BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

ばくろう

2009年07月01日 | 映画
 あの時代の映画というのは、こんな程度のものだったのか。
あんな映画でも、有り難くみんな拍手喝采したのだろうか。
アタシは背筋に寒いものを感じ、見ていることが恥ずかしかった。
 主演の三船敏郎は、ただ闇雲にサケとバクチとケンカが大好き。そこにいろん
な人物がからむのだが、これがなんともイイカゲンな出入りをする。スジもシーン
も季節のつながりも、テキトウこの上ない。なぜあんな「駅馬車」(監督ジョーン・フォード)のような馬の追っかけシーンがあるのか分からないし、なんの必
然も脈絡もないのだ。監督は、ただなんとなくこんなシーンがあればいいと考え
たものを撮影し、無理くりそれを編集した。現場のスタッフは一体どんな気持ち
で、この映画に付き合ったのだろうか。ったく「映画にも程がある」なのだ(笑)
 こんなバカ映画を快作というなら、黒澤 明という映画監督は、世紀の奇跡的
名監督(初期の作品においてだが)であることが分かる。

 6月12日、〔北の映像ミュージアム〕主催「馬喰一代」という上映会だ。
上映会後のトークタイムで、こんな映画でも面白いと云わざろう得ない団体の長
や、公職いっぱいの小檜山 博さんが、気の毒だった。

 「馬喰一代」 監督 木村 恵吾  主演 三船 敏郎  京 マチ子
  ( 原作 中山 正男  大映東京 1951年 113分 )