「大崩壊」の時は迫る

2010-06-01 13:22:47 | 法科大学院関連
「総務省」が,新司法試験の合格者数に大きなばらつきのある法科大学院について行政評価の実施方針を検討する有識者研究会の初会合を行ったそうな。メンバーは江川紹子に山田昌弘中大教授らで,座長は早稲田大学政治経済学術院教授谷藤悦史だそうな。

まず何で総務省がしゃしゃり出てきているのか分からん。法務省,文部科学省の2省だけでもクソ面倒くさいことになっているのに,余計混乱しそうだ。しかも座長が法律とまるで関係ない政治学教授っていうのも何だかなと。政治問題や社会問題に「矮小化」されそうで怖いです。山田教授の本自体は結構購入して読んでいますが,ほぼ間違いなく,法科大学院の問題が「格差社会の具体例」として槍玉に挙げられるのが予想されます。こうなったら正直ウンザリです。頼むから,大人になりたくない若者が法科大学院制度にパラサイトしているとか言わないで欲しいです。あと「高学歴ニート生産工場」とか(まぁ,確かにこれは大問題ですがこの人達が言い出すとニュアンスが違ってきそうなので)。

この「有識者研究会」のオフィシャルレポート等で,「格差社会」という言葉が1回でも出てきたら要注意だと思う。議論が絶対明後日の方向に向かっています。自分達の主張の正しさを立証する例として,法科大学院問題を検討されたら適いません。冷静な検討を期待したいです。

日本の法曹養成システムはただでさえエライ混乱状況です。省益とか縄張り争いとかくだらない事に振り回されてはならない。総務省に変な下心がないことを祈りたい。ただでさえ,旧内務省系→旧自治省系の系統にある総務省は,実は物凄い力を持っています。司法試験や法曹養成の問題であるにもかかわらず,肝心要の法務省が,総務省や文部科学省より力がないというのが痛すぎます。なによりも「司法権」の一翼を担う人材養成に関する問題です。文部科学省がはしゃいだ挙句問題テンコ盛りにしてくれただけでも大問題なのに,その上行政ど真ん中の総務省が政治系学者や政治ジャーナリスト中心にメンバーを組んで,出てくること自体に非常に違和感を感じます。

適性試験の出願者数が9000人を切りました。初の10000人割れです。来年の予備試験受験数が1万を割るとは思えません。下手すれば2万の大台も十分予想されます。適性試験=法科大学院組の人数が1万を切り,予備試験受験組みの数が仮に2万を超えたりする状況が数年続き,ロー組みが毎年5000人弱受験資格を取得し,予備試験組みが100人程度と言う状況になれば,当然「・・・なんか変じゃない」という意見が出てくるでしょう。そのときが法科大学院制度の最大の危機だと思います。

受験資格取得にそこまで差がつくほど,法科大学院の教育水準が高いのか。そこまで「優遇」されるほどのルートなのかが真面目に問われます。それに比べたら現状なんてまだ危機のレベルではないでしょう。まだ法科大学院ルートがメインだと言う認識があるからです。しかし,数年後にはそれこそ「単なる金持ち優遇策」と切って捨てられるでしょう。制度崩壊の危険性が現実のものとなるのは正にこの時です。そういう意味で残された時間は本当に少なくなってきたと言えます。しかし,解決策はあるのでしょうかね・・・。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする