新しい共通テーマ「波」でAが書いた詩を投稿します。
鏡花幻影
にわかに設営されたジャングルジムに
猫の化身であるヒロインが昇ったシーンが
烈風で散り散りになり
東屋が吹きさらされている広場
眼下の波の頂きが次々と
兎の姿に泡立つ
そのうち一羽が高速で跳ね
岬の端を飛び上がって来る
湾を見下ろす芝生に
急に疲れてうずくまり
兎は白い石碑になった
逞しい下肢の跳躍力と
長い耳の高感度を
少しも見せず 声も立てず
重たくじっとしている
ひときわ激しく
高波が起こっているのは海面か
いや石の内部から聞こえる
大きく水の砕ける響きが
木々がざわめき発光し
撤収されたはずのジャングルジムを
何かの化身が駆け上る
水平線がたわみ始める
鏡花幻影
にわかに設営されたジャングルジムに
猫の化身であるヒロインが昇ったシーンが
烈風で散り散りになり
東屋が吹きさらされている広場
眼下の波の頂きが次々と
兎の姿に泡立つ
そのうち一羽が高速で跳ね
岬の端を飛び上がって来る
湾を見下ろす芝生に
急に疲れてうずくまり
兎は白い石碑になった
逞しい下肢の跳躍力と
長い耳の高感度を
少しも見せず 声も立てず
重たくじっとしている
ひときわ激しく
高波が起こっているのは海面か
いや石の内部から聞こえる
大きく水の砕ける響きが
木々がざわめき発光し
撤収されたはずのジャングルジムを
何かの化身が駆け上る
水平線がたわみ始める