昨日(18日)のNHKニュースウオッチで福島県の安達太良山の紅葉について報道していた。これから紅葉が見頃になるが、昨年の今頃は原発事故の風評被害で観光客がなんと7割減という厳しい状況だった。原発から70キロも離れているが、同じ福島ということで、県外の人々が放射能の影響を心配していた。地元の旅館の親父さんが「去年は、ひとっこひとりいなかった」と窮状を嘆いていた。以前ブログで日光観光の風評被害を取り上げたたことがあるが、福島の観光地ではなおさら深刻だったことは想像に難くない。
安達太良山は高村光太郎の智恵子抄で有名だ。光太郎の瑞々しくも哀愁に満ちた詩集もさることながら、晩年の智恵子が病室で描いた素朴な絵も印象的だ。精神に傷を負いながらも、澄み切っていた心の内が鮮やかな原色で色紙に映し出されている。
今年の安達太良山もまた、智恵子の絵のように天然色の紅葉色に包まれている。ニュースによれば、今年は観光客の出足が好調で以前の活気を取り戻しつつあるようだ。放射線量も毎時0.11マイクロシーベルトとなんら問題のない数字だ。紅葉を見ながら、ゆったり腰を落ち着けて食べる新米のおにぎりはさぞおいしいことだろう。