Kid in Town

2010-06-09 19:45:55 | 雑感
ケン・グリフィーJrが引退した。メジャー通算22年,40歳の初夏である。
通算本塁打630本はメジャー歴代5位,通算打点1836打点はメジャー歴代14位だ。ゴールドグラブも10年連続で受賞し,8試合連続本塁打はメジャー記録。そして全盛期のあまりに凄まじい人気である。インターネット投票がまだない94年のオールスターファン投票では空前絶後の6,079,688票を集めた。

グリフィーJrの全盛期はデビュー直後の89年から始まり,2000年までの90年代がすっぽり全盛期に当たる。97年には56本塁打&147打点の2冠王に加え,MVPも受賞した。ちなみに翌98年も56本塁打を放っている。しかし皮肉な事に,98年から徐々に影が薄くなリ始める。理由は簡単だ。98年は史上空前のホームラン・チェイスが正に全世界を熱狂させた。マグワイアとソーサの死闘である。マグワイアが70本ソーサが66本と2人が同時にマリスの61本と言うメジャー記録を更新した。このとき,グリフィーは56本で「期待はずれ」と言われてしまう事になる。ホームランを56本も打って,その年「期待はずれだった」,と言われた選手は後にも先にもグリフィーだけであろう。

97年の段階では,マグワイアが58本,グリフィーが56本で,翌年の記録更新に期待が沸いた。この時点では殆どの人がグリフィーによる記録更新を信じ,また期待していたのである。ソーサに至っては認識されていない状況だ。ところが,98年になるとマグワイアが驚異的なペースで開幕からホームランを放ち,伏兵ソーサが6月だけで20本塁打と言う異常な量産体制でレースに参戦して来た辺りから雲行きが怪しくなってくる。8月にはグリフィーの名が記録更新との関係で語られることはなくなる。

2000年に父のいるレッズへ移籍し,40本を放つがまたも「期待はずれ」と叩かれる。この頃はまだソーサの量産態勢が続いており,60本を放つソーサと比較されてしまったのである。この年を最後にグリフィーが40本を越えることはなくなる。精神的プレッシャーと怪我による急速な衰えが始まったのだ。まだ30歳である。衰え始めるにはあまりにも早すぎた。2000年までの12年間で420本以上放った本塁打も,「晩年」の10年では204本に激減する。その結果,755本を破るのはグリフィーに間違いない,と言われた男の記録は「わずか」630本で終わることになった。年間記録と通算本塁打記録は,同じ親子メジャーリーガーでもあるボンズが抜き去る事になった。

さて2010年。マーク・マグワイア,サミー・ソーサ,バリー・ボンズという全世界の注目を集めて,燦然と輝きを放ったスーパースター達と「日陰」に追いやられたグリフィーJrの現状はどうなっているのだろうか。

ご存知のとおり,最初の3人の記録には「*」マークがつく事になり,名誉の殿堂入りさえできていない。ボンズ,ソーサに至っては気がついたら所属チームがなく,引退に追いやられている。理由は簡単だ。ステロイドである。ステロイド疑惑にまみれた3人の評価は一変する。メジャーリーグの2000年前後はステロイド・エラと呼ばれている。異常なまでにホームランが量産された時代は綺麗にステロイド時代と符合する。ステロイドだけで誰もが年間50本のホームランを打てるわけではない。しかし,本来ならスタンドインしないはずの打球が,「何故か」この時代,スタンドインする事が増えたのは事実だ。ステロイド疑惑が吹きすさぶ中,たった一人,一片の疑惑すらかけられたことのない男がいる。それがグリフィーJrだ。グリフィーは「クリーン」と呼ばれることがある。薬による「汚染」がないからである。彼は,天賦の才とその努力のみで,630本の虹を架けたのである。正に「偉大な記録」である。

シアトルは,衰えきったスーパースターと積極的に契約を結んだ。グリフィーがメジャーデビューし,その黄金時代を駆け抜けたのがシアトルなのだ。引退する時はシアトルで,というのがファンの望みであり,球団の意向だったのである。実力主義でスーパースターでさえ,チームにとどまる事が難しいメジャーでこのような事が起きるのは非常に珍しい。しかも2009年が衰えきった成績であったにもかかわらず,チームは2010年シーズンの契約も喜んでした。本人がやりたいだけプレーしてもらう・・・。正にありえない事である。時代を沸かせたスラッガー4人の中で野球選手として幸せな人生を歩んだのは誰なのか,一目瞭然だ。一過性の輝きは消えたら忘れ去られる。しかもその輝きがまがい物であったとすれば賞賛は罵倒に変わる。決してずるをせず,クリーンにプレーをし続けたからこそ,名誉の凱旋もできたわけである。
こう考えると,以前にも書いたが,どの時点で人生の評価をするかで全然変わってきてしまうと言うことである。今だけをみて嘆いてはいけないということである。56本を放ちながら期待外れと言われ,注目度が下がってもグリフィーがふてくされ,努力しなくなったという話は伝わってきていない。

グリフィーの引退は,ホームラン狂想曲という一時代の終わりを完全に告げるものだ。今後このようなプレーヤーが出てくるかどうか分からない。恐らく今世紀中には出てこないだろうと思う。最後に一つ,全盛期のグリフィーに対し,NIKEはマイケル・ジョーダンと同等の扱いをしていた事だけ記しておきたいと思う。サンキュー,キッド!5年後には名誉の殿堂入りだね!(「キッド」はグリフィーの愛称)。
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目的が「重要」なのに審査が厳しい!?

2010-06-09 16:30:26 | 司法試験関連
違憲審査基準。

厳格な合理性の審査
 目的:重要な利益
 手段:より制限的ではない代替手段がないこと
 関連性:実質的関連性c

よく考えたら,規制目的が「重要」ならば,規制すべき(少なくとも方向性は規制権限発動許容)となりそうなものである(だって重要なんだから)。だとすれば,関連性も合憲になりやすいように,緩く判断,すなわち合理的な関連性の有無の審査でよくないですかね?とか考えてみた事ありませんか?・・?

上記記載の「審査基準だけ」見ていると変な感じがしないでもないです。でも,おかしくないわけでその理由はなんだろうかと。横浜ネットステーション校のオープンスクールではこの辺の話もしようかなと思います。


うっわーーい!本日生誕祭!一人お祭り男!
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