湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

波の詩パート1

2018-10-09 15:21:59 | オリジナル
新しい共通テーマ「波」でAが書いた詩を投稿します。

鏡花幻影

にわかに設営されたジャングルジムに
猫の化身であるヒロインが昇ったシーンが
烈風で散り散りになり
東屋が吹きさらされている広場

眼下の波の頂きが次々と
兎の姿に泡立つ
そのうち一羽が高速で跳ね
岬の端を飛び上がって来る

湾を見下ろす芝生に
急に疲れてうずくまり
兎は白い石碑になった
逞しい下肢の跳躍力と
長い耳の高感度を
少しも見せず 声も立てず
重たくじっとしている

ひときわ激しく
高波が起こっているのは海面か
いや石の内部から聞こえる
大きく水の砕ける響きが

木々がざわめき発光し
撤収されたはずのジャングルジムを
何かの化身が駆け上る
水平線がたわみ始める
コメント
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