湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

余寒俳句

2019-02-17 23:11:27 | 文学
暦の上では春。今週から少し暖かくなるみたいですが、春の寒さで詠んでみました。

春寒の漁村の道の細さかな
置き手紙の脅迫めいて余寒かな
料峭の汀や犬が人を引く
春寒や玻璃叩き割る解体屋
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詩「アルルカン」

2019-02-16 16:28:53 | オリジナル
自由題でEが書いた詩を投稿します。

アルルカン

道を歩いていると
よく手袋が目につく
それも片方だけ
拾う者はまずいない

こころみに拾ってみても
右手だけだったりする
当然色も形もちがっている
外へはしていけない

ふと裏返してみる
不思議 右手が左手となる
材質が同じウールなら
普段使いに支障はない

幸い 色違いであれば
見捨てられたアルルカン
気取った仕草で腰を折り
わがつれづれをなぐさめる
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詩「シール」

2019-02-15 18:45:38 | オリジナル
今日は午前中に雪が降ったりして寒かったので、逗子湾に蒸気霧(けあらし)が見られました。

今日の湘南文芸合評会では、事前に当ブログに投稿した作品のほか、下記のEの詩についても合評しました。

シール
大方は〆か無印
丁寧であっても緘
それがシール
星くずのシール
天空からとどいたか
風花のふみ
ハサミを入れる
慎重に入れる

いつものEのように理屈を展開していないのがいいです。
この短さに過不足がない素直な詩。
3~4行目と7~8行目のリフレインで脚韻を踏み、いいリズムを作り出しています。
素敵な手紙が軽やかに届いたんですね。

3月の定例合評会は15日(金)14:00~。自由題もしくは「底」をテーマにして書いた作品を12日(火)までに提出してください。
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枯の詩パート3

2019-02-14 00:28:27 | オリジナル
共通テーマ「枯」でSが書いた詩を投稿します。

あるうたがい

出てきなさいととつぜん言われ
顔も洗っていないのに
川っぷちの一本道を歩かされる
カラスを抱いた
よわくてつよい老女たちに
追いこされる
なれなれしい風は
音楽を逃げてきた身に
音楽のようになれなれしく笑いかけてくる
老女たちがおそろしい子守歌を歌いだす
悲しいユーモアだ
風を大声で歌う
力強い子守歌なんて要らない
あやまれ
なぜ女は私を産んだサルそっくりの私を
私はサルかもしれぬ
こんな私の思いのまわりに
みんな集まった いや 私ひとりだ
ネコもイヌもカラスも集まらなかった
何も集まらないのは
私のせいだろうか 私は
私に謝った それから
手術台にのぼったのか
風が病室を吹きあれた
血がながれ あたまは閉ざされても なお
痛かった すでに昼は終わっていたが
みじかすぎる手術時間だった
死に損ったのか ユメだろうか
何だ 朝からずっとユメだったのかと
笑い それからゆっくりあわてず
ユメなどはたき落とすのにもがく?
地獄図映画三本立ては終わったのかまだなのか
カサコソカサコソ音をたてる
蛾や枯葉が
私か
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枯の詩パート1&2

2019-02-13 00:00:39 | オリジナル
共通テーマ「枯」でZが書いた詩を投稿します。

枯れ木               

僕らは 根元から伐られた       
哄笑の火を 燃やす為  
薪炭にするのだろうか 
とにかくこの地は 移ろう森になった 
僕らが伐られた為 
森には 日差しが射し込み 
すみれ 野菊が 生い茂った 
そうした喧騒の間に 人知れず 発芽する木がある 
彼らは いくつもの業を消しながら 
いくつもの 枯れ木の間から 
地味な木は 枝を広げ 葉を広げ繁茂する 
下草や 低木が 享受する 日差しを そぎながら 
そう 照葉樹林が生い茂る 
彼らの下には 春 夏 秋がない 
彼らの下には 枯れ木さえもない 


