湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

窓の詩パート3

2021-05-25 18:21:14 | オリジナル
共通テーマ「窓」でAが書いた詩を投稿します。

夕暮れ

彼が抱き取った時
きょとんとしていた赤ん坊は
次の瞬間はげしく泣き出した
ちょうど夕暮れ泣きの時刻に入ったのだ

体の硬い感触か
微かな体臭か
見下ろす表情か
自分のなにかが
この子の癪に障っているのだ
と彼は思った

本能を太平洋に落としてきたのか 
この時刻を良い時だなどとうそぶいて
仕方のない大人の男たち
この時刻に不安を感じない
素振りをすることへの失望と軽蔑を加えて
この時刻特有の不穏さを
赤ん坊は長々と盛大に泣いているのだ

いつの間にか窓の外は真っ暗になり
自分だけは大人になっても
夕暮れ時の空に激しく抵抗すると決意して
小さい彼の今日のリサイタルは終わった
コメント
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