新しい共通テーマ「境」でAが書いた詩を投稿します。
透けているからといって抜けられはしない
透明な人がひとり 立ちふさがって
行手を遮る境界などないのに
前へ進めなくなる
私と透明人間の間をすり抜けた蜉蝣
駅の方へ飛んで行く
あんなに透けた羽で
電車に乗って東京まで行くのか
無表情で会釈して
考えごとをしながら引き返す
抜けて行けなくても帰る場所がある
のが 不幸中の幸い
あの人に実体があった最後のとき
約束の場所を示してくれなかった
かがんで
戸口に落ちている硬い骨を拾う
中で電話のベルが鳴るので
拾った骨を放る
電話の主は言った
――ワインを持ってそっちへ行きたいけれど
電車が怖くて東京から出られない――
透けているからといって抜けられはしない
透明な人がひとり 立ちふさがって
行手を遮る境界などないのに
前へ進めなくなる
私と透明人間の間をすり抜けた蜉蝣
駅の方へ飛んで行く
あんなに透けた羽で
電車に乗って東京まで行くのか
無表情で会釈して
考えごとをしながら引き返す
抜けて行けなくても帰る場所がある
のが 不幸中の幸い
あの人に実体があった最後のとき
約束の場所を示してくれなかった
かがんで
戸口に落ちている硬い骨を拾う
中で電話のベルが鳴るので
拾った骨を放る
電話の主は言った
――ワインを持ってそっちへ行きたいけれど
電車が怖くて東京から出られない――
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