「大笑」 はがき倍版
昨日からのつづき。。
11日は、朝10時から夕方5時まで
丸八製茶場 の茶房実生では、お茶会があり。
生憎の小雨の降る中、朝からたくさんの方々が、棒茶とお菓子を頂くためにお越しになる。
私はあまりご縁がなかったこのお茶会、どうしてこんなにいらはるのか・・と
ちょっと不思議だったのだけど、その理由は、なんと言っても棒茶というお茶の美味しいこと。
私も何度か頂いたけど、こんなに美味しいお茶(ほうじ茶)は飲んだことがない。
お店の方も「2才の姪が、このお茶以外飲まなくなって困ってます」なんて笑顔で。
そして。
そのお茶会のあと、茶房の横にあるギャラリーにもたくさんの方がお立ち寄り下さり。
私はというと、お声がかかれば「笑」に始まり、思えばほとんど一日書いて喋って笑ってたような。
(↓)書いたカードには、藤澤さんの陶ボタンをちょこんと貼ってみたり。
お昼頃いらした、ご夫婦が熱心に書の実演を見たいとお声をかけて下さったので
こんなお話をさせて頂き・・。
活字では現せないものを、書では表現できると思うのです。
たとえば「笑」という文字。
わっはっはという大笑いは何色を連想しますか?
まずは声に出してわっはっはと、何度も笑ってみるんです。
そのあとで、大笑いをからだで感じながら書いて見るわけです。
そう言って書いたのが、最初の写真:赤い紙に書いた「笑」
そして、次はくすくす笑いをやってみてから、書いてみる。
ところで「笑」以外に何か一字書いてみましょうか? と伺うと、ご主人から
「今、自分を破りたいので『破』という文字をお願いします」と。
リクエストにお答えして数枚書いてから、いかがですか?書いてみませんか?
いえいえ、私は・・とおっしゃるのを、無理矢理下敷きと硯を渡すと、じゃあ・・と。
1枚、2枚、3枚・・と書かれる横から、もっと吐き出して! なぞと偉そうに。
興奮のあまり、だんだん文字の形がわからなくなってきたとおっしゃるも
最後に大きな紙に、そんなの気にせずババーンと「破って」下さい! のリクエストに
汗びっしょりになりながら書かれて。
「これで破れそうな気がします」と、書かれた「破?」と笑顔で記念撮影。
伺えばお二人とも学校の先生とか。
このワークショップ、早速使わせて頂きます!とうれしいお言葉も頂き
ありがとうございます。また機会があれば、お目にかかれたらと
そして、その後も書き書き書き。。。
もうお一組のお話を
書が好きだとおっしゃる87歳のお母様と、娘さんのお二人がいらして。
娘さんが「母はお手本通りの字しか書かないんですが、そろそろ自分の書を書いて欲しいと
思って今日ここへ来たんです。」と。
そのお母様、ほんとうに優しいお顔の可愛らしいお方で。
同じように「笑」の話をしながら、最低10回は、わっはっはと笑うんです、と言うと
一緒になってわっはっはと、両手を広げて笑って下さる。
それでもって私が「大笑」を書くと、顔を赤くして満面の笑顔を下さる。
じゃあ・・ちょっと1枚いかがですか? と紙をお渡しすると
お母様:「私は決まりきったものしか書けないから・・・」
沙於里:「ちょうど今の季節の「桜」っていう文字はどうですか?」
お母様:「桜・・ねぇ」
沙於里:「どんな桜がお好きですか?」
お母様:「やさしい桜」
沙於里:「ちょっと書いてみませんか?」
すると、書いてみようかしらと、おもむろにコートを脱がれ、腕まくりをされて。
わっはっはと、二人の笑いの掛け合いに、気がつくとたくさんの人が集まっていて
その時思わず会場には拍手が沸き。
やさしい「桜」を表現されました。
そして、じゃあ老木の桜を書いて下さいと申し上げると、
細いかすれた線で、強くもはかない桜の文字を書かれて。
そこでまた拍手が。
その時のお母様の、子供のような本当に嬉しそうな笑顔に、目頭が熱くなりました。
横にいらした小川さんが、あなた学校の先生と違いますか?とお声をかけると
やはり、学校の先生でいらしたそうで。
よし、やってみようか!というワクワクする思いを、私たちにからだで表現して下さり
その表情から、君にもできるよと励まして下さっているような気がしました。
ふとまわりを見ると、皆さんやさしいお顔になっていて
その出来事に・・今思い出してもまた涙が出てきちゃう。。
残念ながら、その後も書き書きしていたので、その作品やその笑顔を写真に収めることが
できなかったのですが、その場に居た皆さんと共有した素敵な時間、やさしい気持ちを
お伝えできたかなぁ・・と思っとります
今日は、興奮まだ冷めやらぬ・・・で長々と、おつきあい下さり謝々です
たぶん私をはじめ、「破」を書かれたご主人も、お母様も、興奮と集中の中にあって、
まわりは全然見えていなかったような
普段は静かな茶房も、あまりのにぎやかさに驚かれたのでは・・と、今になって苦笑いしとります。
ギャラリーの堀井さん・・皆々様・・お騒がせしてすみませんでした。
でもお蔭さまで、本当に楽しく思い出深いしあわせな時間となりました。
この場を借りまして・・心よりありがとうございました。
美味しいお茶は、豊かな心を運んでくれるのかも・・などと思いながら
家に帰ってから、早速買ってきた棒茶を入れてみましたが、あの時のあの味には・・
美味しいお茶の入れ方を教えて頂ければ幸いです。
そっか・・美味しいお茶を入れるには、豊かな心が必要ってことなんですね
丸八製茶場のお店の方々は、皆さんとても気持ちのいい方ばかりでしたもの。
「笑」十変化