名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実一つ
故郷の岸をはなれて
なれはそも波にいく月
もとの樹は 生いや茂れる
枝はなお かげをやなせる
われもまた なぎさを枕
ひとり身の うき寝の旅ぞ
実をとりて 胸にあつれば
新たなり 流離のうれい
海の日の 沈むを見れば
たぎり落つ 異郷の涙
思いやる八重の汐々
いずれの日にか国に帰らん
日本海沿岸を中心に大量の廃ポリタンクなどが漂着している問題で、環境省は10日までに、13県の25海岸で、この春から3億円の対策費を使って本格的な回収・処理を始めるそうだ。
環日本海環境協力センターによれば、国内の海辺の漂着物は年間約18万トン、処理費用の推計は年におよそ63億円になるという。
平成15年度(2003年)には40県においてのべ18,886回の清掃活動が実施され、157万人が参加している。(海と渚環境美化推進機構による)
漂着するゴミのうち、人工物ではプラスティック、ビニル類が多く、近年はペットボトルが圧倒的に多い。廃ポリタンクの漂着は秋田県や新潟県などの日本海側に多く、環境省によるとこの一月だけで1万3000個に達している。中には硫酸や塩酸、廃油などの内容物が残っているものもあって非常に危険だ。おそらく漂着するまでに数知れない生物を殺してきたことだろう。
海岸でクリーンアップキャンペーンを行っているJEAN/クリーンアップ全国事務局によると、2006年の海岸漂着ごみの個数調査において最も多かったのはタバコ由来のもの(吸殻やフィルター、パッケージなど)であり、海岸漂着ゴミの12.8%(陸起源の漂着ごみのみを総計した場合の割合としては27%)に上っている。次点は元の製品が不明な硬質プラスチック破片。
ゴミの発生源を国別に見ると、元より身元不明のものが多いのだが、記載された文字やバーコードなどから割り出したものの中では、韓国や中国からのものが圧倒的に多く、過半数を占めている。特に日本海側のゴミの大部分は朝鮮半島と中国・台湾のものである。(東京海洋大学・兼広春之教授「海洋ごみ問題の現状と今後の取り組みについて」より)
しかし太平洋全体で見れば日本が発生源となっているゴミも多数見受けられる。ハワイやミッドウエー島などで破れた魚網に海がめが絡みついて動けなくなったり、食べたゴミによって魚や海鳥が死んでいるそうだ。日本人もあながち他人のことばかり言ってはいられない。
1898年(明治31年)夏、東京帝国大学2年だった柳田國男が伊良湖岬の突端で海岸に漂着した椰子の実を見つけ、それを契機に日本民族の故郷は南洋諸島から黒潮に乗って流れ着いてきたのだと確信したという。冒頭の「椰子の実」は、彼がその話を親友だった島崎藤村にしたところ、藤村がわが身の上を椰子の実に重ねて詠んだものと言われている。
柳田國男や島崎藤村が今の海岸線を歩いたら、いったいどういう詩を詠むのだろうか。
*少し面白い漂着ゴミの写真を見つけました。地球上のモノはすべて循環して、やがては私たちの口にも入ってるってことですかね。
ADNOMA「冷凍食品風にされた海辺のゴミ」
でも、春になりましたね。福寿草は咲き、アサツキは葉を覗かせて、庭の草々はモリモリと盛り上がってきています。ひと朝ごとに少しずつ緑濃くなる野辺を見てると、もう春が来ちゃったんだなと認めざるをえません。
今年の冬は薪の使用量も例年の半分かもしれません。というわけで、薪はたくさんあるのですよ。ボンボン焚こうとはしてるのですが、使いきれない薪がまた次回の冬のためのストックとなっていきます。完璧に地球温暖化です。
空中を舞うゴミは大概山沿いに来て木の枝かなにかに絡まるので、わが家の周りにもたくさんゴミが見受けられる時でもあります。春はゴミとともにやってくるのですね。