脳科学に基づいた漢字定着率をみる研究のまとめです。
前回は
「単純な指導では著しく定着率が低い」
「感情にはたらきかける指導で定着率が上がる」
この2点について考えてみました。↓
最後となる今回は
「復習すると,しないとでは,1ヶ月後の定着率に大きな差が出る」
ということに関して考えてみます。
これも
「当たり前でしょ」
ということになりますね。
でも,受け持つクラスの子たちの生の姿で表され,結果がリアルな数字で表され,改めて勉強になった感じがしています。
やはり,何でも実感をともなうと違うものです。
子どもたちの漢字の解答用紙を見ながら,見事に差があることに気付かされました。
3つの指導法の平均を見てみると
「復習あり」の漢字の1ヶ月後の正答率→63.3%
「復習なし」の漢字の1ヶ月後の正答率→30.3%
2倍違います。
テストの点数だと50点と100点の差です。
これは大変な差です。
しかも,「復習なし」の平均30.3%の中から,「感情にはたらきかける指導をした漢字の正答率63.24%」をのぞくと,その平均はわずか13.9%になります。
こうなると5倍の差になります。
いかに復習が必要を痛感させられます。
(と同時に,「感情にはたらきかける指導」の強さに気付かされます。それで生まれた記憶は1ヶ月後にもかなり残っているということです。すごい。)
さて,先生は子どもたちに適切に復習をさせているのでしょうか。
長年やってきて一つ気付くことがあります。
「復習癖」のある先生と,
「復習癖」のない先生とに,結構はっきり分かれるように思います。
習ったことは復習させなきゃって思う先生は,やっぱりある分野だけさせるのではなく,どんなことでも復習させます。
というか,授業のスタイルが「復習の時間を含む」スタイルになっていて,それはどの教科でも共通させるのでしょう。
授業に限らず,業間の時間をそんなふうに使う先生は,それもやっぱり習慣になっています。
もちろん,これはうれしい癖ですね。
子どもの学力の定着に向けてとても親切です。
問題は「復習癖」のない先生。
いわゆる「教えっぱなし」です。
この先生は逆で,授業の中に「復習をさせる」という時間がなく,習慣がありません。
子どもの学習の定着に向けては不親切な先生と言えるでしょう。
こういった先生は,言い方を変えると,先生もせっかくがんばって授業をしたのに,子どもたちの身にならないと言えます。
先生の努力ももったいないです。
せっかく一つ教えたのなら,繰り返し覚えているか確認しましょう。
現場で感じるのは
「復習の時間をとれるか」
ということです。
授業ではやらなくてはいけないことがたくさんある。
一日の日課の中でも活動はたくさんある。
授業日数は限られている。
そんな中でも何とか復習の時間を作りさせるかということです。
なんとかして,作りだしたいですね。
私も反省する部分がおおいにあります。
今回の研究を通して改めて思わされています。