さてと。しばし書のお話におつきあいを~ということで、おとといの続き。
甲骨文、金文ときて、周の時代には現存最古の刻石文字の石鼓文(せっこぶん)。
これを「大篆」ともいう。
秦に入って、始皇帝は篆書(篆刻に使われる文字で小篆ともいわれる)により
天下統一の手段として文字を統一させたとされる。
その後、泰山、瓦當文への刻石、前漢になって書写の実用性から隷書が生まれた。
篆書の名残がある古隷といわれる石門頌の後に、*波磔のある一般的な隷書として
登場したのが、写真の曹全碑(そうぜんひ)。
*波磔(はたく):八の字のように左右の波磔でバランスを取るので八分隷ともいう。
私が臨書すると、どうも男っぽくなってしまうけれど、曹全碑は本来、女性的で
整った優雅な隷書と言われる。
けれどこの四文字を臨書する時に、私が感じたことは・・。
まず「歡」は、口二つが素っ頓狂な目でこちらを見ているなぁ。そして「欠」の
一画~三画目までが小さくて、それに対して(○印の)右払いが力強くて、
なんだか胸を張っているようだなぁ。
二文字目の「曹」は、直立不動のようでいて「日」の表情はどこかとぼけているなぁ。
「景」は品よくお行儀よく、「完」の最終筆の(○印の空間の)懐の広さは
凛としていて全体を引き締めている緊張感が、美しいなぁ。。
そんな風に一字一字と会話しながら、私なりに感じたままを、その文字の一番
いいところを褒めてあげながら臨書できたらなぁと思う。
いわゆる美しい形ではなくても、どこかに必ず魅力はある。
臨書は、自分のいい所、自分以外の人のいい所を見つけるヒントを教えてくれる。
子供の書道教室では、あまり臨書をしない所が多いようだけれど、
子供にも古典臨書の学習は、いろんな意味で勉強になると思うんだけど。。