BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

転 校

2009年07月07日 | 古本
 小学生時代の転校生のことを思い出した。
小説にでてくるパターンと似ている。
アタシのあの時代でもツギのあたった服でもなく、おしゃれで、
都会的。身体がどこか弱く学校は休みがち、長めの髪はストレートで、鼻すじの
通った美人だ。
 しかし何故か決って2年か3年で転校していなくなる。そして一度くらいは次
の学校でも友達ができ、慣れたと学級に手紙がくる。仲の良かった女子が、1人
2人返事をだす。でもそれは多分、長続きはしない。次の学校でも元の学校でも、それぞれに子供なりの新しい毎日があるからだ。
 その人の顔を今でもはっきりと覚えているが、ただし今も同じ顔であるハズも
なく、かりに今会ったとしても勿論分からない。

 ふとそんなことを思い出した南 木さんの小説、子供の頃はどれも切ない。
 ごく最近、初めて南木 佳士さんの3冊を続けて読んだ。十年も二十年も遅れて
いる読者だが、いつだっていい作家に出会えたヨロコビは大きいのだ。

 「ダイヤモンドダスト」 著者 南木 佳士 文藝春秋 定価980円+税
  ( 1989年3月5日 第2刷 ※4作品所収)
 「医学生」  著者 南木 佳士  文藝春秋  定価1300円+税
  ( 1993年7月5日 第4刷 )
 「医者という仕事」 著者 南木 佳士  朝日新聞社 定価1400円+税
  ( 1995年5月1日 第1刷発行 ※エッセイ集 )