授業の中では,先生が指示を出し,子どもたちが課題に取り組むという場面がたくさんあります。
そのときには,子どもが集中して取り組めること。
取り組んだ中身がよくできていること。
時間をかけすぎず,てきぱきとできること。
そういったことが望ましい姿となります。
そのために,先生は指示を出す言葉を工夫したり,子どもたちが取り組みやすい環境を整えたり,また課題自体を工夫したりと,いろいろと手立てを試みます。
今回は,望ましい姿の中の「集中して取り組める」「てきぱきとできる」といったところをテーマに考えてみたいと思います。
例えば国語の音読に取り組ませる場面。
先生「教科書10ページから14ページを1回音読します。」
子ども「開きました。」
先生「5ページあります。スラスラと読むことを心がけましょう。」
子どもたちが課題に取り組む準備ができました。(…と,実は,ここまでたどり着くのにも一苦労があったりもするものですが)
そして,先生は「はじめましょう」の最後の指示を出す前に,もう一つ指示が必要です。
子どもたちは,この課題が終わったらどうすればいいのかをはっきりと示しておくことです。
これをしないと,課題を終えた子たちが「どうすればいいんですかぁ」状態になり,クラスがごちゃごちゃしていくことになります。
そこで先生は言います。
「できた人は○○しなさい。」
さて,この○○に当てはまる言葉,どんなものがいいでしょうか。
ケースバイケースでいろいろとあり得るとは思いますが,基本として使えるものは
「できた人は立ちなさい」
この「立ちなさい」のよさとしては,
1.できた子とそうでない子がはっきりと区別できる
2.はっきりと区別できるから,まだできていない子も早く立ちたくて集中する
3.「立つ」という行為が,できた子にとってはちょっとした自信を表わすことになる
4.クラス全体の進行具合が見とれる
ということが挙げられます。
ですから,何か課題を取り組ませるときに「できた人は立ちなさい」という指示を多く出していると,子どもたちにも浸透していき,自然な形となっていくでしょう。
ちなみに,私もいろいろな指示を試しているのですが,それぞれにメリットもデメリットもありそうです。(課題にもよりますが)
「できた人は座りなさい」(立って音読させて)
→できていない子が目立つ形になってしまい,ちょっとかわいそう
「できた人はいい姿勢で先生に合図をください」
→できてすぐはいい姿勢をうれしそうにするが,長くはもたない
「できた人は先生のところに音読カードをもっていらっしゃい」
→印を付けてあげられるが,ガチャガチャしてしまう
「できた人は,ドリル17番に取りかかりなさい」
→ドリル17番への取り組みが中途半端になってしまう
これらも使えないことはありませんが,基本は「立ちなさい」かと。
そして,今度は立った子たちがしばらくして退屈そうになってしまうので,立った子たちには板書で次の指示を出しておくといいですね。
「立ったまま,小さい声でもう一度音読しましょう」
すると,教室全体の「音読の雰囲気」が崩れません。