グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

硝酸態窒素が残留すると・・・。牛のポックリ病を例にとって。

2015-01-14 17:44:27 | Weblog
硝酸態窒素が残留すると・・・。牛のポックリ病を例にとって。

前回にひきつづき、 草食動物の牛などが泡を吹いて倒れるポックリ病・・・
いわゆる硝酸態窒素中毒のお話です。

大量の硝酸態窒素が残留するといった環境問題が起こっている。人間を含む
 動物が硝酸態窒素を大量に摂取すると、体内で亜硝酸態窒素に還元され、こ
 れがメトヘモグロビンと結合してメトヘモグロビン血症などの酸素欠乏症を
 引き起こす可能性がある上、アミノ酸と結合して発ガン性物質のニトロソア
 ミンを生じる問題が指摘されている。


と、いう原理で起こるもの。

この症状を説明してある文は、正しいことだとおもわれます。しかし、問題は 
ここからです。こういった説明文につけくわえられている枕詞でありがちな

 硝酸態窒素を含む肥料が大量に施肥された結果

という、一文が問題なのです。

そう、もっと正確にいえば、現実にはこのポックリ病の原因が無制限に肥料と
して撒かれた、撒き過ぎられた未熟な家畜フン尿が原因である場合が多いとい
うのに[参照 こちら]、この肥料という部分を 

 化学肥料だけが問題だ

などと、ときめつけて書いている新聞や・なかには農業本があること。
これが問題なのです。

ためしに『農業 普及所 牛 硝酸態窒素中毒 ふん 量 』などで、検索さ
れるとよくわかりますよ。この寒い時期の飼料のはなしといえば、どこの普及
所・試験場でも(化学肥料の撒き過ぎという話ではなく)フンの撒きすぎには
注意 なんて話をたくさん書いておられます。

 ふん尿は、10アール当たり せめて10トンくらいで抑えておこう

なんて、未熟なフン尿をまき過ぎないように注意を喚起する話がいっぱいあり
ますよ。

現場にいるものとしては、こういった一部マスコミの決めつけは、正直いって
残念でなりません。もっといえばいえば、家畜フン尿にかぎらず生ゴミや米ヌ
カなどの有機物中の窒素も、分解すればなんだって硝酸態窒素 になるという
のに、じつに不可思議な話です。

ということで今回は、現場ではわかっていることであるのだが、なぜかマスコ
ミでは、いまだに誤解されている事象
についてのおはなしでした。

さて話を元に戻して、その牛をはじめとする草食動物のポックリ病の対策です。

それはですね、まずは飼料づくりに対するの施肥方法の改善という方法がある
のですが、この方法は

 蛇紋岩過リンサン石灰というマグネシウムとリンサン、そして微量要素の
 はいったミネラル肥料 を元肥に利用することや追肥として散布する


ことが、牛の生産農家さんに薦められ、実際に効果をあげています[とくにこ
の対処方法は、受胎率が低いと悩んでおられる牛農家さんにも好評
]。

で、もうすこし詳しい話をすると、この対策として使う 蛇紋岩過リンサン石
灰 というミネラルを主体とした肥料の区分が秀悦。 肥料の区別でいけば 
この肥料は化学肥料になる っていうのですから、世の中っていうのは実におも
しろいものだと思われませんか? 


◎  ミネラルについてのシリーズは こちらです。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