続いて共通テーマ「枯」でSが書いた詩を投稿します。

秋の枯葉

だれも裁かず
目をあけたまま
落下していく 枯葉よ

手あかのついた
秋のバラードが
大きな秋の
地面の耳のなかで
動いている
魚のように

こんなところで
死にたくなかった兵士のように
のたうちまわっている枯葉

指を失くしたピアニストは
生きながら死なねばならない
筋書

「枯葉と秋」にくわしいという
教授たちがあつまっている
乾いた風景

終れないが終っている
枯れてはいないが終っている
枯れてはいないが死んでいる秋の枯葉
みごとな貧困よ
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詩「操舵人」

2019-02-12 17:14:29 | オリジナル
Cが自由題で書いた詩を投稿します。

操舵人

メルズーガのオアシスから
サハラのキャンプ地へ

砂丘に陽が落ちてゆく

引き伸ばされた
砂の上のシルエットは
いつしか消えて

赤茶から消炭色へと
砂の海は
熱を失っていく

駱駝の舟に 揺られながら

夕闇のなか
駱駝引きの
青装束が映える

らくだと
わたしの
いのちの
舵は 眼下の
青い背中に委ねられている

電気水道は あるわけもなく
携帯電話も
言葉も つうじない
大海原に

ひとり 飛び込んで
生が  ひりひりしている
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詩をたのしむ

2019-02-11 18:55:01 | オリジナル
Eが自由題で書いた詩を投稿します。

詩をたのしむ

詩集を開く
お気に入りは
何度でも読む

名詩のしらべが
しみこんでくる
ひとつ筆を取りたくなる
想に応じてことばをえらぶ
しらべをととのえ行につづく
なにがなし心うきたつ

あゝでもない こうでもないと
おしてみたり
たたいてみたり

さて清書する
二、三日すてておく
みるみるさびて金もくず板
      ……でもいいか


2月15日の合評会にかける詩の締切は明日12日です。
締切後に提出された作品は自動的に3月分になります。
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詩「詩とはなにか」

2019-02-10 22:45:53 | オリジナル
Eが自由題で書いた詩を投稿します。

詩とはなにか

リサイクルコーナーで手に入れた
「名詩の絵本」
入門のためのアンソロジー

ときに私も書くことがあるが
それが 書けば書くほど
わからなくなる

絵本には ごくさりげなく
これが詩ですと
名詩がのせてある

この他にも二、三だが
好きなものがある
少しずつ つぎ足してゆこう

そうすれば いつか
詩とはなにかが
わかってくる
…だろうか
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改稿あこがれ

2019-02-09 18:36:45 | オリジナル
事実に忠実過ぎる 散文的 時間軸上を行ったり来たりしていて分かりにくい
前回の合評会で、次に掲げるTの詩「あこがれ」2連目について、上のような意見が出ました。

13歳で出会ったあこがれの女教師は
88歳
私は70歳になった
50年目に
彼女の花園に招待された
バラやスモークツリー デルヒィニュームの青まで咲いていた
  呼びたくても5人の介護が続き
  あなたが初めての私の招待客よ
それから7年
  あなたが一番古い友人になったわ
花々の中で彼女が言う
私は13歳の時のままだ


合評内容を受けてTが書き直した詩を投稿します。

あこがれ

広い芝生の奥
無造作に植えられた花々
デルフィニウム ベロニカ アストロメリア
クリスマスローズ ゼラニウム
ブロンズリーフやスモークツリーもある
いくつものバラのアーチの奥には
大きなけやき いちょう クスの木
新緑の中に色ははめこまれて鮮やか
小道に立って手を振る彼女
私は駆け寄る
50年目で初めての彼女の庭
78歳の彼女は昔と変わっていない
私も中学生のままだ

アフタヌーンティーを2人楽しんだ
微かに漂うバラの香り
これは13歳の私が見た夢
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詩「浅春」

2019-02-08 22:21:36 | オリジナル
自由題でTが書いた詩を投稿します。

浅春

ゆるりと
川面に映っている家々の影
夜更けの雪はもうない
小さなギャラリーでは
雛展が始まり
河口近くのマリーナからは
一艇のクルーザーが出て行った

三日前から
私の耳の奥に未知の生き物が潜み
鳴いている 鳴き続けている
気になって
柔らかな時の中に入れない
こいつの為に今は生きよう

裸足になって
冷たい波打ち際を歩く
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