花粉症に思う、山林の所有者責任。
好転してきた木材価格と山の問題の資料として、好転する前の2005年
11月当時のブログ記事の採録です。内容は当時のままですが、よろしか
ったらご参考に。
↓
『森林は私たちの生活に欠かすことのできない大切な財産です』といったよ
うな文言をよく聞かせられますか、この森林に持ち主がいるのはご存知です
か。こう聞くと、山は国民一人一人のもの、つまり国の財産である国有林だ
けだと思いがちですけれど、実際はちがいます。
このあたりが『海』や『川』といったものとは ちがっているのです。
例えば、海。「ここの海はうちの海だ」とか、「あそこはこの地区の漁業協
同組合の海」・・なんて話は聞いたこともありませんし、またありえない話
です。ところが山、山林には所有権があるのです〔個人的に考えると、海
よりも、山のほうが、より国民の生活に関係しているはずなのに〕。
現実には
我が国の森林のうち約3割を占めているのが国有林、残りの7割は民有林
ということになります。もちろん、ここでいう個人のなかには、国以外の都
道府県・市町村等が所有する森林も含まれてはいますが、おおまかにいえば
民有林のうちの約8割が 林家や会社・社寺・団体等の、いわゆる個人の所
有ということになっております。
ちょっと乱暴ないい方かもしれませんが、この説明を簡単にいえば
つまり日本の山のうち過半数以上が団体や個人の持ち物
ということになるわけです。
前置きが長くなりましたが、この個人の持ち物である山の荒廃が、いま問題
になっているのです。
個人所有林の荒廃を具体的にいうと、
○ 天然の広葉樹林の伐採
○ 密植されたスギ・ヒノキの管理〔枝打ち・間伐〕不足
○ スギ・ヒノキ伐採後の未植林
○ 台風後の風倒木の未処理
○ 山林の境界が不明確
○ 不在地主の増加
などが挙げられているということですね。
たとえば2000年の資料でみると、3ヘクタール以上の森林経営者でさえ、
作業実施状況間伐を実施したと回答しているのは、わずか17.7%!にし
かならないということが報告されています。
もちろん、残りの8割の山では、間伐しなくてはならないにもかかわらず、
実際の間伐作業はおこなわれていないということになります〔当然枝打ち作
業は、もっと実施されていないことになります〕。
さらに樹木伐採後3年以上も造林が行われずに放置されている民有林は、
2003年3月末で2万5000ヘクタール。その面積は実際に伐採される
山林面積の約4分の1にもなり、4年前の調査と比較して12%も増えてい
ることが明らかになっています。
なぜにこうも管理がされていないのか・管理しないのかと思いますよね。
そういった点を所有者に問い詰めると、個人所有林の管理不足の原因や理由
として、「木材価格の低迷」 のひとことで終わらせられることがおおいの
です。つまり「手入れの経費もでない」・・。さらに「山を売却しようにも
買い手がいない」・・という答えがつづきます。
「そんなこといっても、しょうがないじゃないか」と、まるで えなりかずき
くんのセリフ状態。
ここ数年来、花粉症の患者の増加が毎年報告され、さらには日本各地で頻発
する大雨による土砂崩れや台風による洪水、河川やダム湖への風倒木の流れ
込み被害。
これらの事象はけして偶然などではなく、放置された民有林による影響が
かなりの割合を占めてきているのではないかと、花粉症の方をみるたびに、
そして山の管理の作業実施状況の資料を見るたびに思います。
そして思うのです。。山林の管理は、災害の防止機能や水源かん養機能と
いった国民の生活に密接に関連している重大事項なのですから、ことここ
にいたっては『山の所有者に対して、山の管理に関するなんらかの法規制』
や『持ち山にたいする所有者の管理責任』 を 考えべき時期にきている
のではないのか、と。
たとえば 車です。
自動車を運転するには運転免許を持ち定期整備や始業点検をすることが義
務付けられています。それは自動車事故を起こすと、自分が困るからという
よりも、他人に損害を与える危険があるからです。同じように自分の所有す
る山林が、自分の管理不足により他者の生命や他者〔社会〕の所有する財
産に対して害を与える危険があると予想される、または明らかに害を与えた
と判断される場合は、法による罰則があってしかるべきだと思うのです。
このまま個人所有林の荒廃がすすみ、その荒廃に対する所有者責任が問わ
れない状態が続いていくものとすれば、日本における風水害や土砂災害は、
年とともに拡大し続けていくに違いありません。なにせ国土面積の7割以
上が『山』という、日本はりっぱな山地国 なのですから。
木材価格の低迷という環境下でも、きちんと山林管理を実施している
山林所有者もいらっしゃいます。この方たちの努力に報いるためにも、
「管理不足に対する罰則制」は必要だと思います。それが公平という
ものではないでしょうか。
そのような現状のか、一部の都道府県では、「水源の森林づくりとし
て私有林への公的管理・支援」が実際におこなわれ、さらに「森林環
境税の新設」などといった新税論まで唱えられる始末。この『山林所
有者へ優遇体制』って、いったいなぜ?
