熊町小入野では、年間の累積線量が50
8・1ミリシーベルトと推計されている。除染活動を支援する日本原子力
研究開発機構の担当者は「作業員の確保すら難しい」と嘆く。政府が掲げ
た「2年で半減」の目標を達成しても帰宅の目安とされる20ミリシーベ
ルトにほど遠い。【久野華代、西川拓】

毎日新聞 2011年8月26日 20時57分(最終更新 8月26日 23時18分)




続続・本当に強いの?日本農業。労働問題編 3。

2011-09-04 14:41:50 | Weblog
続続・本当に強いの?日本農業。労働問題編 3。。 すみ

水害多発の折に恐縮ではありますが、日曜日恒例となりました、今週最も
アクセスの多かった回となります。前の回は こちら 。よろしかったら。

  ↓

『続続・本当に強いの?日本農業。労働問題編3』

もちろん日本の“強い”農業を展開する側、つまり外国人研修生を雇用す
る側にも言い分はあります。 代表的な意見は、つぎのようなもの。

最低賃金ぎりぎりの給与、納期間近の残業や休日出勤。実習生と同じ条
 件で求人を出しても応募する日本人はほとんどいない。

日本の法にのっとって、実習生を雇い、規模を広げてきた。実習生の受
 入れを辞めるという理由はない。1人でも増やして元の規模に戻したい


たしかに、そのとおり。こういった意見は法的にはなんら問題はないの
です。 日本の農業の現状では日本人を雇えないは こちら 。

そこでですが・・・
では、現在は良いとしても、将来的に法的に問題がでてきた場合はどうで
しょう
。じつは 国際的には、日本の外国人研修生制度についての、この
ような国際世論があるのです。たとえばこれは・・・米国務省による批判です。

米国務省は27日、世界各国の人身売買の実態をまとめた年次報告書を
 発表、 この中で日本について、外国人研修生制度に人身売買に近い実
 態が見られるなどとし、7年連続で「人身売買根絶の最低基準を満たさ
 ない国」(4段階中の上から2番目)に分類した。
 報告書は、中国や東南アジアなどの出身者が日本企業で技術を身につけ
 る「外国人研修・技能実習制度」について、賃金不払いや長時間労働、
 旅券を預かって移動を制限するなどの問題点があると指摘。暴力団組織
 が性風俗産業で外国人女性を働かせる例も取り上げ、日本政府による取
 り組みが不足していると指摘した。


というもの。これは6月28日付けの新聞各紙で伝えられた米国発のニュ
ースとなります。

外圧に弱い国、日本であるのは誰しもご存知のとおり。このような外国に
よる、外国人研修生制度そのものに対する非難が年々強まっていくであろ
う中で、この制度は未来永劫に渡って継続されていく保証はあるものなの
でしょうか。
“強い”農業を展開する側が、この制度をこれまで通りに活用してういっ
たところ、ある日突然に制度の存続が危ぶまれる事態が発生するなどとい
ったことは、ありませんでしょうか。

心配になるのは、その点なのです。

さらに、もうひとつ外国人研修生制度を見直して欲しいと強く思う理由
があります。それは農業という産業に携っている一人としての、過去の記
憶があるからです。 こちら や こちら のような事件は、研修生にも、
そして雇用者にとっても、今後おこってほしくない“不幸”そのものだか
らです。

こういった悲劇が繰り返すのを防ぐためにも、どうにか方法はないものな
のかと思うのです〔国内の新規就農希望者を活用するわけにはいかないも
のなのでしょうか
〕。


▼ 赤字をだしてでも、というのは言いすぎですが、
  多少無理してでも日本人の就農希望者を雇っている法人を評価してあ
  げたい
なとおもうんです。そういった法人が、真に“すぐれた農業経営”
  といえるのではないでしょうか。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染