心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

「笑」がくれたもの

2010-04-13 | 三人展 加賀での三人展 
                            「大笑」 はがき倍版

昨日からのつづき。。
11日は、朝10時から夕方5時まで 丸八製茶場 の茶房実生では、お茶会があり。

生憎の小雨の降る中、朝からたくさんの方々が、棒茶とお菓子を頂くためにお越しになる。
私はあまりご縁がなかったこのお茶会、どうしてこんなにいらはるのか・・と
ちょっと不思議だったのだけど、その理由は、なんと言っても棒茶というお茶の美味しいこと。

私も何度か頂いたけど、こんなに美味しいお茶(ほうじ茶)は飲んだことがない。
お店の方も「2才の姪が、このお茶以外飲まなくなって困ってます」なんて笑顔で。

そして。
そのお茶会のあと、茶房の横にあるギャラリーにもたくさんの方がお立ち寄り下さり。

私はというと、お声がかかれば「笑」に始まり、思えばほとんど一日書いて喋って笑ってたような。
(↓)書いたカードには、藤澤さんの陶ボタンをちょこんと貼ってみたり。



お昼頃いらした、ご夫婦が熱心に書の実演を見たいとお声をかけて下さったので
こんなお話をさせて頂き・・。

 活字では現せないものを、書では表現できると思うのです。
 たとえば「笑」という文字。 
 わっはっはという大笑いは何色を連想しますか? 
 まずは声に出してわっはっはと、何度も笑ってみるんです。
 そのあとで、大笑いをからだで感じながら書いて見るわけです。

そう言って書いたのが、最初の写真:赤い紙に書いた「笑」
そして、次はくすくす笑いをやってみてから、書いてみる。

ところで「笑」以外に何か一字書いてみましょうか? と伺うと、ご主人から
「今、自分を破りたいので『破』という文字をお願いします」と。

リクエストにお答えして数枚書いてから、いかがですか?書いてみませんか?

いえいえ、私は・・とおっしゃるのを、無理矢理下敷きと硯を渡すと、じゃあ・・と。
1枚、2枚、3枚・・と書かれる横から、もっと吐き出して! なぞと偉そうに。

興奮のあまり、だんだん文字の形がわからなくなってきたとおっしゃるも
最後に大きな紙に、そんなの気にせずババーンと「破って」下さい! のリクエストに
汗びっしょりになりながら書かれて。



「これで破れそうな気がします」と、書かれた「破?」と笑顔で記念撮影。

伺えばお二人とも学校の先生とか。
このワークショップ、早速使わせて頂きます!とうれしいお言葉も頂き 
ありがとうございます。また機会があれば、お目にかかれたらと 

そして、その後も書き書き書き。。。

もうお一組のお話を 
書が好きだとおっしゃる87歳のお母様と、娘さんのお二人がいらして。
娘さんが「母はお手本通りの字しか書かないんですが、そろそろ自分の書を書いて欲しいと
思って今日ここへ来たんです。」と。

そのお母様、ほんとうに優しいお顔の可愛らしいお方で。
同じように「笑」の話をしながら、最低10回は、わっはっはと笑うんです、と言うと
一緒になってわっはっはと、両手を広げて笑って下さる。
それでもって私が「大笑」を書くと、顔を赤くして満面の笑顔を下さる。

じゃあ・・ちょっと1枚いかがですか? と紙をお渡しすると

お母様:「私は決まりきったものしか書けないから・・・」
沙於里:「ちょうど今の季節の「桜」っていう文字はどうですか?」
お母様:「桜・・ねぇ」
沙於里:「どんな桜がお好きですか?」
お母様:「やさしい桜」
沙於里:「ちょっと書いてみませんか?」

すると、書いてみようかしらと、おもむろにコートを脱がれ、腕まくりをされて。
わっはっはと、二人の笑いの掛け合いに、気がつくとたくさんの人が集まっていて
その時思わず会場には拍手が沸き。

やさしい「桜」を表現されました。
そして、じゃあ老木の桜を書いて下さいと申し上げると、
細いかすれた線で、強くもはかない桜の文字を書かれて。

そこでまた拍手が。
その時のお母様の、子供のような本当に嬉しそうな笑顔に、目頭が熱くなりました。

横にいらした小川さんが、あなた学校の先生と違いますか?とお声をかけると
やはり、学校の先生でいらしたそうで。

よし、やってみようか!というワクワクする思いを、私たちにからだで表現して下さり
その表情から、君にもできるよと励まして下さっているような気がしました。

ふとまわりを見ると、皆さんやさしいお顔になっていて
その出来事に・・今思い出してもまた涙が出てきちゃう。。

残念ながら、その後も書き書きしていたので、その作品やその笑顔を写真に収めることが
できなかったのですが、その場に居た皆さんと共有した素敵な時間、やさしい気持ちを
お伝えできたかなぁ・・と思っとります 

今日は、興奮まだ冷めやらぬ・・・で長々と、おつきあい下さり謝々です 

たぶん私をはじめ、「破」を書かれたご主人も、お母様も、興奮と集中の中にあって、
まわりは全然見えていなかったような 
普段は静かな茶房も、あまりのにぎやかさに驚かれたのでは・・と、今になって苦笑いしとります。

ギャラリーの堀井さん・・皆々様・・お騒がせしてすみませんでした。
でもお蔭さまで、本当に楽しく思い出深いしあわせな時間となりました。
この場を借りまして・・心よりありがとうございました。

美味しいお茶は、豊かな心を運んでくれるのかも・・などと思いながら
家に帰ってから、早速買ってきた棒茶を入れてみましたが、あの時のあの味には・・
美味しいお茶の入れ方を教えて頂ければ幸いです。

そっか・・美味しいお茶を入れるには、豊かな心が必要ってことなんですね 
丸八製茶場のお店の方々は、皆さんとても気持ちのいい方ばかりでしたもの。



            「笑」十変化
コメント (6)
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