湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

暴くの詩パート3

2020-10-15 22:01:46 | オリジナル
共通テーマ「暴く」でAが書いた詩を投稿します。

Skeleton in the closet

十月の記憶の沼から立ち昇る
霊柩車のハンドルを握る饒舌な葬儀屋
わたしは位牌を膝に載せ
後部座席の棺のことを忘れている

亡き人を絶えず思っていたら
現世に居て壊れてしまう
あるいはずっと忘れていたら
既に壊れている 
ということか

鍵のかかった扉をこじ開けようと
やっきになっていた頃
クローゼットの中の骸骨を
ことさらに暴くなと
生前のあの人に叱られた

こっそり開けては閉めることを
長い間繰り返したが ついに
暗い一角に留まっていた風が
小さく巻いて立ち上がり
わたしの鼻先を吹き過ぎた

今日も饒舌な葬儀屋が
誰かの棺を車に乗せて
黄泉の国へ向かう
コメント
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