来年度の研修の準備を進めています。
以前の記事「ちょっと!校長先生どうしちゃったの!?」に書いたように,ちょっと校長先生が一人で暴走気味なところがあります。
研修に熱を入れてくれているのは係としてうれしいことなんですが,この校長先生の熱が他の先生方との距離を空けてしまわないか,それが何より心配です。
研修は,何より本校の実態に合ったものにしたい。
すべての先生が足並みをそろえて参加するものにしたい。
それが係の願いだし,そうすることが係の役目だと思っています。
さて,研修は調子よくテーマが決定し,次は第二ステップ。
「研究指定を受ける」
ということを全体で提案します。
すでに研修部と管理職内では了承済みです。
ここには大きなハードルがあるはずです。
指定を受けるとなれば,研修は一気に熱を帯びてきます。
先生たちは
「研修のために忙しくなるのでは」
「私たちには関係のない研修になるのでは」
そんな心配をするものです。
だから,この提案を通すためにも,また入念な根回しがほしいところです。
私も,必要と思われる先生のところに出向こうかと思いました。
・・・が,
今回はやめておきました。
ぶっつけ本番でいくことにしました。
多くの先生にとっては,突拍子もない提案になるでしょうが,あえてそうしようと思いました。
そして,いざ提案
「来年での研修については,ぜひ研究指定を受けたいと,研修部として考えています。その理由としては…」
私の提案が終わったとき,正直重たい空気を感じました。
「ご意見はありませんか?」
一人の先生が手を挙げました。
「反対です。それは…」
その先生が口火を切り,いくらか意見が出されました。
反対を唱えるものがいくつか,賛成を唱えるものがいくつか,賛成反対ではないが,その内容を問うものがいくつか。
反対意見や質問に対しては,私も係としてできるだけの回答をしました。
そして,意見が止まり,また重たい空気が。
仕方ないので,司会が指名して意見を求めました。
すると,賛成とする人の方が多くなってきました。
しかし,その中にも反対の立場を強調する先生もいました。
最初に口火を切った先生も含めて。
反対を言われるたびに,管理職が困った顔をしているのがありありと私には分かりました。
これが,私のねらいとしたところでした。
研究指定に反対する人たちの声も,しっかりとみんなで受け止めるべきだと思ったのです。
こういった反対意見を聞かないまま研修に臨むのと,聞いてから臨むのとでは,大違いだと思ったのです。
反対意見を言う先生たちは,もっともなことを言っていました。
「もっと子どもと向き合う時間がほしい毎日です」
「大きなことをしなくても,私たちの足元をよく見て,私たちに合った小さな研究をすればいいのでは」
「指定を受ければ,結局一部の先生が忙しい目に合ってしまい,気の毒だ」
これが現場の生の声です。
この声を,今回は特に校長先生に聞いてほしいと思いました。
事前に根回しをして,こういう声を封じることもできたのかもしれませんが,あえて出してもらいました。
そうしたとしても,本校のメンバーからして,全体としては賛同をもらえるだろうということは予想できたからです。
重たい話し合いが終わり,反対を一番強く唱えていた先生のところに真っ先に行きました。
「先生,ご意見ありがとうございました。こんな形になってしまってごめんなさいね。」
「いいのよ,先生。分かってるから。私こそごめんなさいね。」
その先生は,とても落ち着いた様子でした。
そして,研修に対する思いをさらに語ってくれました。
私はうなずきながら聞きました。
こんな先生を大事にする研修を,来年度もしていかなくては,そう思うことでした。