湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

場所の詩パート8

2016-12-27 00:00:27 | オリジナル
共通テーマ「場所」でTが書いた詩を投稿します。

今と昔

街は脱皮してしまった

真新しく建ち並ぶビルは
自ら選んだ者達だけを吸いこんで
その他大勢は寄せ付けなかった
葉を落としたけやき並木には 夜
青いイルミネーションが煌めいて
自分の感覚を忘れた若者たちが
ネットにアップされた場所を いいね
と幸せいっぱいに歩いていた

夜店のように小さなブティックはたやすく奥までのぞくことができたし
軒を連ねた骨董屋は店ごとの特色ある物を売りにしていた
温かい色の落ち葉が散る中
店の住人をひやかしながら夕暮れが過ぎていたあの頃

知り合って二十五年
七十前の女二人の誕生会の話題は
柔らかくのんびりしていた街のこと
   服はロぺかマミーナよ
   テレビ局の地下でチョコレートケーキを買ったわ
   表参道へ曲がる手前の青山通りに事務所があったの
同じ街を同じ頃に歩いていた と分かったこの夜
二人は興奮して 脱皮する前のもうどこにもない街を歩いていた


来年1月6日の新年会(兼1月合評会)の出席予定が変更になったメンバーさんは、1月3日までにお知らせください。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 場所の詩パート7 | トップ | 場所の詩パート9 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オリジナル」カテゴリの最新記事