BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

T 君

2009年07月13日 | 古本
 在ったのでつい手が伸びた。一度知ったら次々と読みたくなる
のは仕方ないこと。どうも大崎さんは短編のほうが断然面白い。
スジに無理がなく、余分なシーンを読まなくて済むのだ。
登場人物や主人公が札幌、旭川、小樽などの北海道出身なのもいい。でもいつか
北海道の小さな町、例えば東の清里町、北の豊富町、南の鹿部町、道央なら占冠
村あたりの出身はどうだろう?(笑)
 「別れの後の静かな午後」は6作品の短編をまとめたもの。著者 大崎 善生
 (中央公論新社 定価1300円+税 2004年10月25日 初版発行)
 「編集者T君の謎」は週刊誌の連載エッセィ一年分を単行化したもの。
 (講談社 定価1500円+税 2003年1月23日 第1刷発行)
 大崎さんの筆力にも負って、将棋の世界も面白い。副題が〔将棋業界のゆかい
な人びと〕で本当にゆかいだ。日本将棋連盟の機関紙「将棋世界」の編集者T君
だって、もっとなにかあるに違いないと思わせてくれる。T氏はその編集部へ入
るまで、生涯に読んだ本がただ一冊 太宰 治の「人間失格」だというのだから、
それはそれで信じてあげようと思うのだ。(笑)