小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

指示の出し方「~しましょう」派?「~しなさい」派?それとも?

2014-02-04 21:12:03 | 「教師-子ども」関係の攻略法

例えば,授業中,机でノートを書いている子どもたちに,顔を上げさせて,言葉をかけたいとき。
先生は何と指示を出すでしょうか。
細かな違いになりますが,何通りかあり得ます。

ア「顔を上げましょう」
これは優しい感じがしますね。
丁寧で,子どもに寄り添った言葉かけのように聞こえます。
先生の温かい人柄が「ましょう」に表れているようです。
どちらかというと,やはり低学年の先生に多いような気がします。

イ「顔を上げなさい」
これはいかにも「指示」ですね。
「命令」にも聞こえます。
先生が上からドカンと。
「しなさい」に引き締まった雰囲気を感じます。
こんな言い回しをする先生は,またこの「しなさい」が似合う先生なのでしょう。
授業中のけじめをつけ,厳しさを一貫して持っている先生のように思えます。
私は,この「しなさい」の言い方をするのに,駆け出しの頃は躊躇していたように思います。
こんなに「えらそうに」言える立場ではないような感じがして。
これが自然と使える先生は,やはりある程度経験があり,自分の指導に自信をつけている先生なのかもしれません。

ウ「顔を上げます」
これは,意外とよく聞く言い回しですね。
語尾がすっきりしています。
一見すると,変ですよね。
顔を上げるのは子どもたちなのに,先生が上げるみたいに聞こえます。
が,これも自然と子どもたちへの指示になります。
先生と子どもの関係としては,最もニュートラルな感じがします。
厳しさも優しさも極端には表れず,どんな先生でも,どんな子どもたちへも使えそうな言い回しです。

エ「顔を上げてください。」
これもよく使われていると思います。
アと同様に丁寧ですが,ア以上に先生が謙虚になっている感じです。
若手の先生や,やはり優しい人柄の先生に多いように思います。
この言い回しについて,ずっと前の研究授業で話題になったのを覚えています。
若い先生の研究授業でしたが,授業後の研究会で,教頭先生がズバリと指導。
「先生は,何でも「~してください」と指示を出していましたが,あれはやめたほうがいいでしょう。子どもたちに「お願い」をしているようで,指示の出し方としてはおかしいです。」
これがもっともかどうかは分かりませんが,そういう捉え方もあるんだということでしょう。
イと比べるとおもしろいですね。
同じ指示なのに,こうも違います。
方や命令口調。
方やお願い口調。

オ「顔を上げろ」
これは… ほとんどいないでしょうか。
でも,他の指示に変えてみるとあり得ます。
体育の授業での「座れ!」という威勢のいい指示を聞くことはあります。
文字にすると,とても乱暴な感じがしますが,これがしっくりときてしまう先生がいるとすれば,またその先生の人柄が表れているということになります。


以上,思いつくままに5つ並べてみましたが,いかがでしょうか。
自分が普段どれを使っているか,思い出せるでしょうか。
意識しないままに,一つの言い方に固執していることに気づくかもしれませんね。
逆に,いろんな言い方を多発している先生もいるかもしれません。

「どれがいい」
「どれがベスト」
なんてものを選ぼうとすると,先生によって意見は分かれるところでしょうね。
選ぶこと自体,難しいように私には思えます。
しかし,肝心なことは,
先生の指示,その細かな言い回しひとつで,それを受ける側への印象は変わり,それは授業の雰囲気を変え,そして先生の人柄を築いていくことになるということです。
そのことを先生自身が十分に認識したうえで,言い回しを決めておくべきだと思います。
同時に,
指示を出す先生と,指示を受ける子どもたちとの関係にもよるでしょう。
双方にまだ遠い距離感がある場合。
双方がかなり近い距離感な場合。
それで言い回しも変わってきます。
どちらにも,「しっくりとくる」言葉があれば,それが一番いいですね。


やはり言葉は,それを発する人の人物像を表しますね。
言葉で仕事をするのが先生です。
その細部にまでこだわる姿勢を忘れずにいたいものです。


1 コメント

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質問なのですが… (さわ)
2016-07-05 03:33:16
はじめまして。
私は小学校教諭を目指している大学3回生です。
指導言(指示)について調べていたところ、こちらにたどり着きました。
記事の内容はわかり易く、大変ためになるものでした。
ありがとうございます。

さて、タイトルどおり、質問させていただきたいことがあります。
大学において模擬授業を行う機会が多いのですが、そのなかで自分自身は「~しましょう。」という指示を心掛けています。なぜなら、授業は授業者と学習者が一緒につくるものだと考えているからです。
ところが、同じ学部生の中には「~してもらってもいいかな?」「~してほしいです。」という学生がちらほらと見られます。
その一人に話を聞くと「児童には、自分の授業を《受けてもらっている》という認識をしているから、「~しましょう」や「~しなさい」は不適切である」という回答でした。
(個人的には、児童をお客様扱いしているようだと感じましたが…)
「~してください。」は確かに『お願い』の形ではあっても、指示として成り立つのではないかと感じるのですが、どうにも「~してもらっても」「~してほしい」は授業者の気持ちであって、指示とは言えないのでは…と考えています。

上記について、ご意見を頂ければ幸いです。
どうかよろしくお願いします。

長文で失礼いたしました。
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