心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

それで いいのだ

2008-11-29 | 八木重吉
                        (画用紙 13×18.5cm)




    鳩が飛ぶ 
   
  あき空を はとが とぶ
  それで よい
  それで いいのだ

          八木重吉の詩



八木重吉が貧しく、病の中、苦悩や絶望と向き合ったとき
どんな思いでこの詩を詠んだのか・・

何かにやり切れなさをぶつけるのか
それとも ふと空を見上げ 鳩がとぶ姿に 心を預けるのか

世の中はそのほとんどが、不条理でできているわけで・・
思い通りにならないこともあれこれある

そのたびに傷ついて 怒りを育てていくのは もったいない・・
だって 生きていくのは自分なんだから 

日々を苦しく生きるか 感謝して生きるか 
何を選択するかは 自分の心次第

何もかもを諦めて ま、しかたないか・・って思うってことじゃなくて


あき空を はとが とぶ
それで よい
それで いいのだ


そんな風に 清々しく おおらかに感じることのできる心でいたいなぁ

諦めるんじゃなく 受け止められる心を持っていたいなぁ  

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もくもくと~焦らず 恐れず 奢らずに

2008-08-03 | 八木重吉
                         八木重吉の詩 (半懐紙半分)



現代はほんに、情報過多過多過多・・。
でも、昔から流行とか、みんながいいっていうものにどうも興味が湧かない。
別にひねくれてるわけでもないと思うんだけど。

それよりも忘れられたもの、隅に追いやられたもの、捨てられたものに引き寄せられる。
これは性(さが)かな。。

人間もどこか斜めな人を見つけると、つんつんってやりたくなる。
きれいなものより、泥臭いものに心を奪われる。

みんなが走り去ったあとに、ぽつんと残る落し物に話しかけたくなる。
疑いながらも心を見透かしたような野良猫の瞳に、足が止まる。

まだ使えるのに捨てられた家具や、剪定された枝を見つけると持って帰りたくなる。
花屋さんで、見切品ってつけられた枯れかけの花をみると、絶対咲かせたくなる。

それを普通じゃないって言われても
それが私だからしょうがないんだね、これが・・ 

そんなわたしのことを、微笑みながら見ていてくれる人のそばで
もくもくと雲のようにふるえていたい。
焦らず 恐れず 奢らずに。

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夢中な姿って

2008-05-13 | 八木重吉


子供にしても動物にしても、もちろん大人であっても
夢中な姿ってなんだか、いとおしいです。

夢中っていうのは、頑張ってる  っていうより・・

たとえば大好きな食べ物を前にして、食べたいって集中している目とか
見たこともないような物に遭遇したときの、凝視して観察する姿とか
おっ、いま全身全霊で何かを感じてるな、おぬしって感じで 

その新鮮で生き生きとした表情を見つけたとき、私までなんだか
うれしくなって、気持ちがホワン  ってなる。

昨日久々に聴きたくなった Daryl Hall & John Oates (←クリックで視聴)
学生時代によく聴いていました。
今でもやっぱりいいなぁ・・ って抱きしめたい気分。

最近の曲はどれも同じに聞こえたり、歌手の名前も覚えられないのに、
やっぱり青春時代( )の曲は、時が経っても色褪せないものですね~。

きっとその頃は、何を見ても聴いても刺激的で、スポンジが水を吸うみたいに
何でも吸収していて、感性がキラキラ していたのかな。

ふう~~ 
・・・なんて、過去のことと思わず、いくつになっても夢中になれる
自由でまっすぐな感性、忘れずにいたいものですね~。


今日のは、八木重吉の詩から。


  この豚だって
  かわいいよ
  こんな春だもの
  いいけしきをすって
  むちゅうであるいてきたんだもの


なんともかわいい詩でしょ 
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きょうの「風」 Vol.2

2008-05-02 | 八木重吉
                      「風」 (半紙1/2)




風薫る五月 
風はいろんな顔を持つ。
世界を旅しながら、太陽や雲と響きあい、自分を表現し続ける。

大空をゆく風と、小さな草間にそよぐ風は、
知り合いなのだろうかとか、言語は同じなのかなぁとか
いやいや、きっと親戚なのかもとか・・・ふと思う。

若い頃は、ジェットコースターは両手離しで乗るのが快感だったけれど、
たぶん今は、躊躇しちゃいそう 

若い頃は、大空をゆく風を、どこまでも追いかけていたけれど
たぶん今は、体に感じる風を確かめているってとこかな。

久々に開いた八木重吉の詩集。
たくさん付箋がついているのに、まっさらなページにあった一篇の詩。


   さがしたってないんだ
   じぶんが
   ぐっと熱がたかまってゆくほかはない
   じぶんのからだをもやして
   あたりをあかるくするほかはない


「きょうの風」は、今の私に響いたこの詩をイメージして。。。
もっと広々とした風を書きたかったけど、今はこんな感じかな 


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梅の花のように生きられたら

2008-03-17 | 八木重吉
                          (はがき)




