グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

有機資材は、こう使おう。

2016-08-18 14:03:09 | Weblog
有機資材は、こう使おう。

有機について考えるシリーズ・・・「有機物の“分解”について考えて
みる。
」で ご説明した 便利な数値/炭素率 の 続きです。

よい機会ですから、農業用の肥料や改良剤として使われる資材の炭素
率〔C/N比〕の代表的なものご紹介しておきましょう。
農業で使用される主な有機資材の炭素率はつぎのようになります。

 ■ 炭素率の高いもの〔腐りにくいもの〕

 小麦ワラ   大麦ワラ   モミガラ   イナワラ   山野草 
 128.8   98.3   75.6   65.1   29.4

 ■ 炭素率の低い〔腐りやすいもの〕

 乾血   骨粉   魚粕   肉粕   菜種   米ヌカ
 3.5  4.4   4.7  5.5   7.7  13.2


といった具合です。

ひとくちに有機物ということで、ひとまとめにされることが多いいろ
いろな有機物にも、腐りにくいものと 腐りやすいものがあることが 
よくわかりますね。

さて、そこで農業です。

こういった“有機物”の、“腐りにくい”とか、“腐りやすい”といった性質
を上手に栽培に利用するにはどういった方法があるのでしょうか。

たとえば実際の現場では こういうふうに使っていきます。

炭素率の高いものは、その腐りにくい性質を利用して、土の物理性
(通気性・透水性など)の改良に使用
します。
たとえば、小麦ワラ・大麦ワラ・モミガラ・イナワラ・山野草などと
いった繊維質の多い有機物で作ったたい肥として利用する。

反対に、炭素率の低いものは、その腐りやすい〔発酵しやすい〕性質
を利用して、肥料効果を狙います
たとえば乾血・骨粉・魚粕・肉粕・菜種・米ヌカなどを 発酵させて
適量施すといった方法をとるわけです。

そして、ここで注意しなければならないことは、いずれの場合でも生
のまま施さない
という点。目的に応じて適量ほどこすことが大切です。

有機は必ず無機になっていくもの・・・その過程でのリスクがある
らです。そのリスクとは具体的に

 ■ 炭素率の高いものは、土中の酸素不足を引きおこしやすい
 ■ 炭素率の低いものは、病害虫の発生やガス害を引きおこしやすい


という性質があるからです。

昔から、「生の資材を田畑には使うな」とか、「有機資材は、充分に
発酵させてから田畑にいれろ
」と いわれてきた理由はここにありま
す〔有機の種類をごっちゃまぜにして生で大量に施すのは・・・環境
破壊に直結してしまいますから
〕。

ということで今回は、 

 有機原料は炭素率できちんと分類し、それぞれの性質にあった処理
 を施したうえで、[土の検査のもと]適量づつ適切に使用しよう


というおはなしでした。


◎ 田畑はゴミ捨て場じゃないんだから・・という話でもあります。
  適量なら薬、過ぎれば毒。それを見極めるのが農業の技術だ と
  いうおはなしでした。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染