共通テーマ「埃」でAが書いた詩を投稿します。
海に埃は溜まらない
ノートパソコンの入ったトランクを持って
好きな場所を泊まり歩く
それで会社の仕事ができる
行く先々で観る光が瞳に溜まる垢を落とし
――あたらしいぞわたしは
と 荒川洋治になれるのだ
流れる水になり
さらに広大な海へ出て行く
若い労働者の眼には
わたしがわたしを定住地に
固都税払って括り付けている
旧人と映るだろう
実家に居られず預けておいた私物も捨てられた
古傷に詰まった埃が除けられなくて
デラシネのような心で
どうやら辿り着いた場所なのだが