あっという間に梅が咲き、もうだいぶ散ってしまった。
でもあの香りは、鼻から脳に記憶してある。

昨日は久々に、八木重吉の詩集を読んでいた。
ちょうど見つけた「梅」という詩。


  ひとつの気持ちをもっていて
  暖かくなったので
  梅の花がさいた
  その気持ちがそのままよい香りにもなるのだろう



女子マラソンの高橋尚子選手は、残念ながら今度の
北京オリンピックには代表に選ばれなかった。
それでも、彼女は笑顔で言っていた。

「私はまだ走っていたい。そして走り続けることで、
 諦めなければ願いは叶うんだという思いを伝えたい」

キューちゃんの生き方は、あの梅と同じなのかもしれないって思った。

私もそんな風に生きられたらなぁ・・。





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痛みはいつかやさしさに

2008-02-21 | 八木重吉
           
           

             みにくいものは
             てぢかにみえる
             うつくしいものは
             はるかにみえる
                 
                   (by 八木重吉)
    

             みにくいものも
             てぢかでみる
             うつくしいものも
             てぢかにみえてくる

                   (by 沙於里)



何年か前の春、増築に伴い、職場の大きな櫻の木が何本か切り倒された。
その様子は、毎日目の前で見ていた。

まだ花を咲かせている櫻もあった。
だんだん、外を見ることができなくなった。
何十年もかけて、今そこに佇む無抵抗な櫻に、胸が痛んだ。

まだ花をつけたままの枝は、ちょうど開催中だった、書の展覧会にも飾った。
職人さんに頼んで、切り倒された櫻の幹をふたつ、分けて頂いた。

そのひとつは、今も我が家のベランダで、
季節の花を頭にのせて、そこにいる。

痛みはいつか、やさしい気持ちに変えられる。
ひっそり佇む櫻の幹を見ていて、ふとそう思った。




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理屈はいちばん低い真理

2008-02-20 | 八木重吉
                 2/15のブログのいろは歌の部分(拡大)
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病いある日

2008-02-17 | 八木重吉
                「どんな時を重ねて今ここに居るのでせう」(ハガキ)




  やまいある日
  人を憎まず
  ひとをうらやまず
  ひたすらに
  みずから癒えんことをねがう
  わがこころ
  ひとすじにもえ よねんなし
  このひごろ
  しらざりし かしこきおもい          (八木重吉の詩)




生きていれば、病いに出会ってしまうこともある。
癒えない病いに不安を重ねて、心までも痛めてしまう日もあるかもしれない。

何もできないけれど・・。
同じ思い出を、一緒に作り続けることくらいしかできないけれど。

いろんなことがあったね。
あの時は、うれしかったなぁ。
あそこに行った時は、楽しかったね。
たまには喧嘩もしたよね。
悲しい時、そばにいてくれてありがと。
一緒に笑ってくれて、ありがと。

あなたに出逢えてよかった。
あなたと共に過ごせて、しあわせだった。

安心して。
これからも、私はあなたとずっと一緒よ 


やまいある日。
そんな風に誰かを励まし、誰かに励まされたい。





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素朴な琴

2007-10-08 | 八木重吉

学生時代ユースホステルの会員だったので、あちこちの山を仲間と
ハイキングしたり、夏休みには子供キャンプ教室をしたりした。

その時知りあった超美人のNさんと、偶然同じ詩人の同じ詩が好き
というので意気投合し、ユースを離れてからもたまに会ったりしていた。

その詩人とは、八木重吉。
東京都町田市に生まれた彼は、熱心なキリスト教徒であり、
純粋で素朴で、切ない程美しい心を詩にしている。
2000以上の詩を遺して、29歳という若さで肺結核で他界。

そして私が初めて出会った彼の詩が、この「素朴な琴」だった。

日々安穏と暮らしていた私の心を立ち止まらせる衝撃的な詩だった。
澄み切って凛とした秋の空気、風と葉音しか聞こえない透明な静寂、
その美しさに耐えかねて鳴りいだす琴の音。
美しさに耐えかねた琴とは、重吉の心そのものだったのだろう。

今改めて読んでも、胸に染み入ってくる。
なんて美しい詩なんだろう・・と、しみじみとした感動を覚える。

また彼の詩を読みたくなった。書きたくなった。

八木重吉記念館は、町田市相原町にある。
私もまだ行ったことはないけれど、秋の美しさに耐えかねて・・
重吉の心を求めて出かけてみようかな。
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