今週で,2週間に及ぶ家庭訪問が終わりました。
ふぅ~ って感じです。
今回の家庭訪問で,これまでと違ったことが一つあります。
出していただくお菓子がぐんと減りました。
これは,先生の人気がぐんと落ちたことを表す… のではなくて(笑)
事前にあった学級PTAで次のように話しました。
「家庭訪問では,お茶菓子等のお心遣いは結構ですので」
これだけなら,多くの先生が言っています。
そのあとに,こうも付け加えました。
「…と言われても,出さないわけにはいかないわよねぇ って,今思ってらっしゃるでしょう。」
ここでお母さんたちは大きくうなずきながら笑っていました。
「それも,本当になくて結構です。ね,このクラスではそうしましょう。」
社交辞令ではないことが伝わったようで,今年は出されるお菓子がぐんと減りました。
準備していただく立場で,大変失礼なことを言っているのかもしれませんが,実際の話ですので,言わせていただきました。
さて,
今回の家庭訪問で,さっそく喜ばれたことがあります。
ある家庭での話。
「宿題の字が雑で…!」
と,なげいてらっしゃったお母さん。
その横で子どももうなだれるように座っていました。
お母さんも熱心な方で,いろんな声かけをしてみたり,字の訂正をしてあげたりしてくださっていたようです。
でも,なかなかお母さんの思いは届かず,一度は頭にきて,宿題の字をすべて消しゴムで消されたこともあったようです。
その話には,お母さんも子どもも笑いながら振り返ることができていましたが,お母さんにとっては,いよいよ先生頼みな感じです。
私は,この場合に関しては,「これからコツコツとやっていくことでしょうね。学校でも声かけをしていきます…」
なんてあいまいなことを言うのはよくないと思いました。
そういう返事がいい場面もあると思いますが,この親子には早急な何かが必要だろうと。
今回に関しては,子どもというよりお母さんを安心させてあげたい。
それには,この子が少しでも変わったという,その姿を見せることしかありません。
そこで,子どもにこう伝えました。
「よし,太郎くん。宿題の漢字10行のうち,何行ならがんばって丁寧に書けますか?」
「うーん…半分くらいかな…」
「じゃあ5行。最初の5行だけでいい。丁寧に書くことを,やってみましょうか。」
「…はい。」
「よく言った!」
その場にいた三人の中で小さな約束が生まれました。
次の日の宿題,その子は約束通り5行を丁寧に書けていました。
その宿題の片隅には,お母さんのコメントがあって「とてもいい字で書いています。ありがとうございます。」と。
もちろん私もその子をたくさんほめました。
「これからも5行。続けようね!」「はい。」
正直に言うと,これでこの子の字がもう大丈夫なんてことは言えません。
これから先にも,また雑になってしまう危険もあるのは,長年子どもと付き合っていれば誰でも分かります。
でも,とりあえず,今日は変わりました。
すぐに変わりました。
そして,今後ずっといい字を書けるようになるかもしれない,そのきっかけができました。
スモールステップがよかったのでしょうね。
一気に全部の字を丁寧に書けと言ってしまったら,この子はできなかったでしょう。
5行だからできたんです。
もちろん,次の目標は6行です。
まだずいぶん先になるかもしれませんけどね。
保護者の要望に,小さな形でもすぐにこたえる!
「小さな形」なら,すぐにこたえることができるものも多いです。
大事なことは確実なリアクションを見せること。
それも後回しにするのではなく,できるだけ早く。
そこに誠意を感じてくださるのではないかと思います。