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
好転してきた木材価格と山の問題の資料として、好転する前の2005年
11月当時のブログ記事の採録です。内容は当時のままですが、よろしか
ったらご参考に。
↓
『森林は私たちの生活に欠かすことのできない大切な財産です』といったよ
うな文言をよく聞かせられますか、この森林に持ち主がいるのはご存知です
か。こう聞くと、山は国民一人一人のもの、つまり国の財産である国有林だ
けだと思いがちですけれど、実際はちがいます。
このあたりが『海』や『川』といったものとは ちがっているのです。
例えば、海。「ここの海はうちの海だ」とか、「あそこはこの地区の漁業協
同組合の海」・・なんて話は聞いたこともありませんし、またありえない話
です。ところが山、山林には所有権があるのです〔個人的に考えると、海
よりも、山のほうが、より国民の生活に関係しているはずなのに〕。
現実には
我が国の森林のうち約3割を占めているのが国有林、残りの7割は民有林
ということになります。もちろん、ここでいう個人のなかには、国以外の都
道府県・市町村等が所有する森林も含まれてはいますが、おおまかにいえば
民有林のうちの約8割が 林家や会社・社寺・団体等の、いわゆる個人の所
有ということになっております。
ちょっと乱暴ないい方かもしれませんが、この説明を簡単にいえば
つまり日本の山のうち過半数以上が団体や個人の持ち物
ということになるわけです。
前置きが長くなりましたが、この個人の持ち物である山の荒廃が、いま問題
になっているのです。
個人所有林の荒廃を具体的にいうと、
○ 天然の広葉樹林の伐採
○ 密植されたスギ・ヒノキの管理〔枝打ち・間伐〕不足
○ スギ・ヒノキ伐採後の未植林
○ 台風後の風倒木の未処理
○ 山林の境界が不明確
○ 不在地主の増加
などが挙げられているということですね。
たとえば2000年の資料でみると、3ヘクタール以上の森林経営者でさえ、
作業実施状況間伐を実施したと回答しているのは、わずか17.7%!にし
かならないということが報告されています。
もちろん、残りの8割の山では、間伐しなくてはならないにもかかわらず、
実際の間伐作業はおこなわれていないということになります〔当然枝打ち作
業は、もっと実施されていないことになります〕。
さらに樹木伐採後3年以上も造林が行われずに放置されている民有林は、
2003年3月末で2万5000ヘクタール。その面積は実際に伐採される
山林面積の約4分の1にもなり、4年前の調査と比較して12%も増えてい
ることが明らかになっています。
なぜにこうも管理がされていないのか・管理しないのかと思いますよね。
そういった点を所有者に問い詰めると、個人所有林の管理不足の原因や理由
として、「木材価格の低迷」 のひとことで終わらせられることがおおいの
です。つまり「手入れの経費もでない」・・。さらに「山を売却しようにも
買い手がいない」・・という答えがつづきます。
「そんなこといっても、しょうがないじゃないか」と、まるで えなりかずき
くんのセリフ状態。
ここ数年来、花粉症の患者の増加が毎年報告され、さらには日本各地で頻発
する大雨による土砂崩れや台風による洪水、河川やダム湖への風倒木の流れ
込み被害。
これらの事象はけして偶然などではなく、放置された民有林による影響が
かなりの割合を占めてきているのではないかと、花粉症の方をみるたびに、
そして山の管理の作業実施状況の資料を見るたびに思います。
そして思うのです。。山林の管理は、災害の防止機能や水源かん養機能と
いった国民の生活に密接に関連している重大事項なのですから、ことここ
にいたっては『山の所有者に対して、山の管理に関するなんらかの法規制』
や『持ち山にたいする所有者の管理責任』 を 考えべき時期にきている
のではないのか、と。
たとえば 車です。
自動車を運転するには運転免許を持ち定期整備や始業点検をすることが義
務付けられています。それは自動車事故を起こすと、自分が困るからという
よりも、他人に損害を与える危険があるからです。同じように自分の所有す
る山林が、自分の管理不足により他者の生命や他者〔社会〕の所有する財
産に対して害を与える危険があると予想される、または明らかに害を与えた
と判断される場合は、法による罰則があってしかるべきだと思うのです。
このまま個人所有林の荒廃がすすみ、その荒廃に対する所有者責任が問わ
れない状態が続いていくものとすれば、日本における風水害や土砂災害は、
年とともに拡大し続けていくに違いありません。なにせ国土面積の7割以
上が『山』という、日本はりっぱな山地国 なのですから。
木材価格の低迷という環境下でも、きちんと山林管理を実施している
山林所有者もいらっしゃいます。この方たちの努力に報いるためにも、
「管理不足に対する罰則制」は必要だと思います。それが公平という
ものではないでしょうか。
そのような現状のか、一部の都道府県では、「水源の森林づくりとし
て私有林への公的管理・支援」が実際におこなわれ、さらに「森林環
境税の新設」などといった新税論まで唱えられる始末。この『山林所
有者へ優遇体制』って、いったいなぜ?
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」